二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
ふくすけーる
ふくすけーる
novelistID. 48904
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

あの花その後 完結

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

「へー、めんまの妹ってそっくりなんでしょ…」あなるがゆきあつの顔を覗き込む。
「…なんだよ」
「惚れなきゃいいけどねー」といって笑う。
「はあーっ もう俺も立派な父親だぜ。めんまとのことはすっかり終わっているよ」
「でもこの前、父兄会で写真を撮られて喜んでいたじゃない」つるこがジト目で見る。
「なっ そりゃ写真撮ってもいいですかって言われりゃ悪い気しないだろーが」
「ゆきあつはすっかり尻に敷かれているなぁ」そういってじんたんは大げさに笑ったが
つることあなるの目線で黙った。

じんたんはあなるを助けた翌年に救急救命士になるべく進学し、3年後資格を取り
地元に就職した。

じんたんとあなる、ゆきあつとつるこ、ぽっぽとその奥さん。
この6人とそれぞれの子供たちでバーベキューをしたり、冬に星を見たりして
集まり、何かと最近は遊ぶようになった。

今日はめんまの命日。
夜にはめんまへの手紙を燃やすと決めているが、せっかくだからと言って
みんなでバーベキューをすることを決めていた。
ぽっぽが言い出して色々準備をしてくれているのでとても助かっている。
家庭を持ったぽっぽは放浪癖はなくなったが、家族で旅行をするために
頑張っている。
軌道が大きくなったら東南アジアから旅行を始めるとは本人の弁である。





駅に家族連れが降り立った。
男性は日本人離れした顔立ちで瞳は青色、肌は透き通るほどで、背は周りよりも
頭一つ飛び出るほどの高さ。
女性はこの地域特有の暑さにも関わらず汗一つかいてかくこともなく、背筋はぴんと伸ばし日傘を差していた。
「あら? あなたメイを見ませんでした?」
「さっきまでそこにいたんだが… 中の物産センターでお土産でも見てるのいだろう」
「家は一度来ているからすぐ分るんでしょうけど… まったくどこに行ったのかしら?」
女性の顎を手に当てて考える様も絵になり思わず通行人も見とれてしまうほどである。
「まぁ そのうち戻ってくるよ」
「あなたはいつもメイに甘いんですから」
「まあ。あれだけ目立つ外見だ。何かあればすぐわかるよ」
「もう…」腕時計に目を落すと間もなく約束の時間になりかけていた。
「とりあえず、先方にお会いしましょ」
「先方は市議会議員らしいからな。待たせるわけにはいかん」
「もうこんな時にあの子ったら…」



駅前通りから北に向かうこの道は生活道路と幹線道路を兼ねている。
その道を白い服と大きな麦わら帽子をかぶり女の子がまっすぐ歩いていく。
庭先で洗濯物を干していた女性が思わず
「おじょうちゃん。かわいいわねぇ。どこから来たの?」と尋ねてしまいくらいに日常から浮いていた。
「とおく!」右手に持った携帯ゲーム機を掲げた。
「遠いところからきたの? で、どこに行くの?」
「この道の橋の向こう!」体いっぱいを使って、方角を指し示す。
「橋? ここからだと結構あるわよ。 大丈夫?」
「うん! よく行ってたから道はわかる!」
「ありがとう! おばちゃん」振り向いて手を振りながら歩き出す。
「気を付けるのよ!」
そういうと記憶の糸を辿っていってもこの近辺に当てはまる女の子はいない。
「どこの子かしら…」





すっかり辺りは夕暮れを超えて闇に包まれ始めると頭上には満天の星空が広がっていた。
ぽっぽは手慣れた様子で望遠鏡を出し、天体観測の準備を始める。
秘密基地の前に、毎年めんまへ手紙を出している一斗缶を据えた。

「ねぇねぇ。なんでママたちはいつもここでお手紙燃やしているの?」
仁美があなるに尋ねた。
「これはね。ママ達の大事なお友達に手紙を渡すためよ。元気ですって」
「みんなで出すんだ。お友達も元気ですかって。そうしたらお返事でこの星空をプレゼントしてくれるんだ。
元気だよって」和仁を左に抱えながらじんたんが継いだ。
「だから、この日は雨が降ったことがないだろ」
「いっつもー晴れー!」つぼみは大きく両手を広げてゆきあつを見上げる。
「さ。パパ達は準備があるから、星空をみんなで見てるんだ」
子供たちはお菓子を食べたり、望遠鏡をのぞき始めた。



真っ暗な森の中を灯りを持たず小さな女の子が進んでいく光景は、
不思議でそれでいてなお、当然のような風景にも思えた。
それは女の子の足取りがしっかりしているせいなのか、それとも
目的地が決まっているのか、その両方なのかはわからない。



急にあたりを見回すと秘密基地から身を隠すようにして森に入っていった。



「パパァ。さっきから森の中に誰かいるー」つぼみが小屋の中から出てきてゆきあつにしがみ付いた。
「誰が…?」じんたんとつるこが顔を見合わせた。
ぽっぽが小屋の中から懐中電灯を取り出すと回りを照らしてみるが、
夜目に慣れた目でも何も見つけることはできなかった。

「まぁだだよ」
「ひぃ!!」真後ろの草むらから声がしたかと思うと、そのまま音を立てて茂みから遠ざかる
音がした。
「誰かのいたずらなのかぁ!!」じんたんが大声で叫んでも返事はない。

「まぁだだよ」さらに遠くから声がする。
「じんたん!! 待て!!」ゆきあつの制止も聞かずじんたんは駆け出した。
「あなると知利子はここで子供たちと待ってろ。いざとなったら警察へ電話するんだ」
あなるが頷くの確認するとゆきあつも懐中電灯を手にしてじんたんの後を追いかける。
「ぽっぽはみんなを頼む」

ゆきあつは声のする方は漠然とだが思い当たる節はあった。

めんまを2度目に見つけた場所。
めんまをかくれんぼで見つけた場所。

この先をまっすぐ進めばその場所に着く。



だけど…

今、じんたんが追っかけているのは、めんまの亡霊なのか…

あの声はあの夏に追いかけためんまの声じゃない。

行けばわかる。
「じんたーーーん!! 返事をしてくれーーー!!」
先に進んでいるであろうじんたんに呼びかけても返事はなかった。





「ここは…?」
この木はめんまを見つけた場所。
あの夏以来、意図的にこの場所を避けてきた。
なんとなくあなると付き合い始めてからめんまにそのことは手紙に書いていたものの
めんまへの後ろめたさを感じていた。

「まぁだだよ…」木の後ろから小さい声が聞こえてくる。
「めんま…ウソだろ…」
「違うよ…見つけたときはちゃんと見ぃつけたっていわないとダメだよ」

「じんたん!! その子はめんまじゃない!!」ゆきあつの声で振り返る。
「めんまはちゃんと成仏したんだ!!」
「だから、その子はめんまじゃない!!」

「そうだよ! だからね、ちゃんと、めんま生まれ変わったんだ!」
木の後ろから姿を現したのは銀髪の小さな女の子。眼は碧色に輝いていた。
「今日はそのご報告にきたの」
姿は6歳くらいだが、その口調と仕草はめんまそのものだった。

「うそ…めんま…」あなるの息を飲む声でじんたんが振り返ると
ゆきあつとつるこ。あなる、ぽっぽと子供たち、みんなが揃っていた。

「ほんとに…めんまなの?」尋ねるあなるに「うん…そうだよ」少し困って笑う仕草は
あの日と同じめんま。
「ねぇ! 何で今来たの!?」あなるが泣きながら迫った。