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yamatoへ… ユキバージョン 5

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  「佐々木君、防衛軍の議長を呼んでくれないか?」

佐々木はすぐに通信機で藤堂と連絡を取った。


  「失礼する。」

10分ほどして山村の部屋に藤堂がやってきた。

  「めずらしいな、お前が呼ぶの。」

藤堂がにこやかに笑う。

  「そうだな、お前に頼みごとなんてめったにないからな。」

“防衛軍議長”の事をお前呼ばわりする山村に佐々木は笑いながらコーヒーを入れた。

  「さすがは同期の会話ですね。私には恐ろしくて…。」

佐々木はそう言いながらもにこやかだ。そして敬礼をして山村の部屋を辞した。

  「…で?どんな相談事だ?」(藤堂)
  「あぁちょっと協力してほしい事があってな…実は私が世話した飛び級して医大に
   通っている子がいるんだが…医師になるために勉強していたが早く現場に出たい
   と言いだして…看護士に進路変更する、と言い出したんだ。」

山村はそう言いながら自分の端末を操作し“この子なんだが”と言ってユキの顔写真付きのプロフィールを見せた。

  「あぁ、お前が前にとても優秀な子がいる、と言っていた子だね。」(藤堂)
  「覚えてたか?」(山村)
  「男女差別をするわけではないが女の子だったから覚えていた。」

藤堂がにこやかに返す。

  「で、この子の進路変更でなぜ私が呼ばれた?」(藤堂)
  「この子を訓練学校に通わせたいんだ。」(山村)
  「訓練学校へ?」(藤堂)
  「普通に行ったら高校一年生になったばかり。今からなら間に合うだろう?」

山村がニヤっと笑う。藤堂もなるほど、と顎に手を当てて考え事を始めた。

  「かなり優秀なんだよな?」(藤堂)
  「この世代ではTOPだ。今は医大生の中でTOP。彼女の努力は誰にも敵わないだろう
   と私は思う。医大生になりたいと、両親が反対する中ひとり上京してきた芯の
   強い子だ。でも強いだけじゃない。優しさと強さを兼ね備えた子だ。」

山村がユキの事をそう告げる。

  「お前がそれだけ入れ込むんだ…かなりの逸材なんだろうな。しかしこの代は…」

藤堂がうなる。

  「そうだ、粒ぞろい、だな。」

中央にある訓練学校だけでなく地方の訓練学校でも優秀なのが数名いる。訓練学校の中でもダントツなのだ。

  「わかった、少し待ってくれ。彼女の世話係を頼みたい人物がひとりいる。
   彼に頼めば普通に訓練学校に普通に通うより実になるだろう。」

藤堂の脳裏に一人の男が浮かんだ。山村は何気に想像できたが彼ならば、と納得した。

  「では…後日。」

藤堂は佐々木のいれたコーヒーを飲み干して山村の部屋を辞した。



  「お呼びでしょうか?」

ユキが山村の部屋に呼ばれた。横には佐々木が立っている。

  「まぁ、座りたまえ。」

山村がソファーにユキをすすめる。ユキはおとなしくそのソファーに座った。しばらくすると佐々木がユキに紅茶を、山村にコーヒーを運んできた。

  「佐々木さん、すみません。ありがとうございます。」

ユキが立ってお礼を言う

  「いやいや、森さんは今日、お客さま、だから。後二人来るからもうしばらく
   待っててね。」

佐々木はそう言うと敬礼して山村の部屋を辞した。

  「ふたり、いらっしゃる?」(ユキ)
  「これから森さんの後継者…まぁ保護者みたいな人を紹介するから。これから先、
   訓練学校に通うとなるといろいろあるからね。」

山村がそう言い切ったと同時にノックの音がした。