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ガキとオトナ

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「なぁ、オッサンよぉ。」


馴れ馴れしく擦り寄ってくるストローハット
それを門田京平は溜息混じりに軽く見下ろす

「あのなぁ。言ってんだろ。俺につきまとっても、」
「解ってるって。つぅか微妙に見下ろすの止めてくんねぇ?」
「そんなもの、しょうがないだろう。身長差は。」
「俺のポリシーとしては見上げられんのが好き。」
「そういう話は余所でやれ。」

もう散れとばかりに
手をシッシッと動かす門田のその手を
六条千景は素早く掴んだ

「遊ぼうぜぇ?池袋案内しろよ?」
「そういうのはお前のハニーらにして貰え。」
「んー。まぁハニー達と遊ぶ時はそうすっけどさ。」
「ならハニーと遊べ。」
「俺は今アンタと遊びてぇの。」
「俺は遊ぶ気も無いし遊んでやる気もねぇ。」
「俺は遊びてぇ。」
「喧嘩売ってんのか。大体お前チームはどうした?」

頭稼業ってのは
そんなにヒマなもんなのかと突っ込みながら
門田は今日の仕事の時間と場所を
改めて携帯のスケジュール機能で片手で確認する
何故なら片方の手は千景が掴んだままだからだ

「暇じゃあねぇさ。色々と睨みきかしとかなきゃ。」
「だったら、さっさと埼玉へ帰れ。」
「その忙しい俺がワザワザ来てやってんだ。」

オッサンの為にさ

千景が器用にくるりと取ったままだった手を回転させて
所謂
恋人達がよくやる指を絡めた手繋ぎの状態にする

「・・・あのなぁお前。冷静によく考えろ?」

門田はもう春先には温かすぎるニット帽を
片手で取って溜息ついて髪を掻く

「23歳のオッサンと何して遊ぶんだ。ん?」
「いーじゃんか。ゲーセンでもカラオケでも。」
「俺はそんな事する時間も気も無ぇ。」
「だって今日の仕事、夜からだろ?さっき携帯見た。」
「・・・お前。すばしこいのは目の方もかよ?」
「当たり前。携帯チェックは一瞬が勝負だぜ。」
「人の個人情報盗み見すんな。」
「だから。夜までまだ時間あんじゃんか。」

さっきから
何度目かの溜息をついて門田京平は池袋の雑踏を見渡す

こんな時に限っていつも自分の側にいる遊馬崎や狩沢
そして渡草の姿は目につかない
せめてここに彼らが居てくれれば
このやっかいなガキを体よくいなすのも簡単なのだが
一対一では喧嘩ならまだしも
こうやってひたすら懐かれてくると始末に悪い
そもそもが門田京平という男の本質は穏やかで
無闇矢鱈と喧嘩を売るタイプとは真逆なのだ

「・・・仕方ない。寿司奢ってやるからソレで帰れ。」
「はぁ?寿司?そりゃ寿司は好きだけど。」
「ならソレでいいだろう。寿司食ったら埼玉へ帰れ。」
「そんな交換条件、飲むわけねぇじゃん。」
「全く。お前は俺と一体何がしたいんだ。」


門田京平はまた溜息混じりに髪をかきあげ
こんな場合に一番言ってはならない台詞を口にした

大体が門田京平は人好きのする穏やかな男で
容姿その他も標準をどちらかと言えば少し上回るくらいなのに
女性に表立ってモテないのはこういうところだ

そしてそれを人一倍すばしこく
女性を落とすに長けたTo羅丸の頭が
聞き逃してスルーするはずも無い




「あれ?もしかして本気で気付いてねぇのオッサン?」



粋に斜めに被ったストローハットの下で
獲物を捕らえたと確信した目が
キラリと光った



「俺はアンタ抱いてみてぇの。じゃなきゃ」



俺のハニー達を放ったらかしてまで
わざわざ出向いて来ねぇって



「なぁ?」



俺と遊んでよ
オッサン

絡めた手をグイと引くと
呆気に取られた門田は簡単にバランスを崩し
面白いように六条千景の腕の中へ収まる

いや正確に言うならば
若干の体格差は如何ともし難く
見た目には
地味で大きな男に派手目でそれより少し小柄な男が
抱きついている、という風にも見える不思議な図だ
よく気をつけて贔屓目に見れば
六条千景が門田京平を抱いていると見えなくも無いが

な?だから
こういう時は寿司屋よかホテルだろ?

