Wizard//Magica Infinity −6−
「…あ………」
身体中が痛い。
ところどころに火傷ができているみたいだ。
鼻から微かに何かが焦げた匂いが入る。
俺はゆっくりと目を見開く。
「あっ…あぁっぁ…」
地獄だ。
ここはどこだろう。
木々は燃え上がり、動物達が必死に逃げ惑う。
俺は身体の痛みを堪え、必死にその場から逃げる。
この道は知っている。
面影村へと続く道だ。
俺は走った。
悲鳴を上げながら、泣きながら。
村へと到着した。
村は大火災に見舞われていた。
既に生存者は居ないだろう。
人の悲鳴すら聞こえない。
「あぁぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は、何故生きているのだろう。
死んだ筈なのに。
辛い…苦しい。
胸が痛い。
絶望…してしまいそうだ。
−生きるのを諦めないで−
−私を倒して−
「っ!!」
幻聴だろうか?
ふと、顔をあげる。
コヨミ?
「えっ…あっあぁぁ!!」
違う。
何だあの生き物は?
いや、見たことがある。
あれは…不死鳥?
本で出てくるあの幻の?
解った…あれは魔女だ。
魔女が暴れてこの村を燃やしているのだろう。
おそらくこの村に魔法少女がいたみたいだ。
だったら俺が倒さなくては……あれ。
いや、ちょっとまて。
「魔……女…?」
おかしい。
何故俺があの不死鳥の正体を知っている?
それだけじゃない。
俺は…魔法関係の事を知っている。
何故だ?
そうか。
俺は、託されたのか。
受け継いだのか。
コヨミの…魔法少女の意思を。
「俺が…救ってみせるよ」
左手には見覚えのない綺麗な指輪が装着されていた。
これを…使えば良いのか。
「魔法少女は…これ以上絶望しちゃいけない。だったら俺が魔法少女を救って見せる…」
俺の中の…『何か』が吹っ切れた。
「俺が魔法少女としての因果を全て振り払ってやる。絶望するのは…俺だけで良い!!」
「『リボーン』プリーズ!」
いつの間にか腰に装着されていた手の形をしたベルトのようなものに指輪を掲げ、そのまま左手を目の前にいる不死鳥のような魔女に掲げる。
言葉にならないような断末魔を上げ次第に魔女は消滅していく。
それと同時に…何が悲しいのかわからないが、俺の頬に一筋の涙が伝わった。
「ごめん…ごめんなぁ…コヨミぃ…」
次第に涙は溢れた。
断末魔が何故か彼女の泣き声に聞こえて仕方なかった。
全てを終えると、火災はいつの間にか鎮火し、その場に一つの赤い指輪を残した。
俺はそれを拾い、右手に装着する。
「俺は戦う。…魔法少女の為に…これ以上、コヨミみたいな子を出さないために…」
俺は歩く。
何処へ?
宛はない。
ただ…その先で絶望する、魔法少女を救う為に歩き続ける…。
俺に希望が訪れる日は、もう二度とないかもしれない…。
そう、『彼女』達に出逢うまでは−−−。
作品名:Wizard//Magica Infinity −6− 作家名:a-o-w