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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力SS

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そして退院の手続きを済ませ、病院から出た
「あっ」
「あら」
その時だ
叶はある人物と出くわした
「よう、会いたくなかったぜ」
「失礼ね、まだ何も言ってないじゃない」
「まだってことは言うつもりだったんだな!!そうだったんだな!!」
名を霧島紅葉(きりしまくれは)という
黄鐘大付属高校一年の女生徒だ
能力は大能力の空間移動
そして、叶と同じく量産型能力計画及び絶対能力進化実験の研究者でもある
今はただの腐れ縁というか、同じ学校のクラスメイトというか、叶の一番の協力者というか、そんな関係だ
「で、どうしてお前はここにいるんだ」
「用がなきゃここに来ちゃいけないの?」
「仮にも病院だろうが」
「まあそうね。もっとも、今日はあんたの手伝いだけど」
叶は少し顔を訝しめた
「何よ。そんな顔しないでよ」
「絶対ほかになんかあるよな、意図が」
「当たり前じゃない。自宅に幼女連れて帰る男子高校生が怪しまれないようにするためよ」
「それに関しては何も言えないわ」
叶は渋々といった感じで紅葉の同行をよしとした
「まあ、流石に見た目十歳の幼女を俺だけで自宅に連れ込むのは怪しくてしょうがないよな」
「てかさあ、大覇星祭の時はどうしたのよ」
彼等は今、幼い少女を挟んで叶の自宅へと歩いていた
「そんなもん、空間移動したに決まってんじゃん」
「じゃあ今もすればよかったじゃん」
「幼女抱き抱えて空間移動なんて出来る訳無いじゃん」
「幼女幼女うるせー!ってミサカは大いに怒ってみる!!」
「だって十歳って幼女以外に例えられなくね?」
叶は追い撃ちをかけるようにぽつりとつぶやいた
刹那、誰かの携帯電話が鳴り響いた
「ん、俺か」
叶はすぐに電話に出た
「俺だ。…何?…わかった。すぐ行く」
叶は通話を切ると、紅葉に向かって言い放った
「悪い、呼び出されちまった。仕事だ。だから番号無しのこと頼んでいいか?」
「どうせ拒否権なんてないんでしょ。行ってきたら」
「悪い」
そういうと叶は持っていた番号無しの荷物を紅葉に預け、すぐさま連続空間移動を開始した
「…叶って忙しいの?って、ミサカはにわかに疑問に思ってみる」
「さあ、どうかしらね」



