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最終回の感想と、2期嘘予告と、活動日誌2の感想

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二回目で、本当につらかったんだなと感じました。
なにがわかる、って言いたくなりますよね。
「わかる」
遙さんは強い声で言う。
その手を拳に握る。
「仲間と泳ぐ楽しさ。リレーをともに泳ぐ喜び。それを教えてくれたのは、凛、おまえだ」
遙さん、えらいね。
今のボロボロの凛ちゃんに対しては、そっとしておいてあげるのが一番で、それでもどうしても関わりたいのなら言葉をかけたいのなら遙さんの台詞がベストだったと思います。
凛ちゃんはハッとする。
遙さんは続ける。
「おまえだ。おまえがいてくれたから、俺は」
しかし、凛ちゃんは表情をゆがめ、遙さんにつかみかかっていく。
「黙れ!!」
「俺もわかったんだ! 気づいたんだ! なんのために泳ぐのか、だれのために泳ぐのか!」
凛ちゃんは歯を食いしばる。
「黙れっつってんだろ!」
そう怒鳴りながら、凛ちゃんは遙を殴ろうとする。
遙さんは凛ちゃんの手首を押さえて殴られるのを阻止したものの、地面に倒れてしまう。
その遙さんの身体に馬乗りになる凛ちゃん。
遙さんの襟をつかんで……ええっと、正直、凛ちゃんがなにをしたかったのかよくわかりません。
殴る気はなかったようです。
そのあと、凛遙は地面の上をゴロゴロ。すみません、緊迫したシーンなんですが、二回目見てみたら、なんか、凛ちゃん本気で暴力ふるう気なくて、でも本気でふるう気に見せたくて、どうしようかなーみたいな行動に見えるんですよね……。
それで上になったり下になったりして結局、また凛ちゃんが遙さんの身体のうえに馬乗りになる形になり。
ふと凛ちゃんが見た先には、地面に書かれた「For the Team」の文字。その近くには枝が落ちている。
はい、やはり会場に入るまえに遙さんが書いていたのは小学生のころに凛ちゃんがレンガに書いた言葉でした。
凛ちゃんはその字をじっと見る。
遙さんもその視線の先を見る。
このとき、凛ちゃんの横顔がアップされて、髪がかかっていて眼は見えないんですが、たいへんお綺麗な顔立ちをされています。
「……この樹、似てるよ」
遙が話す。
「校庭にあったあの桜の樹に。だからおまえも来たんだろ、ここに」
そう落ち着いた声で言われて、凛ちゃんは遙さんの襟をつかんでいた手の力をゆるめる。
遙さんの頬に水滴が落ちた。
遙さんを見下ろす、凛ちゃんの眼に涙が浮かんでいる。
「なんで……、なんで、フリーじゃねぇんだよ……」
涙はあとからあとからあふれ出て、凛ちゃんの頬を流れる。
……ああ、そうか、なんで、小学校のときに遙さんが書いたフリーじゃなくて、凛ちゃんが書いた言葉を遙さんが書いたのかと、言っているんですね。
うん、まあ、それはね、遙さんの凛ちゃんへの想いの深さゆえですよ……。
遙さんは凛ちゃんに実力は本物だなんて言わなかった。
もちろん凛ちゃんの夢がかなえられたらいいと思っているだろうけど、かなわなくてもいいと思っているんじゃないかな。
かなわなくても、夢にはとうていたどり着かない実力でしかなくても、ぜんぜんかまわないんじゃないかな。
たとえ実力が無くても凛ちゃんは凛ちゃんで、一緒に泳ぎたくて。
遙さんは凛ちゃんとの思い出を大切に思っていて、凛ちゃんのことを大切に思っていて。
それが伝わったから、凛ちゃんは素直に泣いたんじゃないかな。
そして、そんな凛ちゃんの根っこの部分を知っていたから、遙さんは凛ちゃんにどんな態度を取られてもずっと大切に思っていたんじゃないかな。
「俺も、おまえらと泳ぎてぇ」
涙をポロポロ流しながら、凛ちゃんは言う。
「おまえらと俺で、泳ぎてぇ」
凛ちゃんの流した涙が遙さんの顔へと落ちていく。
遙さんは目元を少し赤らめて微笑む。
……このときの遙さんの心境は、きっと、凛ちゃんが可愛くて可愛くてしかたなかったでしょう。
ツンツンしていたのが、やっとデレてくれて、可愛くてたまらなかったでしょう。
自分がこの樹が小学校の校庭にあった桜の樹に似ていると思って見あげたように、心傷ついてひとりでいた凛ちゃんがこの樹を見あげているのを見て、凛ちゃんも自分と同じようにあのときのことを大切に思っているのがわかったのでしょう。
遠く離れていても、再会したあとにすれ違ってばかりいても、自分と凛ちゃんをつなぐものがあり続けたことを知って、嬉しかったのでしょう。
つなぐものがあったからこそ、凛ちゃんはさっさと会場から離れていかず、桜の樹のそばで足を止め、見あげていた。
そして、遙さんが地面に書いた「For the Team」の文字を見て凛ちゃんは涙をこぼした。
凛ちゃんを見あげて微笑む遙さんは愛おしそうでした。
あ、なんか、頭の中をファンモンの「桜」が流れ始めた。
もう結婚しろよ、おまえら。
「……けど、今さらもう遅ぇよ」
そう言って、凛ちゃんはうなだれる。
……本当に可愛いね、凛ちゃん!
「いや、遅くなんかない」
遙さんは身体を少し起こして、強い声で告げる。
「行こう、凛」
戸惑う凛ちゃん。
……どんどん遙凛度が増していきます。
そこに、真琴・渚・怜がやってきました。


