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yamatoへ… ユキバージョン 4

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地下都市へ




富士に落ちた遊星爆弾をきっかけに日本各地でも遊星爆弾が落ちるようになっていった。他の国に比べれば少ないが領土が狭いためダメージは大きい。運よく都市部に落ちなかったので政府も軍も起動している。


…が、時間の問題だ。


近いうちに都市部にも落ちる。



一気に作った地下都市に人々は我先に、と避難し始めた。








  「今日は関東の三浦に遊星爆弾が落ちました。」

冷静にキャスターはニュースを読んでいる。すでに医大に入学して2か月が過ぎていた。地下都市に避難したが地上からじわじわ浸透してくる放射能汚染から避けるために政府は手を休める事無く地下へ、地下へと都市開発をすすめた。いずれ今住んでいるこの地下都市も死の街になる…誰もがそう感じていた。





  「キツい…。」

この頃になると予習をしていたかしていないかで差が広がり始めてきた。岡本は余裕っぽく見えるが決してそんな事はなかった。

  (ユキちゃんの手前、辛い顔は出来ない。)

森屋と徳山はかなりぐったりしていた。

  「ユキちゃんは余裕だな。」

森屋がポソっと呟く。ユキを見ると常に机に向かっている。

  「ユキちゃんは最初からずっとあぁしてたもんな。」

徳山もため息交じりにつぶやく。医大に飛び級した事で大喜びしたのもつかの間、勉強だけでいっぱいいっぱい。判ってるであろうごとく進む授業は本当に辛い。

  「ドイツ語なんてチンプンカンプンだよ。」

森屋が“英語なら何とかなるんだけど”と言う。英語とスペイン語は必須で母国語以外の授業は全て英語で行われていた。

  「ドイツ語で授業受けてるわけじゃないんだけどな。」

森屋が頭を抱えた。





  「ユキちゃんは勉強熱心だね。」

岡本がふたりを放ってユキに声を掛けた。机の上にはドイツ語のテキストがある。

  {とりあえずドイツ語をマスターしないとお話にならないから}

岡本の話にユキはドイツ語で返す。岡本はその流暢さに驚いた。

  「習ったの?」(岡本)
  {ううん、今通ってるの。奨学金、もらっているでしょう?それで通う事に
   しんだけど…。}

ユキが少し困った顔をした。

  「だって足りないだろう?」(岡本)
  {えぇ足りないわ。だから山村議長に相談したの。そしたら全部、出して
   くれたわ。…出してくれた、と言うかドイツ語会話塾へ入塾させてくれたの。
   お金は後で返す、って言ったんだけどドイツ語は医学上勉強しないといけない
   分野だから、って…ちょっと安心しちゃった。}

まるで英語を話してるようなそんな話しっぷりだ。途中岡本もわからなくなり眉間にしわがよる。

  「岡本さんもドイツ語勉強した方がいいわ。英会話と同じよ。すぐに覚え
   られるわ。」

ユキが日本語に戻る。

  「奨学金は全部返納したのかい?」(岡本)
  「それが受け取ってくれなかった…なんだか申し訳ないわ。」

ドイツ語は高校で選択科目になっている。そこで選択で取っていると随分違うのかもしれないが…。

  {大分覚えてきたから日常生活で困る事はないと思う。どう?流暢?}

ユキがそう言ってほほ笑むと岡本は一瞬ドキっとしたがわからないように笑ってごまかした。

  「いや、俺もそうなんだけどやはりドイツ語は難しい、と思ってさ。どうしようか
   悩んでたところ。森屋も徳山も悩んでるんだよな。そうか議長の山村さんに
   相談するのが早いか。」

岡本も急いで連絡しよう、とそう思った。