yamatoへ… ユキバージョン 5
分岐
「おめでとう。かおり、春香。」
気付くと2年半が過ぎていた。ユキのカリキュラムも順調に消化していた。ただ医師になるための大学課程は6年それからインターンとして経験を積んで行かなくては医師として認められない。
今日は同じ頃医大と同じ系列の看護学校に入学した同期が卒業する日だった。ユキは最初だけ少し揉めたがその後は友達としてずっと付き合う事が出来た。最初の頃は時間があるだけに人の事を気にしすぎて、という事もあったが自分自身が忙しくなってきてやっとユキの言っている意味がわかったらしい。
かおりと春香はユキとよく勉強をした。学校で聞こうにも“今更”と言う事もあったりして聞きにくい事をユキに教えてもらっていた。
「ありがとう、ユキちゃん。ユキちゃんのおかげよ。」
かおりはそう言って涙を拭いた。もともと4年で卒業コースだったけどユキのお蔭か二人はどんどん進み2年半で中央病院看護学校を卒業したのだ。それもかおりは首席で。次席だったのは春香。かおりもずっと主席だったわけではなくTOPはこの二人で入れ替わり状態だった。
「本当ね、ユキちゃんのおかげで私達くじけずにやって来れたわ。」
かおりと春香が右手を出す。
「ふたりとも中央病院だったわよね?」(ユキ)
「「そう」」
「待ってて、すぐに追いつくから」(ユキ)
「えぇ、待ってるわ。」
かおりが涙を拭きながらユキの手を握った右手に力を込める。
「この2年半で地球も随分変わってしまったわ。」(春香)
「そうね、もう地球上の碧い部分はほとんどない、って聞いたわ。」(かおり)
「ここもいつまでもつかわからないわね…」
ユキの言葉通り地下に掘り進められている地下都市の工事は着々と進み近いうちに第二段階の地下都市への移転が決まっていた。
「でも地下都市に移る時はまたきっと一緒よね。」
こうして別れを告げるようなことを言っているが寮は一緒。ただユキと違い二人はシフト制になるので顔を合わせる事は難しくなる。
「そうね。隣同士になったらよろしくね。」(かおり)
「なにが?」(ユキ)
「彼氏を連れ込んでも黙っててね、って事!」(かおり)
「!そんな事どうやってするの?」
ユキが真っ赤になって聞く
「窓…あるじゃない。忍び込もうと思えば何とでもなるわよ。」
かおりがあっけらかんと言う。
「かおり、ユキは男性に免疫ないんだからダメよ、そんな事言ったら。」
春香がコロコロわらいながら言う。
「え?(ユキを見て)岡本くんとは?」(かおり)
入学したての時、かおりは岡本が気になっていたのをユキは思い出した。
それが顔に出たらしく…
「脈ナシの人にいつまでも構ってられないわ。それに…」
当時、かおりは岡本の事が気になっていたがその岡本がユキの事ばかり、だったので早々に諦めていた。
「よく考えたら岡本くんって年下じゃない?私頼れる大人な人じゃないと無理、って
気付いたの。」(かおり)
ユキはそう言い切るかおりがきれいになった、と思った。
(人は恋をしたらきれいになるのかしら?だとしたら私には当分無縁の世界だわ)
ユキがそう思った時、春香が口を開いた。
「でもね、ユキちゃんも人気があるから気を付けた方がいいわよ。きっと同性から
嫉まれる存在になるから。」
春香の言葉にユキはいまいち意味が分からなかった。
「ユキちゃんはとってもモテるのよ。私なんて時々一緒にいると“あの子誰?
