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機動戦士ガンダムRS 第34話 復讐者

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アークエンジェルでは、情報を求める兵士でごった返しになっていた。
「何をしている?
ビクトリアからも応援を出させろ」
「無人偵察機では、駄目だ。
今欲しいのは、詳細な報告なんだよ」
「そんな話は、聞いてないぞ」
「それは、どこからの情報だ?」
 アスラン中佐は、そんな人たちを掻き分けザラ大統領がいる艦長室に向かっていた。

               ※

 アスラン中佐は、艦長室をノックすると名前を言って入室した。
「失礼します」
 そういうと敬礼した。
「使用されたのは、ビーム砲のようです。
基地の地下にあったサイクロプスまで全滅したことを考えるとかなりの高出力だったと考えられます」
 部屋では、将校がザラ大統領に報告していた。
「生存者は?」
 ザラ大統領が将校に質問した。
「正確な数は、不明ですがいます」
 将校がザラ大統領の質問に答えた。
「彼らから詳細な報告を上げさせろ」
 そのとき部屋に補佐官が入ってきた。
「シーゲル・クライン副大統領以下数名の議員が事態の説明を求めて通信を行うように詰め掛けています」
 そのときザラ大統領がアスラン中佐に気づいた。
「少し待て」
 その言葉にアスラン中佐が敬礼した。
「臨時最高評議会の招集を要請するものと思われますが」
 補佐官の考えにザラ大統領がため息をついた。
「とにかく残存の部隊は、パナマに急がせろ」
 ザラ大統領が将校たちに命令し将校たちは、敬礼した。
「浮き足立つな。
欲しいのは、冷静且つ客観的な報告だ。
アラスカを攻撃した敵艦隊の行方は?」
 ザラ大統領がη艦隊の動向を質問した。
「現在ハワイ基地に帰還中。
まもなく到着しパナマ攻略のための補給を行うものと考えられます」
 補佐官がザラ大統領の質問に答えた。
「パナマとビクトリアの守備隊を増強させろ」
 ザラ大統領の命令に補佐官が驚いた。
その表情にザラ大統領が机を叩いた。
「アラスカを高出力ビーム砲で破壊しつくし次はポルタ・パナマがあるパナマ、次はハビリスがあるビクトリア基地、次は新本部であるヘブンズベース。
子供でも解る簡単な戦略だぞ」
 ザラ大統領の言葉に先のダリダ軍曹の言葉が現実に近づいていた。
「だからこそここで調子に乗った奴等の足下を掬っておかなければならないのだ」
 しかしザラ大統領の言葉には、そのような考えを示唆する言葉はなくアスラン中佐はほっとした。
「解りました」
 補佐官たちは、敬礼すると部屋を出た。
アスラン中佐は、ザラ大統領に近づいた。
ザラ大統領は、疲労で目頭を揉んだ
「父上」
 アスラン中佐は、思わずそういった。
「何だ、それは」
 ザラ大統領が指摘した。
「失礼致しました、ザラ大統領閣下」
 アスラン中佐は、敬礼して訂正した。
公の場では、親子ではないという言いつけを忘れてしまった。
「状況は、大体認識したな?」
 ザラ大統領がアスラン中佐に質問した。
「はい。
ですが一体どのような作戦でコロニー軍の戦力を奪うつもりだったんですか?」
 アスラン中佐が作戦内容の詳細を求めた。
「見ろ」
 ザラ大統領は、もう話しても良いだろうと思いモニターにアラスカ基地地下の映像を映した。
「われわれは、事前にコロニー軍のアラスカ基地攻略作戦の詳細をつかんでいた。
アラスカ基地は、知ってのとおり核の直撃にも耐えうる構造を持つ。
そのためここを攻略するには、グランドフォローと呼ばれる内部に進攻するしかない。
そこで基地地下にサイクロプスを配置し侵入してきた敵を一掃する作戦だった」
 ザラ大統領がアスラン中佐に作戦の詳細を伝えた。
「これは、まだ非公式であるが大西洋連邦はこれを受けニュートンジャマー・キャンセラーを使った大型破壊兵器でコロニー直接攻撃を検討している。
ユーラシア連邦も今後の戦況しだいで核ミサイルの製造再開も検討している」
 ザラ大統領の告白にアスラン中佐は、驚いた。
「核兵器を?
そんな」
 アスラン中佐は、にわかには信じられなかった。
「何故そんなものを?」
 アスラン中佐は、地球軍が核兵器を使う理由がわからなかった。
「勝つ為に必要となったのだ。
そしてわれわれは、それを使わざるおえない状況にまで追い込まれている」
 ザラ大統領が戦況が切迫している事実を伝えた。

           ※

 サオトメは、自室で報告のための書類をまとめていたがそれも終わったため一息ついていた。
そのときノックがあった。
「アイリス・オバリー曹長、入ります」
「どうぞ」
 アイリス曹長が入室し敬礼した。
「今ってお時間ありますか?」
 アイリス曹長がサオトメに質問した。
「大丈夫だ。
どうした?」
 サオトメが気さくに答えた。
「実は、マン・マシーン操縦の参考として隊長の訓練を見てせてほしんです」
 アイリス曹長が用件を話した。
「よし、良いだろう。
でも参考になるかわからないぞ」
 サオトメは、立ち上がりそういい部屋を後にした。
それにアイリス曹長が続いた。

            ※

 2人は、マン・マシーンデッキに着きガンダムサイガーに乗り込んだ。
戦闘を行ったマン・マシーンのコンピュータは、すぐに訓練プログラムを自動で作る。
パイロットたちは、それをこなし訓練をしている。
ガンダムサイガーは、バイオコンピュータであるため通常よりもかなり難易度の高い訓練が行える。
 サオトメがシートに座りアイリス曹長がシートの後ろに立った。
「じゃあはじめるぞ」
 サオトメは、訓練プログラムを立ち上げた。
すると全天周囲モニターに映像が映った。
場所は、アラスカだった。
訓練が開始され敵が現れた。
サオトメは、機体を操縦し敵を撃墜した。
「やっぱり『純白の死神』は、伊達じゃないですね」
 アイリス曹長がサオトメをほめた。
「ありがとう」
 サオトメは、訓練に集中しその1言しか言わなかった。
サオトメは、敵を倒し続けていた。
そのときアイリス曹長があることに気づいた。
「隊長、敵が照準されいないんですけど」
 出てくる敵は、照準される前にサオトメが攻撃していた。
「照準器は、使ってない。
目見当で撃ってるから」
 その言葉にアイリス曹長が驚いた。
「バイオコンピュータが敵の殺気で現れる位置を教えてくれるんだ。
そこにタイミングよくビームを撃つ。
簡単な作業さ」
 サオトメの言葉にアイリス曹長は、自分とは違う存在の人だと感じた。

             ※

 サオトメは、訓練を滞りなく果たした。
「隊長、お疲れ様でした」
 アイリス曹長がサオトメをねぎらった。
「でもすまない。
訓練に集中しすぎていいアドバイスができないどころかあまり参考にならない操縦で」
 サオトメは、目的を果たせなかったことに対してアイリス曹長に謝った。
「いいえ、そんなことありません。
隊長の操縦姿を見られてすごくうれしかったです。
また見せてくださいね」
 アイリス曹長は、笑顔でお願いした。
「あんな姿だったらいつでも見せて良いぞ」
 サオトメは、快く承諾した。

              ※

 η艦隊と第112遊撃艦隊は、ハワイ基地に入渠した。
サオトメは、報告書を持って司令室に来た。