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yamatoへ… ユキバージョン 2

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  「うん、15分前…かなり早すぎちゃった…。」

ユキは登りのホームでベンチに座った。寮の専用のステーションなので人は余りいない。閑散としたホームに一人ポツンと座っている。そこへアナウンスが流れエアートレインが入って来る旨を伝えている。しばらくするとすごい風がホームに流れ込んできてエアートレインが入ってきた。ユキの前にパラパラと人が降りる。ユキはその様子を何気なく見つめていた。

  「森ユキさんですね?」

後ろから男性に声を掛けられた。ユキはびっくりして飛び上がりそうになったがゆっくり振り返った。

  「あ…あの…」

ユキが緒方さんですか?と聞こうとした時首から下げた身分証明書をユキに見せながらこう言った。

  「私が緒方です。どうぞよろしく。」

にこやかな男性だった。背は170程だろうか、痩せてる訳でなく太っているわけでなく顔も丸く鼻は鼻筋は通っているがやはり丸い印象だ。

  「はい、森ユキです。すみません、エアートレイン、降りちゃいましたね。」

声を掛けられた時エアートレインは扉を閉めて次の駅へ向かって走り出していた。

  「いえ、いいんですよ。少し早めに来て森さんをお待ちしようと思ってまし
   たので。思ったより早くいらしてたから驚いちゃいました。」
  「お待たせしちゃいけない、と思って…。」

立ちながら話をしていると次のエアートレインが入ってきた。

  「乗りましょうか。」

緒方はそう言うとユキと一緒にエアートレインに乗り込んだ。





  「へぇあいつ、頑張ってますね。」

緒方は浜崎の事をエアートレインの中でいろいろ聞いていた。

  「とっても人気のある先生で私結構睨まれてたと思います。かなり独占して
   いたので。でも浜崎先生じゃないとわからない事いっぱいで…。」

ユキがそう言うと緒方がウンウン、と頷いた。

  「あいつも医者になろうとしてたんですよ。」

緒方の言葉にユキが驚いた。

  「でもあいつね、頭いいでしょ?(ユキが頷く)医大に受かって勉強してた
   のに別の事がしたくなってね…そっち行っちゃったの。弁護士、だったかな。
   本当にもったいないな、って言ってたんだよ。弁護士の資格もすぐ取って
   その後また医大に戻って勉強して…医師免許持ってるはずだよ。だけど
   なんで塾の先生なのかがわからない…。本当の学校の先生だって出来るはず
   なのに。」

緒方の言葉にユキは“そうですよね”と合槌を打つ。確かにそうだ、あれだけ教えるのが上手だったら普通に学校で先生をした方がいいような気がする。

  「でも学校の先生は窮屈だろうからな。」

“あいつにゃ向かないな”と言って緒方は笑った。

  「あ、そろそろ…次だよ。」

緒方が立ち上がるとユキも一緒に立ち上がった。












  「あれ?」

ユキの靴がない事に岡本が気付いた。寮母が岡本の姿を見て声を掛けた。

  「ユキちゃんならさっき出かけたよ。勉強しに行く、って…どこへ行けば
   勉強できるのかね?」

寮母も不思議そうに言った。岡本は入学式のスーツを見にモールに行こうと玄関に向かったところだった。

  「岡本君はどこへ行くの?」(寮母)
  「はい、モールへスーツを見に。」(岡本)
  「その場で裾上げしてもらわないと入学式、間に合わないからね。」(寮母)
  「わかりました。」(岡本)
  「誰か見立ててくれるの?」(寮母)
  「父が…モールで待ち合わせしています。」

岡本がそう言うと“じゃぁ大丈夫ね”と言って寮母は岡本を見送った。

  (勉強するために出かけた?)

岡本はステーションへ向かいながら考えた。

  (知り合い、いるのか?)

岡本はユキの事で頭がいっぱいだった。