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蒼氷(そうひ)@ついった
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共同戦線

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「待ちやがれ臨也ァァァ!」
「そう言われて立ち止まる人間なんているわけないでしょ。馬鹿だねー静ちゃん」

手当たり次第に投げつけられる物体を、まるで先の読めない動きでひらりひらりとかわしながら、臨也は静雄の追跡を楽しむかのように逃走を続ける。
池袋について多少でも知識があれば、二人の事は知っていることと同義だ。二人の姿を見かけた途端、人々は慌てて道を開ける。
ぱっくりと開いて突然の侵入者を招きいれた人波は、二人が通過すると同時に今度は野次馬の群れと化して、あっと言う間に道を埋めた。
向けられた携帯カメラのレンズにも捉えられる間もなく、二人は一筋の風の様に通り過ぎていく。
池袋の街中を人を縫うように駆け回りながら、臨也は少しずつ静雄との距離を伸ばし始めていた。
接近戦に 持ち込まれれば圧倒的に不利なのは明白だが、臨也はそれをさせまいと障害物を上手く操りながら逃げていく。
情報屋としての能力は、こういう場面でこそ発揮されるべきものだ。
静雄の知らない裏道、抜け道を把握しているからこそ今も池袋で活動を続けられている。
耳障りな笑い声を時折響 かせながら、臨也はこの逃走劇を心から楽しんでいた。
一心不乱に逃げるのならまだしも、時々振り返っては手招きなどしてくるものだから、静雄にとっては益々気に食わない。
怒りに任せて手近にあった標識を引き抜き、勢いのまま振り回すが、それは虚しく宙を掻いた。
視界から臨也の姿が消え、気を抜いた瞬間に頭上から声がかかる。

「その攻撃って当たると大きいけど、振り抜きまでの時間がねえ」

静雄が振 りぬいた標識の上に軽々と着地した臨也は、“止まれ”の文字をトントンと爪先で叩きながら、さも可笑しげに笑った。
長身の静雄を見下ろすように腰を曲げて、わざとらしく首を傾げてみせる。

「黙れノミ蟲野郎が!」
「言葉のボキャブラリーが貧相で、いっそ哀れみすら覚えるよ」

再 度振り上げられた標識から、トン、と軽い音を立てて地面に着地した臨也は、何時になく上機嫌だった。
立て板に水を流すようにスラスラと唇から滑り 出る言葉。静雄との会話は、臨也にとってただの言葉遊びでしかない。
するりと肩からジャケットを落として肘の辺りで止めると、臨也は欧米人宜しく 肩を竦めて見せた。
さも呆れたように吐き出された溜息と、残念そうに振られた首が静雄の怒りを煽る。
ますます怒りのボルテージを上げた静雄は、鬼の形相で臨也を睨み付けた。

「おお、怖い怖い」

感情の伴わない平淡な声音でそう呟いてから、臨也は再び逃走劇を 演じ始める。一拍遅れて静雄も追撃に出る、その繰り返しだった。
この関係は何の因果か高校の頃から続いているが、不思議と飽きは来ない。延々と続く日常という非日常に、虚しさを感じたこともなかった。