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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 11

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『リターン』
 ロビン達は光に包まれ、光の粒へと姿を変えながら空間から姿を消していった。
     ※※※
 新たなエナジーを手に入れ、そしてヴァッサとの約束を果たし、ロビン達はアクア島を後にし、ガラパス島へと帰ってきた。
 島に到着すると、真っ先にヴァッサの所へ行き、頼みを果たした旨を彼に伝えた。
 長年の願いであったアクエリアスの石をアクアロックへ返すということが叶い、ヴァッサは大層喜んでいた。ささやかなお礼、とヴァッサはロビン達を自分の家に泊めた。子供はおらず、妻も数年前に亡くなったとあって、ヴァッサにとって自分の家が賑やかになったのは久々だった。
 そして夜が明け、ロビン達にヴァッサとの別れの時が来た。
「もう、行ってしまうんか」
「ええ、泊めていただいて本当にありがとうございました」
 寂しそうな様子のヴァッサにメアリィは笑顔で告げた。
「もう少しゆっくりしていく事はできんかのう…?」
「お気持ちはありがたいのですが、私達には他にやるべき事があるのです。そうのんびりしていられませんわ」
「そうか…、残念じゃのう…」
 ヴァッサはすっかり塞ぎ込んでしまっていた。
「そんな顔すんなよ、爺さんさえよけりゃまた来てやるからさ!」
 ジェラルドは励ますように言った。
「本当か!?」
「ああ、オレ達の使命が終わったらいつでも来るぜ」
「そうか、ならワシもそう簡単にくたばるわけにはいかんな!」
 ヴァッサは少し元気になった。
 そろそろ行こうか、ロビンが言い、皆は出発することにした。
「達者でな、また会う日を楽しみに待っておるぞ!」
「はい、お爺さんもお元気で!」
 ヴァッサはロビン達の姿が見えなくなるまでずっと手を振り続けた。メアリィをはじめロビン達もそれに応え続けた。
 しばらく歩いて船を停泊させておいた浜辺へ辿り着いた。
 船に乗り込もうとしていた所、浜辺の砂を見てロビンはふと思い出した。
「どうしたロビン?」
 佇むロビンにリョウカが訊ねた。
「いや、ちょっと思い出した事があってさ」
「何を?」
 ジパン島のガイアロックでロビンはエナジーを授かっていた。ずっと使うことがなく、今の今まで忘れていた。しかし、浜辺の砂を見てそのエナジーを思い出したのだ。
「前にガイアロックでミコトからエナジーを受け取ったんだ」
「ミコトから…?そんなバカな」
 ミコトといえばもう遥か昔の人物で存在などするはずもなかった。リョウカが疑うのも無理はない。
「本当さ、何でも魂だけが残ってどうこう…、て」
「おいおい、何訳分かんないこと言ってんだよ。長い間水に曝されて気でも狂ったか?」
 話を聞いていたジェラルドはまるで信じる様子もなく溜め息混じりに言った。
「本当だよ!何なら見せてやろうか」
「まあ、そこまで言うのなら見せてもらえるか」
「よし…!」
 ロビンは集中した。
 ミコトはこのエナジーを『サンド』と呼んでいた。己が身を砂へと変え、それに同化すると言っていた。故にロビンは砂浜を見て思い出したのだった。
 意識を一つにし、ロビンは詠唱した。
『サンド!』
 ロビンの体が一瞬光を放つと身体全てが砂に変わった。そして砂時計の砂が下へ落ちるかの如く砂と化したロビンの身体はサラサラと流れた。
 しかし、膝半分が流れたかと思うと、残りの部分が突然破裂するように吹き飛んだ。
『うわ、うわわ!?』
