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yamatoへ… ユキバージョン 1

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テスト



  「今日はテストをするぞ。」

先生が教室に入って来るなりそう叫んだ。チャイムが鳴る前だったから子供たちは席に座っているわけもなく賑やかだった。

  「先生、チャイム鳴ってません。」

日直の子供が先生に言った。

  「すまんな、チャイムと同時に始めろ、って指示だから…座ってくれ。今日の
   日直さん、悪いがトイレに行って声を掛けて来てくれ。」

チャイムまで後5分。

  「はぁい。」

男女の日直は立ち上がりトイレに走って行った。トイレには他のクラスの日直やクラス委員がいて“テストだから教室に戻って”と叫んでいた。









  「始め。」

チャイムと同時に先生が時計を見ながら言った。一気に空気が張り詰める。






ここは九州。森ユキは静かにテストを受けていた。

  (急にテストだなんて…全然範囲も何も聞いていないのに…)

先生が入って来た時はそう思ったがテストの内容を見てたいしたことないと肩の力は抜けた。スラスラと右手は動く。止まらずにどんどん問題を解いていく。

  (うん、中3レベル、ってとこかしら。このクラスだったら半分くらいの
   人は出来そうね。)

テスト終了の合図も待たずユキは筆記用具を置いた。








  「難しかったね。」

国立小学校の指定のリュックを背負った子供達が家路に向かうスクールバスの中で今日のテストを振り返って話していた。

  「うん、習ってる所だったけど全然わからなかった。」
  「問題用紙も回収しちゃったから振り返りもできないよ。」

ユキの耳にいろんな言葉が入ってくる。

  「森さん。」

府と声を掛けられた。

  「なぁに?」

ユキが返事をする。

  「あのテスト、できた?」
  「あぁ、あれ?多分大丈夫。」

ユキが少しだけ笑う。

  「さすが、森さんね。満点いけそう?」

誰もがユキの答えに耳を澄ます。

  「どうかな…ケアレスミスがなければ…かな。」

ユキが小さな声で答えると周りはさすがぁ…とため息がもれる。

  「森さん、高校何年生の所勉強してるの?」

国立小学校は実力があればどんどん進む。進めば個別に指導する先生が付いてマンツーマンで勉強を教えてくれる。

  「………あ、ごめんなさい。着いたわ。」

バスがユキの自宅マンションの前で止まった。ユキはドライバーにお礼を言って降りた。

  「あ~ぁ、逃げられちゃった。今日こそどこの部分勉強してるのか聞けると
   思ったのに…。」
  
バスは出発した。ユキとの会話を少し離れた所で聞き耳を立ててる男子は多い。ユキの後ろ姿を見て名残惜しそうにつぶやく。

  「ちょっと、女子は森さんだけじゃないのよ?」

バスの中の女の子が不満げに男子を見る。

  「普通の女子はな。でもキレイな女子は森さんしかいないじゃないか。」

バスの中は険悪な雰囲気になった。