魔法少女まどか★マギカ~マギカ★parallel~ 第4話
リッカが落ち着いてきたのを見計らい、ほむらは申し訳なさそうに言った。
「本当にごめんなさいね芳野さん。全部私のせいだわ。あなたをこんな・・・目に合わせてしまったのは・・・。えっと・・・私・・・もう帰ったほうがいいわね・・・」
リッカは涙をぬぐいながら帰ろうとするほむらを呼びとめた。
「暁美・・・さん?私・・・本当にその義務から逃れられないの?それで・・・それで・・・それは私でもできることなの?」
ほむらは立ち止まって答えた。
「さっきも言ったように、あなたは魔女と戦う義務を負った。その義務からは逃れられない。」
ほむらは少し考えたあと、リッカの近くに歩み寄り、言った。
「・・・わかった。芳野リッカさん。何も知らずにこの世界に足を踏み入れてしまったあなたを放っておくわけにはいかない。こんな目に合わせてしまったのは全部私のせいだし・・・。それに、さっきは危ないところを助けてもらったしね。同じ十字架を負って歩く身として、私があなたを助けるわ。だから明日から私の魔女退治に付き合いなさい。どうかしら?」
リッカはさっきの戦いを思い出していた。悪意に満ちた結界と、恐ろしい魔女・・・思い出すだけでも身震いがした・・・。だが、もう後戻りできないという事実があった。
もう逃れられない。そう認めざるを得なかった。ならばやってやろう。リッカの持ち前の快活さ、負けん気の強さ、芯の強さがそう言っていた。
逆境に敢えて立ち向かう勇気を、リッカは持っていた。何事にも逃げずに立ち向かう・・・それがリッカのモットーだった。もう迷いはなかった。
何せ自分の前世は魔法使いだったのだから。
リッカはほむらをまっすぐ見据えて言った。
「わかった。私、やる。」
そして、笑顔を作って右手を出した。
「私、芳野リッカ。リッカ、って呼んで。よろしくお願いします。」
ほむらはそんなリッカの様子をみて、初めて笑顔を見せた。
「・・・あなたって面白いのね。さっきまであんなに泣いてたのに。」
リッカは答える。
「泣いてもしょうがない、って言ったのあなたでしょ。」
その言葉にほむらは笑って言った。
「おもしろいわね・・・あなたみたいな人には初めて会ったわ。私は暁美ほむら。ほむら、でいいわ。よろしく。」
そう言ってほむらはリッカの手を握った。
2人は連絡先を交換し、ほむらは学生証を受け取ると帰っていた。明日の午後6時に、リッカを迎えにくる、と言って。
「・・・疲れた・・・寝よ・・・」
とにかくリッカは疲れ切っていた。大変なことになったことは自覚できたが、もう何も考えたくなかったので、そのまま布団に潜り込むと、泥のように眠った。
いくら決心はしたとはいえ、実際ものすごく不安だったし、とにかく怖かったのだ。何よりもうあの平凡で幸せな日常はもう二度と自分には戻ってこないのだという喪失感と悲しみはどうすることもできなかった。それらはずしりとリッカの心にのしかかっていた。だからリッカは寝ることでそれから逃れようとしたのだった。もしかすると、明日朝起きたら、何もかも元通りになっているかもしれない、などという極めて幼稚な希望的観測もあった。
ほむらは夜の道を歩いていた。満月、月明かりが明るい夜だった。星がとても綺麗だった。
「・・・どうしよう・・・過去に戻れないなんて・・・。わけがわからないのは私も同じよ・・・。まどかがいない。他の皆も・・・。一体何がどうなっているのよ?
・・・芳野・・・リッカ・・・。あの子が何か鍵を握っているのかもしれない・・・。ここは可能性に賭けてみるほかないわ・・・。」」
ほむらは立ち止まると、一人つぶやいた。
作品名:魔法少女まどか★マギカ~マギカ★parallel~ 第4話 作家名:猫耳奉行