 ロビンの声がどこからともなく響いた。ロビンから変化した砂は仲間達へ吹き付けた。
「うわ、口に入った!ぺっ、ぺっ!」
「ぐあ、目が、目がぁ!」
「は、鼻に入りまし…はっ、はっくしゅ!」
 ジェラルドは唾を吐き、リョウカは目を抑え、イワンはくしゃみをした。メアリィはとっさに後ろを向いて難を逃れた。
 そのうちに空間に砂が集まり、尻餅を付いた格好の人の姿ができていき、ロビンの姿になった。
「あ…」
 ジェラルド達はロビンをじろっと睨んでいた。
「あ、あはは、ちょっと初めてだからコントロールが難しいなぁ…」
 ロビンは苦笑した。
「ロ〜ビ〜ン〜!」
「ご、ごめんなさぁい!」
 ふざけるな、お前も味わえ、などと罵倒されながらロビンは砂をかけられた。そのうちにエスカレートしていき、海に落としてやる、いや、ガイアフォールにぶん投げてやる、と罵倒は洒落にならないものになった。
「ああ、それだけは!」
「皆さん、寄ってたかってそれはロビンが可愛そうですよ!ロビンもわざとではないのですから許してあげて!」
 被害を受けていないメアリィはロビンをかばった。しかし、ジェラルド達は攻撃を止めなかった。
「ああ、一体どうすれば…」
『ふふ…、ずいぶんとお楽しみのようですね…』
 突然どこからか声がし、メアリィは驚いて辺りを見回した。同時にジェラルド達も攻めの手を止めた。
『世界を救う使命が終わったと思った途端にその弛みようですか?全く、おめでたい方々ですね』
「誰!?」
 空中に水泡が集まり始めた。人型を成し、次第に姿が明らかとなっていく。
「まさか!?」
 深緑の、メアリィと同じ色の髪を持つ男が水を纏いながら現れた。
「お久しぶりですね、ロビン、そして…」
 男は不敵な笑みをメアリィへ向けた。
「メアリィ…」
「アレクス…!」
 アレクスはニヤリと口元を持ち上げた。
     ※※※
 かつての敵との唐突な邂逅に状況は一触即発のものとなっていた。
 思えば、アレクスと最後に顔を合わせたのはマーキュリー灯台の頂上である。皆で力を合わせ、やっとの思いでサテュロスを倒した所に彼が現れた。その時は何事もなく彼の方が退いていった。
 それから一度も会うことなく、ロビン達は今までアレクスの存在自体を忘れかけていた。そんな中突然現れたのだ、一体何が目的なのか。
「捜しましたよ、皆さんを捜して大イースト海中を飛び回りましたよ」
 アレクスは嘆息した。
「何の用だ、アレクス」
 ロビンは睨みながら言った。
「そう怖い顔をなさらないでください。せっかく各地を飛び回って皆さんを見つけたというのにそのように睨まれては私が浮かばれないではないですか」
 アレクスは微笑した。それでもロビン達の視線は敵意に満ちたものだった。
「まあ、仕方がありませんね。私はかつての敵…、いや、語弊がありますね。今も敵ですか…」
 アレクスは溜め息を洩らした。
「貴様、マーキュリー灯台での借り、ここで返す!」
 リョウカは帯から刀を鞘ぐるみ抜き、構えた。
「貴女は…、ああ、あの時の。髪を切られたようで気付きませんでしたよ。短い髪もよくお似合いですよ」
「ほざいてないで貴様もさっさと抜け!」
「ご冗談を、私はそんなつもりはありませんよ」
 アレクスは手を広げた。
「てめえ、ケンカ売りに来たんじゃねえのか!?」
 ジェラルドは怒鳴った。
「違いますよ。お話によると皆さんはあのサテュロス達を倒したのだとか、そんな皆さんに戦いを挑むのはさすがの私でも無理があります…」
「だったら何をしに来た!?」
 アレクスは笑みを浮かべた。
「ただ、お話があって皆さんを捜していたのですよ」
 とても信用ならない言葉だった。
「ほざけ!行くぞジェラルド!」
「おう!」
「待ってください!」