二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

とある夢幻の複写能力SS

INDEX|1ページ/18ページ|

次のページ
 

第一話 アフター ジ エンデュミオン



人だかりがあった
規模としては、道の端に群がるにしては多すぎるほどのもの
それを取り囲むのは俺達二人
俺がキーボードを叩き、それに合わせて少女が歌う
俺は黒髪に、秋っぽい服装
その右腕にはいつも通り風紀委員の腕章が付けられている
少女はピンク色の髪をセミロングまで伸ばしている
数刻の後、その曲が終わった
「ありがとうございました!!そしてみんな、ただいま!!」
桃色の髪の少女が観客に向かって告げる
「えっと、勝手に姿を消しちゃってすみませんでした。実は、ある人を探しにいってたんです。でも安心してください!」
少女は人込みを掻き分け、ある人物の前で停止する
「ちゃんと見つかりました!この人です!」
少女は見つけだした、よく似た顔立ちの黒髪の少女の手を取り、大きく掲げる
黒髪の少女はわけもわからずただ赤面しているだけだった
「えーっと、それで、勝手にいなくなってしまって、すみませんでした!」
桃色の髪の少女は、周りの観客に向かって深々と頭を下げた
また隣にいた少女も何故か合わせて頭を下げる
それを俺は微笑みながら眺めていた
「ありがとうございました!」
やがて人は去って行き、残ったのは数人だけとなった
「久しぶりだな」
先ほどまで観客として二人のライブを見ていた少年が声をかける
「あ、当麻君!」
声をかけられた桃色の髪の少女は、その少年の名を呼びながら駆け寄っていった
「来てたなら言えよ、上条」
俺も声をかける
その側にはいつもいるはずの銀髪のシスターの姿はない
名前は何だったかな
まあ、どこかで聞けるだろう
「いやぁ、ちょうど補習が終わって帰るところで出くわしたんですよ」
「なるほどな」
彼は上条当麻
右手に幻想殺しという異能の力を打ち消す能力を持っているツンツン頭の高校生だ
だが、訳あって今は記憶喪失らしい
「それで、どうしたんだよ。いつ戻ってきたんだ、アリサ?」
その声に、アリサと呼ばれた少女は振り向く
彼女の名は、鳴護アリサ
ストリート歌手「ARISA」として活動していた少女で、宇宙エレベーター「エンデュミオン」の完成記念式典のライブオーディションで合格し、そのままメジャーデビューしたのだが、先日の事件を期に消息不明になっていたのだ
そのアリサは、上条の問いに苦笑混じりに答える
「それが、よく分かってないんだよね…」
「は?」
「いや、先日の朝、私が目を醒ましたら何の前触れも無く隣で寝ていたんだよ」
話に混ざってきたのは先ほど頭を下げていた黒髪の少女だ
名はシャットアウラ・セクウェンツィア
どこか顔立ちが桃色の髪の少女に似ているのが特徴だ
彼女は、オービット・ポータルの私設治安維持部隊「黒鴉部隊」の隊長で、現在は企業を離れ、警備員直轄部隊として動いているらしいが、定かではない
能力は大能力の希土拡張
レアアースを媒体にしてエネルギーを解放する能力だ
…正直レアアースを常に持ち歩いている訳ではないので俺には扱いづらくて仕方がない
「…なんだそれ。じゃあ、詳しいことはわからないのか」
ちなみにシャットアウラは、いつものようなボディスーツではなく、普通の私服だ
まあ、あくまで今回は任務ではないしな
「それにシャットアウラには、以前みたいな不調はないらしい」
不調とはもちろん、音楽やそれに類するものがノイズとして聞こえてしまうものだ
実は、シャットアウラとアリサは元々一人の人間だった
それが三年前の事故の時にシャットアウラが奇跡を願ったためにその奇跡を体言するかのように生まれたのがアリサだった
だが、その真相を知ったあと、エンデュミオン倒壊を防ぐという最後の奇跡を起こし、二人は元の一人に戻った
俺の予想だが、歌うことで奇跡を起こすという形でアリサを生み出してしまったために、歌を認識することが出来無くなったのだろうと俺は考えている
「ふーん。じゃあ、今のアリサの歌や天岡の演奏も…」
「ああ、ちゃんと聞こえているよ。改めて聞いたが、いい声だ」
シャットアウラはアリサと俺を交互に見て言った
「へぇ。てか、天岡がキーボード得意だなんて知らなかったぜ」
「趣味の範疇だけどな」
上条の言葉に、俺は答える
そういえば、自己紹介がまだだったな
俺の名は天岡叶
能力は、超能力の複写能力
知っている通り、直接触れた人間の能力を複写する能力だ
また、趣味の範疇でだが音楽を嗜んでいたりする
それが今回の出来事であるこのゲリラライブを敢行させられた理由の一つでもあるのだが
「とりあえずさ、もうちょっと詳しく説明してくれよ。俺がキオッジアに行ってた時のことをさ」
「まあ、今から暇だし、ちょいと説明してやるよ」
俺は上条達を引き連れ、近くのカフェへと向かった
「まあ、あれだ。ちょっと大きな事件があったのさ」
その途中で俺は上条に向けて話しはじめた
上条がいない間に起こった、俺とアリサ、そしてシャットアウラの間に起こった事件を…



上条達がイタリアはキオッジアに旅行に出掛けた初日
叶は第七学区にある病院へ向かっていた
無論、超能力者第三位の御坂美琴の体細胞クローンである少女の番号無しを迎えに行くためだ
「おーい、番号無し。準備は出来てるか?」
そう言いながら叶は病室の扉を開けた
すると
「はわわ…っ」
―目に飛び込んでくる幼女の一矢纏わぬ姿
叶はため息をつき、開けた扉をもう一度閉じた
「叶の馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
閉めた瞬間、少女の叫びが叶の耳を貫いた
「まったくもう。叶にはがっかりだよ!って、ミサカはわざとらしくツンケンしてみたり」
「自分で言ってて悔しくないか?」
数分後、叶は番号無しが着替え終えたことを確認し、病室へ入った
「うるさいっ!ミサカが着替えてるところに入ってくるのが悪いんだ!って、ミサカはぶーたれてみる!」
「ちゃんと確認したじゃないか。社交辞令だったけど」
「その社交辞令ってところを何とかしてほしかったかも!」
いつもどおりの言い合いをしつつ、叶は番号無しの荷物をまとめていた
「まったく、こちとらファンだった歌手が突然消えて落ち込んでるところだってのに」
「それって誰?一一一?って、ミサカはにわかに疑問に思ってみる」
「一一一じゃねーよ。鳴護アリサって奴だ。大覇星祭前の軌道エレベーター『エンデュミオン』完成披露式典でのライブのオーディションに合格してそのままメジャーデビューしたっていうアマチュアの歌手だよ。学習装置の知識にないのか?」
「あー、あるにはあるんだけどさ。…まさか叶、その人のこと―」
「ストリートの頃からのファンだったんだよ。ようやくメジャーデビューできたってのに、もったいない」
こんなことを言っているが、叶は既に全てを知っている
あの時、エンデュミオンで何が起こったのか
そしてアリサの正体
―いやはや、あの時は大分荒れたもんだ
 正直、上条にあんな風に当たってしまったことは後悔している
 だが、まああれだ
 語るのも忍びないくらいにやらかしてしまったので語るのは止しておこう
「ちょっと叶!」
「ああ、悪い。ちょっと考え事してた」
どうやら叶が思いに耽っているうちに番号無しの用意は出来たようだ
「よし、行くか」
叶は荷物を持ち、少女を引き連れて病室を出た