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yamatoへ… ユキバージョン 3

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桜はもう、葉桜になっていた。今日は入学式。ユキは母が入学式用に買った紺のスーツに袖を通す。

  (中学が私服でよかった。)

制服だったら入学式に何を着たらいいのかわからなかった。きっと周りはビシっとスーツで決めて参加するだろう。自分は先日まで小学生。嫌でも目立つのにそこで制服で参加するわけにいかない。



鏡を見る。


同い年から見たら“大人ぽい”と言われるユキも18歳の中に混じれば幼すぎる顔だった。ユキはセミロングの髪をうしろでひとつに結わいた。

  (これで少しは変わるかな?)

と、その時ユキの携帯が鳴った。誰だろう?と思ってみると岡本だった。

  「おはようございます。」

ユキは画面をOFFにしたまま通話した。

  <おはよう。あれ?通話のみ?>

岡本が笑いながら話しているのが分かる。そして何やら電話の後ろがにぎやかだ。

  「えぇ、今準備中でお部屋が散らかっているの。」(ユキ)
  <そっか、忙しい時間にごめんね。いや、今男子寮でご飯食べてるんだけど
   医大の入学式参加チーム、一緒に行こう、って話になったからユキちゃんも
   と思ってさ。もちろん看護士系の女性にも声掛けてるから女子ユキちゃん
   だけじゃないし…それに友達、必要だろ?同期になるんだし。どう?一緒に
   行こうよ。>

岡本からは何度か電話をもらっていて時々話していたしやはり一人で式に参加するのは緊張する、と思っていたのでユキはほっとした。

  「よかった、声かけてもらえて。一人で参加するのいやだな、って思ってたの。
   だって右も左も知らない人じゃ…それにみんな年上だし。」

岡本はユキの声を聞いてホッとした。

  <よかった、断られたらどうしようかと思ったよ。ここにいる仲間にも
   すごいかわいい子がいるよ、って言っちゃった手前“一人で行く”なんて
   言われちゃったら…なぁ。>

岡本が画面の後ろの誰かに声を掛けているようだ。賑やかに笑い声が聞こえる。

  「時間は何時に玄関ですか?」(ユキ)
  <式開始が11時だから10時に。>(岡本)
  「わかりました。よろしくおねがいします。」

ユキはそう言うと携帯を切った。






  「えっと、靴は…。」

クローゼットの下から真新しいローファーを取り出した。時間を見ると9時50分。

  「あ、行かなきゃ!」

バッグの中は携帯、通信機とマネーカード。ハンカチとティッシュも入れた。入学式会場に入れる証明書は通信機に入っている。ユキは持ち物を確認するとカードキーを片手に急いで部屋を出た。






玄関のロビーを見ると高そうなスーツに身を包んだ人がたくさんいた。その中でユキは岡本の姿を確認する。

  (よかった、いたわ。)

ユキはローファーを履くと岡本の傍に行った。

  「おはようございます。遅くなっちゃってすみません。すごい人、ですね。」

ユキが岡本に挨拶した。

  「おはよう。髪、結わいてるからわからなかったよ。」

岡本はユキを見て笑った。そして少し人だかりから離れるとそこで15人ほどグループになっている人たちがいた。

  「お待たせ、彼女が森ゆきさん。」

岡本が紹介する。そのグループには女性が5人ほどいた。

  「うわぁ~かわいい!いくつ?」

ユキは一気に囲まれた。そんな事は経験した事がなかったから体が硬直するぐらい緊張してしまった。

  「ほら、ユキちゃん、緊張しちゃったじゃないですか。ひとりずつ…。」

岡本が助け舟を出す。

  「ユキちゃん、この人たち、飛び級チームなんだ。まぁユキちゃんが最年少
   って~のはかわらないけど。俺が15…まぁ今年16だけどこいつも15,で、
   後は17。」

医大へ飛び級するのにたった1年かもしれないがその一年がとても大きかったりする。

  「森ユキです。よろしくお願いします。ユキ、と呼んでください。」

ユキはいままで“森さん”と呼ばれていた。転校があったせいか誰もファーストネームで呼ばなかった。

  「よろしくね、ユキちゃん!」

5人の女性がユキを取り囲み自分の名前を言い合う。すぐに覚えなくても大丈夫、これからはご飯一緒に食べて仲良くしましょう、と言われた。聞けば5人は看護士志望。

  「すごぉい!飛び級で…12歳で医大生…」

誰もが絶句する。

  「いえ…偶然チャンスがあっただけで…。」

確かに国の一斉テストがなければここにはいないはずだが…

  「うふふ、お互い早く現場に出られるように頑張りましょうね。」

自己紹介もそこそこに15人は人だかりから離れるようにステーションの方へ向かった。