紹介して!”って言われるんだから。」(春香)
「そうそう、私も何度か言われたわ。」(かおり)
「そうなの?」
ユキは全く自覚がないのであっけらかんとしてる。
「そんな場合じゃないんだけどね。」
ユキは苦笑いをした。
「これから二人はずっと中央病院?」(ユキ)
「「多分ね。」」
二人は声をそろえる。
「なんでも看護士が足りないらしくて…」(春香)
「え?そうなの?」(ユキ)
「ほら…戦艦に乗ると…帰ってこない片道切符だから…減る一方なんですって。
中央病院は軍属だから志願すればすぐに従軍看護士になれるのよ。」
かおりが少し嫌そうな顔をして言った。
「とてもじゃないけど…戦艦になんて乗りたくないわ。命がいくつあっても足りない。
それに片道切符って聞いちゃうとね…。」
春香の声も少し小さい。
「まぁ大丈夫よ、私達はずっとここにいるから。現場に出たら私達はユキちゃんの
先輩だわ!」
香りが嬉しそうに話す。
「現場で…待っているわ。私達いっぱい経験を積んで将来女医、森先生のオペを
手伝わさせてもらいます!」
かおりと春香はそう言ってもう一度握手を求めた。
「おめでとう。かおり、春香。」
気付くと2年半が過ぎていた。ユキのカリキュラムも順調に消化していた。ただ医師になるための大学課程は6年それからインターンとして経験を積んで行かなくては医師として認められない。
今日は同じ頃医大と同じ系列の看護学校に入学した同期が卒業する日だった。ユキは最初だけ少し揉めたがその後は友達としてずっと付き合う事が出来た。最初の頃は時間があるだけに人の事を気にしすぎて、という事もあったが自分自身が忙しくなってきてやっとユキの言っている意味がわかったらしい。
かおりと春香はユキとよく勉強をした。学校で聞こうにも“今更”と言う事もあったりして聞きにくい事をユキに教えてもらっていた。
「ありがとう、ユキちゃん。ユキちゃんのおかげよ。」
かおりはそう言って涙を拭いた。もともと4年で卒業コースだったけどユキのお蔭か二人はどんどん進み2年半で中央病院看護学校を卒業したのだ。それもかおりは首席で。次席だったのは春香。かおりもずっと主席だったわけではなくTOPはこの二人で入れ替わり状態だった。
「本当ね、ユキちゃんのおかげで私達くじけずにやって来れたわ。」
かおりと春香が右手を出す。
「ふたりとも中央病院だったわよね?」(ユキ)
「「そう」」
「待ってて、すぐに追いつくから」(ユキ)
「えぇ、待ってるわ。」
かおりが涙を拭きながらユキの手を握った右手に力を込める。
「この2年半で地球も随分変わってしまったわ。」(春香)
「そうね、もう地球上の碧い部分はほとんどない、って聞いたわ。」(かおり)
「ここもいつまでもつかわからないわね…」
ユキの言葉通り地下に掘り進められている地下都市の工事は着々と進み近いうちに第二段階の地下都市への移転が決まっていた。
「でも地下都市に移る時はまたきっと一緒よね。」
こうして別れを告げるようなことを言っているが寮は一緒。ただユキと違い二人はシフト制になるので顔を合わせる事は難しくなる。
「そうね。隣同士になったらよろしくね。」(かおり)
「なにが?」(ユキ)
「彼氏を連れ込んでも黙っててね、って事!」(かおり)
「!そんな事どうやってするの?」
ユキが真っ赤になって聞く
「窓…あるじゃない。忍び込もうと思えば何とでもなるわよ。」
かおりがあっけらかんと言う。
「かおり、ユキは男性に免疫ないんだからダメよ、そんな事言ったら。」
春香がコロコロわらいながら言う。
「え?(ユキを見て)岡本くんとは?」(かおり)
入学したての時、かおりは岡本が気になっていたのをユキは思い出した。
それが顔に出たらしく…
「脈ナシの人にいつまでも構ってられないわ。それに…」
当時、かおりは岡本の事が気になっていたがその岡本がユキの事ばかり、だったので早々に諦めていた。
「よく考えたら岡本くんって年下じゃない?私頼れる大人な人じゃないと無理、って
気付いたの。」(かおり)
ユキはそう言い切るかおりがきれいになった、と思った。
(人は恋をしたらきれいになるのかしら?だとしたら私には当分無縁の世界だわ)
ユキがそう思った時、春香が口を開いた。
「でもね、ユキちゃんも人気があるから気を付けた方がいいわよ。きっと同性から
嫉まれる存在になるから。」
春香の言葉にユキはいまいち意味が分からなかった。
「ユキちゃんはとってもモテるのよ。私なんて時々一緒にいると“あの子誰?
紹介して!”って言われるんだから。」(春香)
「そうそう、私も何度か言われたわ。」(かおり)
「そうなの?」
ユキは全く自覚がないのであっけらかんとしてる。
「そんな場合じゃないんだけどね。」
ユキは苦笑いをした。
「これから二人はずっと中央病院?」(ユキ)
「「多分ね。」」
二人は声をそろえる。
「なんでも看護士が足りないらしくて…」(春香)
「え?そうなの?」(ユキ)
「ほら…戦艦に乗ると…帰ってこない片道切符だから…減る一方なんですって。
中央病院は軍属だから志願すればすぐに従軍看護士になれるのよ。」
かおりが少し嫌そうな顔をして言った。
「とてもじゃないけど…戦艦になんて乗りたくないわ。命がいくつあっても足りない。
それに片道切符って聞いちゃうとね…。」
春香の声も少し小さい。
「まぁ大丈夫よ、私達はずっとここにいるから。現場に出たら私達はユキちゃんの
先輩だわ!」
香りが嬉しそうに話す。
「現場で…待っているわ。私達いっぱい経験を積んで将来女医、森先生のオペを
手伝わさせてもらいます!」
かおりと春香はそう言ってもう一度握手を求めた。
作品名:yamatoへ… ユキバージョン 5 作家名:kei