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シノ@ようやく新入社員
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お悩み解決戦線

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 クラウドが箱を開けると、透明感のある淡いブルーの宝石が、簡素なシルバーリングに淑やかな輝きを添えていた。
「アクアマリンか。俺には似合わんな」
 ラテン語で海水を意味する石。
 クラウドなら、誰を想って買ったのか容易に想像がつくだろう。
 デートの計画が決定した後、フリオニールには「本気の指輪を用意しろ」と指令が下され、問答無用でジュエリーショップに押し込まれた。作戦参謀組の三人が面白がっているのを強く拒否しなかったのは、たかが高校生に店員がまともに相手をするわけがないと、高を括っていたからだ。
 それなのに、高校生には見えない外見のせいで懇切丁寧な接客を受けたときは、自分の老け顔を呪わずにはいられなかった。
「今のオレには、これしか選べなかったよ」
「言われた通り本気で選んでくるとはな……。真面目というか、人が良いというか。本人にはいつ渡すんだ?」
「……渡せるわけないだろ……」
 お日様みたいに笑って自分に懐いている男を、困惑させるのは眼に見えている。自分のせいで曇った顔をさせるのは、何よりも耐え難かった。
「肝心なところでヘタレだな。ハードルが高いのは分かるが」
「高いなんてもんじゃないだろっ。死ぬまで太陽向いてるヒマワリに、蟻が地面からこっち向いてくれって言ってるようなもんだ。どうすればいいんだオレはっ」
「フリオニール……。ストーカーより悩んでないか」
 少し落ち着けと、クラウドがフリオニールの肩を叩こうとしたときだ。
 公園の茂みから黒髪の女の子が姿を現したと思ったら、険悪な表情で二人に近付き、クラウドの手首を力強く掴んだ。
「その人に近付かないで」
 予想外の展開に、フリオニールとクラウドは息を呑む。

 公園の入り口まで駆けつけたティーダは、息を切らしながら、異様な光景に目を見開いた。
 クラウドの手首を掴んでいる女の子は、反対の手に小振りのナイフを持っていた。