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yamatoへ… ユキバージョン 5

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話しは数日前にさかのぼる


  「失礼します。」

藤堂の部屋を強面の男が訪ねていた。防衛庁の制服に身を包み背は高く眼光の鋭いこの男は他の誰よりも目立ち視線を集めた、が、近寄りがたいオーラでその視線をもねじ伏せる。

  「入りたまえ。」

Tween

防衛軍司令本部の議長の部屋…軽い金属音を立てて扉が開いた。

 「お呼びでしょうか。」

男はあからさまに“忙しいのに”という顔をした。…が、藤堂はわれ関せず、という顔でソファーをすすめると自分もその男の前に座った。

  「忙しいのにすまんな。」

藤堂が一言声を掛けるとアンドロイドがコーヒーを運んできた。

  「長官、まだ秘書をお付けでないんですか?」

男が呆れた顔で言う。

  「まぁ…まだなったばかりだし…引き継ぎの方が多いのでな。」

藤堂が運ばれてきたコーヒーに口をつける。

  「いただきます。」

男の前にはエスプレッソが置かれていた。

  「真田くん、早速だが…キミに頼みたい事がある。」

真田と呼ばれた男はこの頼み方をすると断らない事を藤堂は知っている。

  「内容によりますが。」

真田もこの頼み方をされると自分にしかできない事だとわかっているが一応そう、返事をしてみる。全部が全部安請け合いしていたら体が持たない。

  「実は面倒を見てもらいたい学生がいるんだ。」(藤堂)

思いもしない言葉に真田が言葉を失う。

  「小学校を卒業して飛び級で中央病院付属の医大に通っている子がいるんだが
   すぐにでも現場に出たいと言い出してな…看護士になるには充分すぎる知識が
   あるからすぐにでも中央病院に勤務させようと思っている…が、それだけじゃ
   もったいない、という事で訓練学校に通わせることにした。医師の次になりたい
   職業がパイロット、だそうでな…。」

藤堂が嬉しそうに笑う。それを怪訝そうに見る真田。

  「ドクターヘリ…じゃないが看護士自身がパイロットとなれば戦闘中、艦を移動
   しての治療、患者の移動を全部行う事が出来る。」(藤堂)
  「…という事はその子は戦艦に勤務しても構わない?と?」(真田)
  「そうだ。」

藤堂は真田の眼を見据えてそう頷いた。

  「しかし…すぐに戦艦に、と言う訳にはいかんでしょうな。はやりそれなりの訓練を
   した者でないと戦艦に乗せる事は出来ない…。」

真田がつぶやく。

  「しかし…私も付いてあげられる時間がありません。私よりもっと適任がいると
   思いますが?」

真田が断る前提で話す。

  「その子は良くできた子でね…山村の話のよるともともと飛び級を考えて学習
   していたそうだ。で、小学校6年生の時全国一斉テストで常にTOPを取っていた。
   今…普通に行ったら高校1年生か…。」(藤堂)
  「あぁ…あの代はとても優秀な人材がそろっていますね。」

真田も心当たりがあり頷く。

  「そうだな、そういう代もあるんだろう。…で、親が飛び級をさせない方向の
   人で…その子は学校の校長に6時間以上粘って親に黙って飛び級の手続きを
   させた、という根性の持ち主だ。小学校を卒業した日に親に告げたらしい。
   だから勘当同然で医大に通っていた。まぁ奨学金があるから生活に困った事は
   なかったらしいが。途中で親が折れた、と言ってたかな。で、先に言ったように
   早く現場に出たいと看護士に転向する事になって…ただそれだと奨学金が余る
   のとそのパイロット、と言う点で、週の半分を中央病院で看護士として働いても
   らうこと、と、もう半分を訓練学校に通わせる、と言う事。その面倒を真田くん
   にみてもらいたいのだよ。まぁ真田くんの助手として育ててほしいのだ。
   多分、いや、必ず傍に置いてよかったと思うはずだ。」

藤堂は直接ユキに会った事はないが山村の話を聞いてそう思っていた。

  「しかし…。」

それでも渋る真田に藤堂が口を開いた。

  「忙しいのは分かる…だから助手、だ。」

藤堂の口調が“命令”と告げている。

  「……わかりました。この件、引き受けましょう…しかし私が助手として使えない
   と判断した場合…」

真田が強い口調になる。

  「それは了承しよう。」

真田はその言葉に少しホッとした。

  「近いうちに顔合わせで…30分ほど時間が欲しい。2日後、ここに10時に頼む。
   あ、その子を10時に呼んでるから10時5分に隣の部屋に来てくれるか?」

真田は敬礼して頷く。

  「冷めてしまったな…エスプレッソが好みだろう?もう一杯運ばせるか?」

藤堂の言葉に真田は手を前にして

  「いえ…これで…。」

真田はエスプレッソを一気に飲むと敬礼して長官室を辞した。