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Melty poison@Valentine(ディスジェ)

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 白い頬が桃色に染まっていて、サフィールは試しに触ってみた。すべすべしていて気持ちいい。何だか、無性に愛おしさが込み上げて、ついでにこっそり頬にキスもしてみた。
(……よし、大丈夫だ。今は落ち着いているし、どうにかなったりはしない。昨日の病気は気のせいだ)
 そう思い込ませて、冷静に鋏を取り出し、握られたシャツの端を切って部屋を出た。彼に近付く度に、盛っていたんじゃ命が持たない。
 逃げるかどうかは大分迷ったが、まずは謝ってみようとサフィールは思った。かなり怖いが、そこから、自分達の世界に新たなものが生まれるかもしれない。
 実は起きていたジェイドが、その後、布団の中で枕を叩いていたことをサフィールは知らない。この先、自分達の転がりゆく未来も。

(サフィールの馬鹿……)
 ジェイドはむっすりと呟き、布団に潜りながら、熱の孕んだ頬に触れた。
 こんな顔では仕事場に行けそうにない、と置いていかれたべたべたの眼鏡に、指紋を付けて恨みをぶつける。
 窓から覗く青空はいやに鮮やかで、昨日のお仕置きをしてやる気も削げてしまった。
 『恋の秘薬』はあながち偽者でもなかったので、摘発は許してやることにする。