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機動戦士ガンダムRS 第35話 堕ちた獅子

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第7機動艦隊は、オーブ領海近くに近づいていた。
近くには、哨戒用のオーブ艦隊が出迎えていた。
「機関停止」
 ラミアス艦長は、僚艦に命令した。
その命令にアークエンジェルと僚艦は、機関を停止させた。
ザラ大統領とアズラエル大統領は、連絡ヘリコプターに乗るため近づいていた。
乗組員は、左右に並び敬礼して見送った。
ザラ大統領は、ラミアス艦長の前で立ち止まった。
「大丈夫だとは、思うがくれぐれもいざこざは起こさないように」
 ザラ大統領は、敬礼するとラミアス艦長にそう忠告した。
「了解」
 ラミアス艦長は、そういうと敬礼した。
ザラ大統領を乗せた連絡ヘリコプターは、飛び立ちオーブ所属のイージス艦に着艦した。
 ザラ大統領とアズラエル大統領は、連絡ヘリコプターから降りるとオーブ兵士から敬礼された。
ザラ大統領とアズラエル大統領も敬礼で返した。
2人は、その後上陸用ボートでオーブ本島に向かった。

         ※

 行政府にてザラ大統領、アズラエル大統領とウズミ前代表は会談を始めた。
「まずは、われわれの身勝手なお願いを受け入れて下さってありがとうございます」
 ザラ大統領とアズラエル大統領は、ウズミ前代表に軍艦でオーブ近海に来ることを許可してくれたことに感謝した。
「ことがこと故軍人の方々には、しばらく不自由を強いるがそれはご了解いただきたい。
戦争中に敵国の代表が狙われるのは、不思議ではありません。
そのあたりは、私も承知しているつもりです」
 ウズミ前代表は、そういい経緯の理由を理解していた。
「ありがとうございます」
 今度は、アズラエル大統領が感謝した。
「地球軍本部壊滅の報から再び世界は、大きく動こうとしている。
できればその辺りのこともお話しください。
見て聞きそれから解答を出しましょう」
 ウズミ前代表は、この会談で地球軍本部壊滅の詳細なども聞こうとしていた。
しかしこれは、中立の立場を取るオーブにとっては危険な行為だった。

          ※

 サオトメは、食堂に来たがそこではアイリス曹長が転寝をしていた。
サオトメは、アイリス曹長の寝顔を見たがあまりのかわいさに思わず見とれていた。
「何してるんだ。
アイリス、起きろ」
 サオトメは、一瞬このままずっと見ていたいと思ったがわれに返ってアイリス曹長が風邪を引かないように起こそうとした。
しかし一向に起きる気配が無い。
サオトメは、また気持ちよく寝ているアイリス曹長の寝顔に見とれてしまった。
「あれ?
どうして隊長がここに?」
 アイリス曹長は、まだ半分夢の中ではあるがおきた。
「偶然のどが渇いたから食堂にきたらお前が寝てた」
 サオトメは、ことの経緯を説明した。
「隊長の手って温かいんですね」
 サオトメは、アイリス曹長にそういわれて初めて気づいた。
2回目に見とれていたときにサオトメは、無意識にアイリス曹長のほほに手を乗せていた。
「ご、ごめん」
 サオトメは、あわてて手を引っ込めた。
「あれ?
隊長?」
 アイリス曹長は、完全に覚醒したらしく状況を理解しようと努めた。
「も、申し訳ございません」
 アイリス曹長は、あわててサオトメに謝った。
「謝る必要は、無い」
 サオトメは、アイリス曹長をなだめた。
「起こしてくれたんですね」
 アイリス曹長は、照れながらサオトメに質問した。
「ああ、風邪を引かないように」
 サオトメが答えた。
「本当は、私が寝ている間にいたずらでもしようとしていたんではないでしょうか?」
 アイリス曹長がからかうようにサオトメに質問した。
「疚しいことなど考えてないししていないぞ」
 サオトメは、至極冷静に答えた。
「疚しいことってどんなことですか?」
 アイリス曹長は、なおも意地悪な質問をした。
「エッチなことかな?」
 サオトメは、少し考え答えた。
「大胆発言」
 アイリス曹長は、予想しなかった答えに驚いた。
「艦内でそんなことをすれば艦隊に多大な迷惑がかかるからと思っただけで俺は、そんなことなどしないぞ」
 サオトメは、冷静に答えた理由と自分のことを説明した。
「そうなんですか
隊長になら触られてもよかったんですけど」
 アイリス曹長は、サオトメの説明にちょっと落胆した。
サオトメは、アイリス曹長の告白に驚いた。
「冗談です」
 アイリス曹長は、笑いながらそういった。
「か、からかうのはよせ」
 サオトメは、顔を真っ赤にして叫んだ。
「でも先の隊長の期待するような顔は、面白かったですけど」
 アイリス曹長は、思い出しながらそういった。
サオトメは、泣き面になりそうになっていた。
「冗談ですよ」
 アイリス曹長は、笑いながらそう告白した。
サオトメは、黙ってそっぽを向いた。
「これで許してください」
 アイリス曹長は、そういうとサオトメの左ほほに接吻した。
サオトメは、今度はうつむいた。
「こういうことに関しては、免疫が無いんだ。
できればからかわないでほしい」
 サオトメは、情けないとわかっていながらもそうお願いしてしまった。
「気をつけます」
 アイリス曹長は、ウィンクしながら敬礼して答えた。
 その後サオトメも機嫌を直し2人は、世間話をした。

         ※

 アラスカ陥落の詳細は、キサカ一佐からカガリにも伝えられた。
「宇宙から高出力ビーム砲の狙撃?
いくら敵の本拠地だとしてもその様な策は、常軌を逸している」
 カガリは、コロニー軍の策に憤慨していた。
オーブの政治家たちは、地球軍がアラスカ基地地下にサイクロプスを仕掛けていたなんて予想もしていなかった。
「だがアラスカは、確かにそれで甚大な被害をこうむった」
 キサカ一佐が情報の正確さを説明した。
「それでこれか」
 カガリは、そういうとテレビをつけた。
「守備隊は、最後の一兵まで勇敢に戦った。
我々は、このジョシュア崩壊の日を大いなる悲しみと共に歴史に刻まねばならない。
しかし我等は、決して屈しない。
我々が生きる平和な大地と安全な空を奪う権利が一体ナチュラルのどこにあるというのか。
この犠牲は、大きい。
だが我々は、それを乗り越え立ち向かわなければならない。
地球の安全と平和そして未来を守る為に今こそ力を結集させ思い上がったナチュラル等と戦うのだ」
 カガリは、そこまで見るとテレビを消した。
「地球連合は、中立の立場を採る国々へも一層強い圧力を掛けてきている。
連合軍として参戦しない場合は、敵対国と見なすとまでな。
無論我がオーブも例外では、ない。
この会談もそれが目的だろう」
 キサカ一佐がこの会談の目的を予想した。
「奴等は、オーブの力が欲しいのさ」
 カガリは、地球連合が本当にほしいものを予想した。

         ※

 行政府にてザラ大統領、アズラエル大統領とウズミ前代表が会談を続けていた。
「御存知のことと思うが我が国は、ナチュラルを拒否しない。
オーブの理念と法を守る者ならば誰でも入国し居住を許可する数少ない国だ。
遺伝子操作の是非の問題では、ない。
ただコーディネイターだからナチュラルだからとお互いを見る。
そんな思想こそが一層の軋轢を生むと考えるからだ。