水泳バカップル
渚からのクエスチョン
遙の家の居間に、凛と真琴と渚と怜がいた。
遙はいない。台所にいる。サバを焼いているらしい。
会話がふと途切れたとき、渚が元気よく片手をあげた。
「凛ちゃんにしつもーん!」
「なんだよ?」
「今は違うけど、ハルちゃんって料理するとき水着にエプロンよくしてるじゃない? 彼氏としては、やっぱり、ハルちゃんの水着エプロン姿にムラムラしたりするの?」
凛に向けられている渚の眼は好奇心でキラキラ輝いている。
真琴と怜はあわてた。
「ちょ、ちょっと、渚」
「なにを聞いているんですか、そんな質問、ひとにするものじゃないですよ!」
しかし、質問された当人である凛は動揺していない。
「はー? ムラムラ? するわけねぇだろ」
なに言ってんだ、という様子で続ける。
「オレだって料理するときは水着にエプロンだ。水着に油がはねたりしたらイヤだろ」
それがあたりまえのことだと思っているようだ。
聞いていた三人は遠い眼をした。
そして、ほぼ同時に三人は視線を落とし、小声で話す。
「……聞いた僕がバカだったよ」
「うん、そうだね……」
「おふたりが似たものカップルであることを忘れていましたね……」
ふたりとも水泳バカであることを再確認させられた三人だった。