宇宙戦艦ヤマトのその後 1
地球へ
「…ご苦労だった…本当にご苦労だった。」
地球防衛軍長官藤堂が、自らヤマトの第一艦橋へ乗り込み古代とがっちり握手した。
「…長官…」
藤堂は古代と握手をすると真田、島、太田、南部、徳川、相原と握手した。握手が終わると進が一歩前に出て藤堂に話しかけようとした時
「…沖田は…この航海で自分の命がなくなる事…怖れてはいなかった…私は…大切な
友人を失ってしまったが…その友人が残していった物を守っていこうと思う。君達はその
沖田イズムを受け継いだ大切な乗組員だ。今動ける戦艦がヤマトくらいしかないので
ゆっくり休ませてやりたいがこのまま負傷者を下ろし各地へ向けて放射能除去作業を
行ってほしい。」
藤堂は涙を堪えながらそう命令すると第一艦橋の全員が敬礼した
「沖田は私が下艦する時に一緒に降りる…手のかかるヤツだったと思う…友人として礼を
言う…。ありがとう。」
地球は瀕死の状態だった。藤堂はヤマトを大気圏内で出迎えると救命艇でヤマトの中に入っり真っ先に艦長室へ向かったがすでに息絶えた沖田の遺体は冷凍カプセルに入れられていて対面することはできなかった。藤堂はそのまま第一艦橋へ向かい古代達と対面し次の命令を告げた。
藤堂がヤマトに滞在してる間に重症者から救命艇で地球に次々送られて行き負傷者の下艦が終わると放射能除去のスタッフにならなかった乗組員が降りて行った
「古代、森君がいないようだが?」
藤堂はメインスタッフが全員そろってないのを不思議がって聞いた。古代が頭を整理して話そうと考えてると真田が一歩前に出て長官に向かって話し始めた
「レーダー担当の森ユキは最後ガミラスが特攻を仕掛けてきたときに重症を負い一時心肺
停止状態になりまして…沖田艦長が息を引き取った頃蘇生しましたが念のため精密検査
を受けた方がいいと佐渡先生の話だったので下艦して中央病院へ向かうようになってい
ます。本人の意識はしっかりしていますが……本当はユキはここに残りたいと言っていた
のですが私達も彼女の体が心配だったので半分拘束するように下艦させました。」
「…そうだった…本人はしっかりしてるんだね?」
「はい。おそらく報告書でお読みになったと思いますがガミラスが最後ヤマトに体当たりした
所から放射能ガスを送り込んで白兵戦に持ち込もうとしました。ユキはその時まだテストも
していないコスモクリーナーを作動させ…その事故により一時的な仮死状態に陥った様で
心肺停止状態になりました。蘇生までの時間が長かったのでもし異常が見られた場合
手遅れになってどこかにマヒでもでると大変なことになると思い地球できちんと検査する
事になりました。」
古代は小さくため息をついた
「…責任感の強い子だから残っていると思っていたよ。負傷者にはゆっくり養生してもらおうと
思っている。君達も地上に降りるのが少し遅くなるが頑張ってもらいたい」
藤堂が真田に近づき肩をたたきながらそう笑顔で伝えると
「…実はまだ森君には言っていないんだが…私の秘書を、と思っていてね…地球に戻って
一看護師として戻るには忍びないと思って…」
藤堂がそう言うと
「そうでしたか。では私からも推薦させてもらいますよ。彼女は護衛としても充分なほどの
訓練を積んでいますしいざとなれば救命艇くらいの大きさなら操縦することも可能ですから」
真田が嬉しそうに言った
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 1 作家名:kei