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yamatoへ… ユキバージョン 8

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佐渡


  (お酒臭い?)

ユキは中央病院の個人ラボの応接室に入った。病院のアルコールと違う本当のお酒のにおいがした。

  「普通の人じゃないから驚かないように。」

事前に言われていたが真田がもう一度念を押すようにユキに言う。ユキもそれを聞いて頷いた。しばらくするとアンドロイドがお茶を運んできた。

  「先生、スグ来マス。座ってオ待チクダサイ。」

アンドロイドが器用にお茶を置くと応接室を出て行った。ユキは真田と一緒にソファーに座ると辺りをきょろきょろし始めた。棚と言う棚にどこから集めたんだろう?と思うほど一升瓶が並んでいる。

  「佐渡さんは日本酒が大好きで水代わりに飲む人なんだ。」

真田が苦笑いをした。ユキは驚いた顔で真田を見たが

  「大丈夫、腕は天下一品だから。私が認める数少ない医師だ。」

真田はそう言って自分の腕をさする。ユキは真田の腕が義手という事を知っていた。その様子でその義手を作る時に佐渡がかかわっていたのだろうと察知した。

  「おぅ、真田くん、待たせたなぁ~」

足取り軽くノックもせず背の低い個性的な男性が応接室に入って来た。

  「お久しぶりです佐渡先生。」

真田が頭を下げるとユキも一緒になって頭を下げた。

  「おう、この子か?随分べっぴんさんだな!」

佐渡がユキの顔を見てニターっと笑った。

  「うん、気に入った!ワシが面倒見よう!」

佐渡がご機嫌で言うと

  「佐渡先生?顔で判断されては困ります。」

真田が苦笑いしながら言うが

  「バカモン、ワシがいつ顔で判断した?」

ふざけながらもユキは一瞬見せた佐渡の真顔を見逃さなかった。

  「ははは、そうですね。冗談ですよ。」

ユキは声を出して笑う真田に驚いた。いつもニヤッと笑ったりするぐらいなのに声を出して笑っている。

  (佐渡先生と言う人物はどんな人物なんだろう?)

ユキは不思議そうに佐渡を見つめた。

そこへまるでカプセルに手が生えキャタピラーの足が生えたようなロボットが赤いランプをいくつも点灯させながらノックもせず入って来た。

  「佐渡先生、勝手ニ行動シナイデクダサイ………」

ロボットは入ってきた瞬間フリーズした。真田は慌てて立ち上がる。

  「アナライザー?どうした?大丈夫か?」

アナライザーは真田が触った事で正気に戻った様子。

  「真田サン、私ニ触ラナイデクダサイ。」

アナライザーはそう言うと心配で寄って来た真田を振り払いユキの傍に来た。

  「アナタ綺麗。私、アナライザー。コノ佐渡先生付ノ万能ろぼっと。私ニ
   不可能ハナイ。」

そう言いながらユキの手を取り勝手に握手をした。ユキもどうしていいか判らずアナライザーのなすがまま、だった。真田はその様子をみて笑いが止まらない様子だ。

  「森くん、このロボットはどこかの回線を繋ぎ間違えたのか美人に目がなくて。
   害はないからよろしく頼むな。」(真田)
  「真田サン、アナタノ用事ハ済ミマシタカ?」

アナライザーがユキの手を握ったまま真田に聞く。

  「あぁ?済んだが?」(真田)
  「私、コノ人ト話アル。早ク出テイケ。」

ユキは真田に命令口調で話すロボットに驚いた。

  「アナライザー?調子に乗ってると点検の時に解体するぞ?」(真田)
  「デタ!ぱわはらダ!」

アナライザーがありとあらゆるライトを点滅させている。ユキは思わず笑ってしまった。

  「アナライザー?よろしくね。」

ユキがアナライザーの手を握り返して言うとアナライザーは赤いライトを点滅させて

  「ハイ!私万能ろぼっと。何デモ任セテクダサイ!」

しばらく4人(?)で話て真田とユキは佐渡のラボを辞した。




  「面白い先生ですね。」

ユキが正直な気持ちを言う。

  「あぁ、そのうちその腕の良さに感心すると思う。それに夜勤もないし岡本と
   顔を合わせる事もないだろう。安心しなさい。」

岡本は真田の一撃で撃沈していた。ユキはそこが一番心配だったのでホッとした。

  「森くんには済まないが私はしばらくドッグに詰めっきりになると思う。」

ユキは大きな海戦を挑むために全戦艦が終結し傷ついた戦艦はその海戦に参加するために急ピッチの修理が行われている事を知っていた。

  「真田さん…」

ユキは真田の身体が心配だった。ラボには大きなソファーがあるがドッグとなると仮眠するのも難しいだろう…

  「大丈夫だ。」

真田は頷きながらユキにそう言った。