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こらぼでほすと 風邪3

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翌日、予想通り、ニールは起きなかった。本宅から帰った日に、ちゃかちゃかと動いていたら、翌日は沈没しているのが、今の基礎体力の限界だ。寺の住人には想定内のことなので、誰も気にしていない。とりあえず、レイが以前から準備していた冷凍したお粥を解凍しておくぐらいのことだ。もちろん、朝の味噌汁は味噌を溶けばいいように作られているし、弁当用に用意されているおかずで朝の食事分も賄えるように準備はされている。タイマーで炊かれていたごはんを大きな弁当箱に、ぼかぼかと投げ込んで、おかずは別のタッパーに投げ入れれば、弁当も完成だ。
「お粥は用意しといたぜ? 三蔵。」
 朝の食卓は坊主とサルだけだった。ハイネは、午後近くまで起きないのが通常だし、ニールとリジェネも起きてこないからスルーの方向だ。納豆に生卵を叩き込み、ぐしぐしと混ぜつつ、悟空が、おかんの食事について説明すると、坊主も、おう、と、頷きつつ、こちらも納豆を混ぜている。
「ハイネに竜丹のことは、送り返したって言ったぞ。」
 実際は、そのまま八戒が保管している。万が一の場合に使えばいいでしょう、と、どっかの元帥様から指示されたからだ。世の中、何があるかわからないし、何をするかわからない三蔵の嫁なので、送り返さなくて良い、とのことだ。
「それでいい。たかだか、風邪ぐらいで使うもんじゃねぇーからな。バイト、直行するのか? 」
「いや、一回帰ってくる。洗濯物取り込んでくれよ? 三蔵。夕方まで放置すると湿気るからな。」
 おかんがいないシフトだと、悟空が洗濯物を干して、坊主が回収することになっている。坊主は、「ママが回収するだろ。」 と、返事する。全部、取上げてしまうと暇になるので、そこいらの匙加減は坊主の担当だ。
「まあ、いいけどさ。たぶん、レイは、こっちに顔は出すんじゃないかな。」
「しょうがねぇーだろうな。キラには来るなって念を押しとけよ? サル。」
「アスランが、しばらくは来ないって言ってたから、大丈夫だ。」
 ごはんに納豆をかけて流し込むように悟空は食べている。これを二杯は食べないと腹は満たされない。それから、おかずをばくばくと食べてしまうと完了だ。冷ましていた弁当に蓋をして、風呂敷で包むと、「いってきまーす。」 と、飛び出していった。



 午後になる前に目が覚めたハイネは起きると、とりあえず、本堂を挟んだ脇部屋に顔を出した。リジェネは起きているのだが、じっとママの顔を眺めて、その手を握っている。それはスルーして薬の確認をする。文机には、新しい薬がセットされている。
「えーっと、食前が、これか。それから、食後に、これ。・・・ん? 解熱剤は・・・まあ、計ってからでいいな。」
 ドクターからの指示書もついているから、それも読んで確認するとニールの布団に近寄る。くーすかと寝ているので、もうしばらく放置しておくか、と、とりあえず朝の支度に取り掛かる。本日から三日は休みなので、普段着に着替えた。新しい連邦創設も、滞りなく進んでいる。それらの情報の解析が終わったので、ハイネも休むことにした。まだ、何かしら三大大国は、手を加えようと画策しているが、スキャンダルの消火のほうが忙しくて、創設には手が廻らない様子だ。トップも挿げ替えられたので、動くに動けない。それもあって、あのセキュリティーの無効はやらかしたので、こちらとしては予定通りの動きだ。このまま、三大大国が牛耳るのではない連邦に移行すれば、それほど紛争も興らないはずだ。そのデータの解析をして、現在、プラントのほうで活動しているイザークに送りつけておいた。後は、イザークの仕事だ。
 居間に顔を出したら、坊主が書類仕事をしていた。おう、と、手を挙げて、お互いに挨拶する。
「今日は一日、こっちに居るが、明日は出てくるぜ。」
「じゃあ、俺は午後から出かける。洗濯物、回収してくれ。」
「あいよ。」
 ハイネも休みとなると、プライベートで出かける用件もあるので、常時、寺に居るわけではない。そこいらの予定を口にしておく。坊主のほうは、それで自分の都合を決める。インスタントのコーヒーを入れて、とりあえず二人で飲みつつ、その打ち合わせだ。寺はオールセルフサービスだが、ニールを一人に出来ない場合は、適当に予定は合わせることになっている。
「サルが、レイは顔を出すって言ってたから、夕方には来るんじゃねぇーか? 」
「でも、あいつ、バイトだろ? 俺、バイト休むよ。明日、誰かフォローしてくれるかな。」
「シンかレイに来させればいい。ダメなら、俺とサルがバイトを休む。」
「了解。メールで確認しとく。」
 のんびりと確認作業をすると、ハイネはコーヒーを飲み干して脇部屋に水を運ぶ。とりあえず、クスリを飲まさないといけないので、起こして、それだけはしておく。そのまま寝ているようなら、お粥を運んで食べさせておけばいい。



 とはいうものの、ニールは寝坊したと起きてしまった。熱もないので寝ていろ、というのもおかしいから、ハイネも食後のクスリを持って一緒に居間に戻る。リジェネを着替えさせて、当人はパジャマに半纏を引っ掛けた姿でやってきた。
 そこいらに置いてあったメモから、『すいません。』というのを取り出して坊主に見せている。
「寝てろ、と、言っただろ? 起きたんなら、昼は丼がいい。最悪は、玉丼でもいいが、あるなら親子丼だ。」
 はいはい、と、頷いて準備をしている。寺の冷凍庫には、それなりに食材が確保されているので、それぐらいなら簡単だ。タマネギを刻んで、冷凍している長ネギと鶏を取り出して鍋に投げ入れる。めんつゆを薄くして煮込んだら、最終的に卵でとじれば、親子丼は完成する。で、坊主は、これにもマヨトッピングするので、そこいらはスルーだ。味覚がおかしな人なので、いちいち気にしてはいけない。
 ハイネとリジェネにも同じメニューが用意される。つゆだくの親子丼なので、スプーンで食べる。ただし、ニールだけはお粥だ。固形物は辛いので、そういうことなる。
 いただきます、と、全員が手を合わせて食事は開始だ。とりあえず、リジェネの様子を確認しているニールは、お粥に手をつけない。
「おら、たんぱく質を食え。」
 スプーンで、坊主はとろとろの卵部分だけを掬い上げて、女房の口に運ぶ。えーっという顔で、女房のほうは首を横に振っている。
「マヨのとこじゃねぇー卵だけだ。」
 女房が奇天烈な味はイヤだと拒否しているので、坊主は、そうじゃねぇーと言って無理矢理に口に押し込む。お粥だけでは、さすがに栄養が足りない。マヨのない部分を掬って、二度三度食わせたら、坊主も自分の口に放り込む。
「おまえ、熱があるだろ? 味が濃いぞ。」
 いつもより濃い味付けになっている。体調がおかしいと、ニールの味付けもおかしくなるので、坊主は、それで気付く。ハイネやリジェネでは、その違いがわからない程度の差だ。そうかなあ、と、ニールは首を傾げている。
「晩飯はチンでいい。」
 いやいや、そういうわけには、と、手を横に振っている。冷凍庫の食材は、まだ在庫があるから、温かい物を用意します、と、口パクしている。声は出していないが、口だけは動いている状態だ。
作品名:こらぼでほすと 風邪3 作家名:篠義