支部についた叶は、電子ロックを解除するとすぐさま叫んだ
「どうなってんだよ、おい!」
「ロック解除のタイム記録更新ダな、天岡」
その叶を出迎えたのは、電話をかけてきた少年だった
「おい、渡里。どういうことなんだよマジで」
彼は渡里和也(わたりかずや)
叶と同じく量産型能力計画に荷担していた元研究者だ
彼は叶よりも先に計画から足を洗い、叶と紅葉が計画から抜けるために尽力したものでもある
そして叶が風紀委員一七六支部に配属されたのと時を同じくして、第一七七支部に配属された風紀委員でもある
「さっき連絡したとおりダよ馬鹿。桐原史郎ガ留置所から行方不明になった、そういうことダ」
「クソッ、暗部の仕業か」
実は暗部にいる人間のほとんどは、犯罪を起こした受刑者なのだ
彼らは『上』と取引をし、そして自由を金で買う
その金は暗部で働くという行為を経て稼ぐのだ
「…まあ、あいつの場合は優れた研究者っていう点を買われたのかもしれないガ」
「だがなぁ、あいつがみすみす上の連中のために働くとは思えん。何か意図があるかもな」
「それは否定デきんな。あ、そうそう。一つだけ忠告」
渡里は書類を手に取りつつ叶に言う
「あいつ、ひそかに木原幻生とコンタクトを取っていたらしい」
その言葉に、叶は目を見開いた
「んな、いつだ!」
叶は渡里に詰め寄る
「大覇星祭前ダ」
「…てことは、あいつを拉致る前からそんな算段を…」
「番号無しの話か。霧島から聞いた。桐原の野郎、いったい何のつもりデ…」
「考えていてもらちが開かない。俺は探しに行くわ」
「待てよ」
支部を出ようとした叶を、渡里は引き止めた
「これ持ってけ。餞別ダ」
そういうと渡里は少し小さめの巾着を投げた
叶はそれを落とさぬように回収する
「何だよこれ」
叶は中身を確認する
その中には指輪が入っていた
橙色で小ぶりの石がついた指輪だ
「…止めてくれよこんな冗談。俺はゲイじゃねーぞ」
「俺ダって預かりたくて預かったジゃねーよ」
「預かった?」
「ああ。お前の父親から預かった」
「親父…?」
それを聞いて叶は眉間にシワを寄せた
叶は、母親が離婚して以降、父親とは音信不通だった
ただ、父親が今だ自身と妻のことを気にかけているのは知っている
それは母親が父親のことを気にかけていることからも窺い知れる
その父親が送ってきた物ということは
「…あの野郎、直接渡せばいいものをよりによって渡里に…」
「一応言っておくガ、たまたま学園都市に戻っていたっていうところに偶然あったダけダからな。なんか急いでたみたいだし」
「ま、そういうことにしとくわ」
「意味ありゲダなおい」
そんなやり取りをしつつ叶は渡された指輪を右手の人差し指に嵌めた
「…なんであいつは俺の指のサイズ知ってんだよ。俺はあいつの女じゃないっての」
「さあな。てか、女デすらないし」
「知ってら。じゃ、行ってくるわ」
「ああ。またなんか情報入ったら連絡するわ」
「頼む」
それだけ言うと、叶は律義に扉から部屋を出た
それと同時に女生徒が一人、姿を現した
「あら渡里さん、いらしてたのですか。…というより、天岡さんはどちらへ行かれたのですの?あんなに血相を変えて」
常盤台中学一年の空間移動能力者、白井黒子だ
「さあな。俺は知らんよ」
質問をぶつけた黒子に対し、渡里は惚けて見せた
「そうですの。そういえば、渡里さんと天岡さんは配属先は違っても同期でしたね。…もしかして、何かご関係が?」
「あー…。まあ、腐れ縁って奴ダ」
流石に『実験』のことを公には出来ない
それは渡里は分かっているつもりだし、叶からもきつく釘を刺されていた
「そうでしたか。では、聞かないことにしておきますわ」
「…助かる」
空気の読める後輩で助かった
これが涙子や飾利辺りならしつこく聞かれていたのかもしれない
渡里はその可能性を考え、ぶるりと体を震わせた
「どうされましたの?」
「…いや、なんデもない。てかさ、最近気になるんダガ、お前さんは天岡や俺ガ御坂と話してもなんか思わないのか?」
これは黒子が美琴の梅雨払いであることに起因していた
言わずもがな、常盤台の生徒であると同時に超能力者である御坂美琴には、多くの人間が関係を築こうと言い寄ってくる(時に下心丸出しで)
そのため黒子は、その梅雨払いを買って出ていたのだ
ただし、本人の了承無しで、事後承諾で
「それなら大丈夫ですの。渡里さんや天岡さんからはそのような気配は感じないのですの。それに、天岡さんは『八人目』とは言え超能力者。有意義な関係が築けていると思いますので」
「…そうかい。ま、認められてるならいいんダガ」
渡里は肩を竦めた
―ダガ、俺は御坂に自分ガあの『実験』に関わったことを伝えていない
 伝えれバドうなるか…
 まあ、あいつみたいに白状デきるようになるのは、まダ先か…
渡里はそんなことを思っていた



―クソッ、なんてこった!
 また、番号無しが狙われる…?
 無いとは…言えないよな…
同刻