まだ呆然としている自分より大柄な男の耳に
六条千景は自信ありげに息を吹きかける

そこでやっと
片手に帽子を掴んだ門田京平は我に返り
ストローハットの下で輝く男の目を見た

「・・・お前。両刀使いか?」
「へぇ。さすがオッサン。古い事言うねぇ。いーや女好き。」
「だろ?だったら俺なんぞ関係ねぇだろう。」
「それがさぁ。」

なんつか
アンタ強いしさ面白れぇし話解るし番長だしさ

「だからチョット泣かしてみてぇなぁって思ってさ。」
「・・・日本語で喋れ。」
「んん?そこんとこ自分でもよく解らねぇんだけどよ」

そこで初めて六条千景は少し幼い笑顔で笑った

「まぁ何てぇか。オッサン好きだな俺、って思って。」
「・・・それが何故『抱く』に直結するんだお前は。」
「え、別に不思議じゃねぇじゃん。好きなら抱きてぇじゃん。」
「根本的に間違ってるのは俺もお前も男だという点だが。」
「いいじゃんか。ヤるこたそんな変わんねぇだろ。」
「というか。この体勢が既におかしいよな?」

力任せに門田は六条千景の腕から抜け
それなりの力で
門田を拘束していたはずの千景は苦笑する

「やっぱアンタ強ぇよ。気に入った。」
「頭沸いてんのは春の陽気のせいにしといてやるから」

ふざけてねぇで帰れ、とニット帽を被り
肩を小突く門田の手を再び六条千景が取る

「オッサン俺さぁ。狙ったコは必ず落とすんだわ。」
「そうかい。俺は生憎とコじゃないんでな。」
「よく言うじゃんか。恋は盲目、とかさ。」
「お前、そんなナリして意外と物知りだな。」
「へへ。女落とすにゃ口八丁が要るんでね。」
「その調子で頑張んな。それじゃあな。もう来るな。」

バシンと払い退けようと動く手

ニヤッと
ストローハットの下と
ニット帽の下で
互いの目が笑う

一方は好戦的に
そしてもう一方は怒りと歳上の余裕でもって




「・・・やっか?」
「・・・それしかねぇならな。」
「んじゃ今度の場所は俺に決めさせてくれや。」
「いいぜ。何処だ?」
「タクシー移動。今度は俺の奢り。」
「・・・お前。相当な負けず嫌いだな。」
「貸し作んのは好きじゃねぇんだよ。」
「大人しく奢られとけ。ガキのクセに。」
「煩ぇよオッサン。」
「だからまだオッサンと呼ばれる歳じゃねぇ!」





六条千景に連れられて
タクシーで移動したその先は

「・・・手前。」
「この方が話が早ぇだろ?」

車でそのまま乗り付けるタイプの
一つの部屋につき真下にそれぞれの車庫がある形の
言うなれば

「・・・いきなりラブホかよ。しかもタクシー乗り付け。」
「いいじゃんか。邪魔されねぇし。」
「お前。こんなとこでやりあったら隣の部屋に迷惑だろう。」
「何言ってんだよオッサン。隣もヤる事ヤってんだって。」
「そういう意味のヤるじゃねぇぞ?!」
「同じようなもんじゃんか。じゃれ合ってんだから。」
「・・・お前、俺よりも達観してねぇか?」
「俺は喧嘩もセックスも同じくれぇ好きなんだよ。」
「そうかい。ご苦労なこったな。」
「オッサン、余裕じゃん?」
「あぁ。負ける気無いからな。」

部屋へ入って
ベッドの上で弾みながらの六条千景と
作品名:ガキとオトナ 作家名:cotton