yamatoへ… ユキバージョン 6
分岐Ⅱ
Tween
静かな金属音がして長官室と秘書室の間の扉が開かれ真田は山村と一緒に長官室へ入った。
(え?女の子?)
真田は一瞬目元がピクついた。藤堂の横で緊張した面持ちのユキが真田の顔を見れず、下を向いていた。
(医大生のTOPは…女の子だったのか…)
真田は表情を変えずにユキの真正面に座った。ユキがちらっと真田を見る。
(大丈夫か?俺が怖い、なんて言わないだろうか?)
真田がそんな事を思っているとユキが立ち上がった。
「森ユキです。すみません、とてもお忙しい方と聞いています。」
といって真田の顔を見ずに下を向いたままお辞儀をした。真田は自分が怖い顔をしてるからユキも緊張してしまうのだろうと思いその強面を封印しようとしたがニコリと笑えない。
「あぁ…森さん大丈夫ですよ。この人、いつもこんな顔なんです。強面でね。
だから気にしないで。」
山村がさらっと真田の事を言う。
「いえ…あの…」
ユキがどうしたらいいか判らず山村の顔を見た後初めて真田と目が合った。
「あの、よろしくお願いします。」
にっこり笑ったユキの顔はとてもかわいらしかった。真田は封印していた姉の顔を思い出してしまった。つい、視線を反らしてしまった。
「いや、こちらこそ。」
真田はいかん、と思い立ち上がりもう一度顔を見て右手を出した。
「防衛軍は初めて?」
真田がユキを連れて防衛軍の中を案内する。
「はい。ずっと隣にいましたが…。」
防衛軍中央指令部の隣は中央病院…そこに医大付属の大学がある。
「私の指導は厳しい…が、それでも大丈夫か?」
真田が歩きながらユキに聞く。
「はい。お任せします。山村さんも長官も真田さんに任せれば万全だと言って
ました。私は右も左もわかりません。真田さんの指導の下、頑張ります。」
ユキが静かに…でも力強く言う。
「訓練学校に通う、と?」(真田)
「はい…パイロットになりたくて…今からでも間に合うでしょうか?」
すでに専攻してる人を思うと出遅れた感があるが…
「キミの頭脳があれば後は体で覚えるだけだ。大丈夫、その辺りの指導も任せな
さい。決してキミを落ちこぼれにはしないから。」(真田)
「よろしくお願いします。」
真田はもう一度ユキを見た。まるでモデルの様に美しく整ったからだと顔になぜ軍に志願するのかがわからなかった。
「なぜ…戦艦に乗り込もうと思ったのか聞いてもいいか?」
真田が聞きにくそうに言った。
「どこが一番私を必要としてくれるんだろう、って思ったんです。中央病院も
きっと私を受け入れてくれる…でもそうじゃなくて私にしかできない仕事を
したかったんです。」(ユキ)
「でも軍に所属するとなると常に死と隣り合わせだ。それがキミに耐えられるか…
間近で人が死ぬ戦場だ…自分自身もいつどうなるかわからない、と言うことだ。」
真田は苦しそうな表情になった。
「私も…何度も人が亡くなるところを見て来ました。」
ユキの言葉に真田はハッとした。
「病気で大体の死期がわかっているけどそれは突然来たりして…戦場レベルでは
ないと思いますが…それが自分の身に降りかかるかも、という事もわかって
います。このまま地球にいてもいずれは人の住めない所になる。同じ死を待つ、
なら自分らしく、って思ったんです。」
真田はユキの言葉に芯の強さを見た気がした。
(この子は見た目の美しさだけじゃない…)
真田と一緒に歩くユキを誰もが振り返る。真田が女性を連れて歩くこと自体、とてもまれな事なのでいろんな意味ですれ違う人すべてが振り返る。
「いつか…住めなくなる…か。そうだな…あの放射能を止める事が出来ないなら
将来は見えないな。」
真田は自分が無力だと心底思った。
Tween
静かな金属音がして長官室と秘書室の間の扉が開かれ真田は山村と一緒に長官室へ入った。
(え?女の子?)