ちょっと流れぶった切って、小話を入れます。
「凛ちゃーん! って、あれ」
渚が呼びかけたあと、なぜか気まずそうな表情になる。
「あ、お邪魔だった?」
「はぁ?」
「ううん、気にしないで! 僕たちはしばらく消えるから続きやって! やっと凛ちゃんがハルちゃんを押し倒したんだからね!」
「はあ!? なに言ってんだ、おまえ!」
「だって、その体勢」
たしかに凛はあおむけの遙の身体のうえに馬乗りになっていて、押し倒したように見えてもおかしくはない。
「誤解だ! そーゆーことじゃねぇ!」
「あなたがそんなふうだから、僕はあなたの学校にまで押しかけていって、遙先輩のことをどう思っているのか聞きに行ったんですよ」
「どう思ってるかって、それはライバルだと思ってんのかとか、そーゆーことだろ」
「わー、凛ちゃんってもしかしてハルちゃん以上の水泳バカ?」
「凛さん、あなたは自分と同世代の相手から好きだと言われても、それが恋愛の好きではなく、ただ純粋に好きという意味にとらえるんじゃないですか? 付き合ってほしいと言われたら、交際してほしいという告白だとは受け止めず、どこかに付き合って行ってほしいという意味だと思うんじゃないですか?」
「……えーと」
凛は眼を泳がせた。どうやら心当たりがあるらしい。
そんな凛の手を遙がつかんだ。
「凛、俺は白昼堂々でも、だれかに見られていてもかまわない。続きをやろう」
「おまえまで、なに言ってんだーーーーー!!!!!」
周囲に凛の怒鳴り声が響き渡った。



真琴と渚の声を聞いて、凛ちゃんはそちらのほうを向き、立ちあがる。
三人は笑顔を凛ちゃんに向けている。
しかし、そのあと怜は苦い表情をしてみせる。
「まったく、あなたを見てるとイライラするんですよ。泳ぎたいなら泳げばいい」
ぼうぜんとしている凛ちゃんのうしろで遙さんが立ちあがった。
「凛」
遙さんが呼びかけた。
「来い」
凛ちゃんは振り返る。
風が吹いて、凛ちゃんの髪を揺らす。
ピンク色の花びらが散っている。
切れ長の眼を遙さんのほうへやり、やがて、その眼と口を驚いたように開く。