あの花その後 完結
「だって…だって…みんな楽しそうだっただもん!!」めんま?もうっすら涙を浮かべて
「じんたんはめんまをお嫁さんにしてくれるっていったのにあなると結婚するし!」
じんたんを指さして頬を膨らます。
「ゆきあつとつるこも幸せそうだし」
「めんまだってこれから幸せになるからって! ちゃんと言いたいんだもん!!」
「ばっかだなぁ…」涙で顔をぐしゃぐしゃにしたじんたんが、めんまの頭を撫でた。
「俺は…」言い直して「俺達、超平和バスターズはいつだって仲良し…だろ!」
「うん!!」少しさみしそうに「だから…お別れなの…」
「めんま…ううん…メイはね…みんな忘れちゃうから…」
「お別れ…なんだよ…」今まで堪えていた感情があふれ出す。
「みんなが仲良くなっているのを見てね…羨ましくなって…ホッとして…忘れられたくなくて…」
「めんまわかってるんだ…淋しくても…そんなのいけないんだって…」
撫でられた手を振り切ってじんたんの正面に立つ。
「わたしをよろしくね…」
女の子があなるの耳元に口を寄せてそっと囁く。
「じんたんは泣かないから、ちゃんとじんたんを泣かせてあげてね」
ゆきあつとつるこを見上げて「幸せにね」といって離れる。
「ぽっぽのお嫁さん、外国人さんなんだね」ぽっぽの手を両手を包み込む。
「見つけられちゃったから…ちゃんと…行くね…」眠そうな表情で俯く。
あの夏、めんまをかくれんぼで見つけた夏。
この木の丘でさよならをした夏。
「バイバイ…じんたん…」
「バイバイ…みんな…」
朝日が女の子の横顔を照らす。
二度目のサヨナラ。
「めんま!!」
駆け寄るじんたんに少女が顔を上げる。
「ひっ!…」怯えるように木に隠れてじんたんから距離を取る。
「ごめん…君…名前は? 俺はじんたん。超平和バスターズのリーダーだったが今は引退して、
息子の和仁が超平和バスターズ?のリーダーをしている」
「私はメイ…野間メイ」
「メイちゃんか…よろしく」じんたんが優しく笑いかける。
そうだ…この子がめんまの生まれ変わりなんて関係ない。
振り返るとゆきあつが携帯電話で話していたが、つることあなるが頷いた。
ぽっぽの両手の中で子供たちが目を覚ました。
「すっげー! 超綺麗な朝日じゃん」眼を輝かせながら和仁が起き出す。
その声につられて、仁美、つぼみと軌道が起き出す。
つぼみは眠そうに目を擦りながら「お星さまおわちゃったー?」とぽっぽに聞いてくる。
「おお! お前なんだ! すっげー髪じゃん」
メイに気付いた和仁が近寄ってジロジロ見回す。
「やめろ!」じんたんが容赦ないチョップを喰らわす。
「ってー。何すんだよ! 父ちゃん」頭を押さえながら振り返る。
「お! お前、笑えんじゃん! すっげーいい笑顔だぜー!」
つぼみがぶすっとむくれ、あなるとつるこの瞳からハイライトが消えた。
「じんたんの息子すっげー!」ぽっぽが感嘆の声をあげる。
「浮かれているのはいいが、事案発生だぜ」ゆきあつがじんたんに携帯を向けながら
メイと名乗った女の子を見やる。
携帯の受信メール欄には「事案発生」となっていた。
「なになに…」
発生内容は昨日から女の子が一人連絡が取れなくなっているとのこと。
不明時の服装からして目の前にいる女の子に間違いはない。
「じんたん…これ…どうーすんだよ!」後から覘いたぽっぽが慌てふためいた。
「やばいって…まじでこれ…」じんたんも頭を抱えた。
そんな大人達をよそ目に和仁がメイと話していた。
「なぁ 俺たち、超平和バスターズ?ってのをしてるんだ! お前も入らないか?」
「えっ…」
「おもしれーぜ! 虫捕りしたり色々してるぜ! 何よりも俺たちの使命はこの町で楽しく遊ぶことだからな!」
「うーん…」躊躇するメイに畳み掛ける。
「それ! 手にもってるのノケモンだろ! 俺もとーちゃんからもらってるから! 俺たちとノケモンしよーぜ!!」
「ノケモンだけじゃないよ! 超平和バスターズ?があるよ!」つぼみが強く拳を握って主張した。
「そう! 俺たちだけじゃ足んねーんだ! この町の平和を守るのは!!」
「だから! お前も仲間になれ!」
「うん!!」メイが力強く頷く。
「やれやれ…これから賑やかになるな…」様子を見ていた大人達が顔を見やって溜息を一つ吐く。
「まったく…これをどう言い訳するんだぁー!!」ゆきあつが頭を抱える。
「大変だなぁ、先生とやらは」
じんたんがゆきあつを茶化す。
その様子を朝陽が優しく照らしていた。
それからすぐ、この町の平和を守る超平和バスターズ?に
一人の女の子が加わることとなる。
彼らを巡る冒険はこれからもずっと続いていく。