真田は一瞬目元がピクついた。藤堂の横で緊張した面持ちのユキが真田の顔を見れず、下を向いていた。
(医大生のTOPは…女の子だったのか…)
真田は表情を変えずにユキの真正面に座った。ユキがちらっと真田を見る。
(大丈夫か?俺が怖い、なんて言わないだろうか?)
真田がそんな事を思っているとユキが立ち上がった。
「森ユキです。すみません、とてもお忙しい方と聞いています。」
といって真田の顔を見ずに下を向いたままお辞儀をした。真田は自分が怖い顔をしてるからユキも緊張してしまうのだろうと思いその強面を封印しようとしたがニコリと笑えない。
「あぁ…森さん大丈夫ですよ。この人、いつもこんな顔なんです。強面でね。
だから気にしないで。」
山村がさらっと真田の事を言う。
「いえ…あの…」
ユキがどうしたらいいか判らず山村の顔を見た後初めて真田と目が合った。
「あの、よろしくお願いします。」
にっこり笑ったユキの顔はとてもかわいらしかった。真田は封印していた姉の顔を思い出してしまった。つい、視線を反らしてしまった。
「いや、こちらこそ。」
真田はいかん、と思い立ち上がりもう一度顔を見て右手を出した。
「防衛軍は初めて?」
真田がユキを連れて防衛軍の中を案内する。
「はい。ずっと隣にいましたが…。」
防衛軍中央指令部の隣は中央病院…そこに医大付属の大学がある。
「私の指導は厳しい…が、それでも大丈夫か?」
真田が歩きながらユキに聞く。
「はい。お任せします。山村さんも長官も真田さんに任せれば万全だと言って
ました。私は右も左もわかりません。真田さんの指導の下、頑張ります。」
ユキが静かに…でも力強く言う。
「訓練学校に通う、と?」(真田)
「はい…パイロットになりたくて…今からでも間に合うでしょうか?」
すでに専攻してる人を思うと出遅れた感があるが…
「キミの頭脳があれば後は体で覚えるだけだ。大丈夫、その辺りの指導も任せな
さい。決してキミを落ちこぼれにはしないから。」(真田)
「よろしくお願いします。」
真田はもう一度ユキを見た。まるでモデルの様に美しく整ったからだと顔になぜ軍に志願するのかがわからなかった。
「なぜ…戦艦に乗り込もうと思ったのか聞いてもいいか?」
真田が聞きにくそうに言った。
「どこが一番私を必要としてくれるんだろう、って思ったんです。中央病院も
きっと私を受け入れてくれる…でもそうじゃなくて私にしかできない仕事を
したかったんです。」(ユキ)
「でも軍に所属するとなると常に死と隣り合わせだ。それがキミに耐えられるか…
間近で人が死ぬ戦場だ…自分自身もいつどうなるかわからない、と言うことだ。」
真田は苦しそうな表情になった。
「私も…何度も人が亡くなるところを見て来ました。」
ユキの言葉に真田はハッとした。
「病気で大体の死期がわかっているけどそれは突然来たりして…戦場レベルでは
ないと思いますが…それが自分の身に降りかかるかも、という事もわかって
います。このまま地球にいてもいずれは人の住めない所になる。同じ死を待つ、
なら自分らしく、って思ったんです。」
真田はユキの言葉に芯の強さを見た気がした。
(この子は見た目の美しさだけじゃない…)
真田と一緒に歩くユキを誰もが振り返る。真田が女性を連れて歩くこと自体、とてもまれな事なのでいろんな意味ですれ違う人すべてが振り返る。
「いつか…住めなくなる…か。そうだな…あの放射能を止める事が出来ないなら
将来は見えないな。」
真田は自分が無力だと心底思った。
作品名:yamatoへ… ユキバージョン 6 作家名:kei