機動戦士ガンダムRS 第35話 堕ちた獅子
パナマの防衛は、ユーラシア連邦が中心で行われていた。
「それは、一大事ですね。
すぐに会談を終わらせますか?」
ウズミ前代表が質問した。
「その必要は、ありません」
ザラ大統領は、きっぱりそう答えた。
「それよりこれを見ていただきたい」
ザラ大統領は、ある極秘資料をウズミ前代表に見せた。
ウズミ前代表は、それを見るなり言葉を失った。
それは、ニュートロンジャマーの効果を打ち消すニュートロンジャマーキャンセラーの資料だった。
「これを私に見せてどうするのです?」
ウズミ前代表は、何とか冷静さを保ちながらそう質問した。
「旧日本国は、非核三原則を訴えながらも自国の発展のため原子力発電に依存していた。
すなわち核は、恐ろしい兵器になると同時に国の発展のためには欠かせないものということです」
ザラ大統領は、立ち上がり窓に近づいた。
「ウズミ様は、この国をもっと豊かにしたいとは思いませんか?
オーブの理念を守るものたちにもっと質の高い生活を営ませたいとは、お思いになりませんか?」
ウズミ前代表は、苦しい表情をした。
「そのために地球軍に属せと?」
ウズミ前代表は、苦しくいった。
「この国の発展と安全は、保障します」
ザラ大統領は、胸を張っていった。
「私の方からもどうぞ」
今度は、アズラエル大統領が極秘資料を見せた。
それには、ユーラシア連邦の新型試作モビルスーツの詳細情報が載っていた。
ウズミ前代表は、もう何もいえなかった。
「ちなみにこの機体とニュートロンジャマーキャンセラーを搭載したモビルスーツは、既にアークエンジェル級の2隻に搭載されています」
アズラエル大統領が付け加えるようにいった。
ウズミ前代表は、脱帽感に襲われた。
※
ジャブロー基地に帰還した攻略艦隊は、その日勝利を祝ってパーティーを行った。
皆は、酒を飲んだり久しぶりにうまい料理を食べたりと楽しんでいた。
そのとき大型プラズマディスプレイにウズミ前代表が映った。
皆は、それに注目した。
「今回のコロニー軍によるジョシュア攻略の際のコロニー軍の常軌を逸した作戦をわれわれは、悪と判断した。
よってオーブ連合首長国は、現時点を持ってコロニー連邦共和国に対して宣戦布告する」
兵士たちのほとんどは、その演説に混乱したがサオトメは冷静だった。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第35話 堕ちた獅子 作家名:久世秀一