宇宙戦艦ヤマトのその後 1
「古代、中央病院からユキに異常がなかったと連絡がきとったぞ」
佐渡が気を利かせて報告すると
「よかったな、古代!」
そうメインスタッフが口をそろえて言った
「あぁ…」
古代の素っ気なさに島が
「いまさらそんな素っ気ない返事しなくったっていいじゃないか。まぁ本人がいなくて寂しい
気持、わからないでもないけどな!」
そう嬉しそうに言った
「古代、後一週間で地上の除去作業は終わる。もうすぐユキに会えるんだ。もう少し頑張れ」
真田がそう言うと
「…そうですね…」
古代はそう言って力なく返事をすると“ちょっと休憩取ってくる”と言って第一艦橋を出て行った
「…あいつ、なんであんなに肩落としてるんだ?」
島が席で足を組んでそうつぶやくと
「さぁ…お、ここも雨が降り出したな。じゃぁ次のポイントに移るか。」
真田がそう言うと島が“了解”と答え太田が次のポイントを島の操縦席へデーターを送った
ユキが仮死状態に陥った原因が化学反応で雨雲を発生させる装置部分に不具合があった事を突き止めそれを改善した。コスモクリーナーは最後雨が降れば除去完成、ということだった。
地下都市で一週間の自宅養療に入ったユキは毎日テレビで報告される放射能除去の様子を見ていた
そこに自分のいない寂しさと少ししか離れていないのに懐かしい感じと誇らしい気持ちが渦巻いて不思議な感覚だった
退院すると近所の人が押し寄せた。地下都市は昔馴染みのところと違ってユキの知ってる人はいないが、隣近所と助け合って放射能と戦った数年間ですっかり親はご近所と仲良しになっていた。
「森さんのところの御嬢さんはすばらしいわ!」
褒め殺しに近い状態でユキはだんまりを決め込んでそれでも母の手前にこやかにしずしずとしていた。ユキは小学校卒業したころから飛び級で寮生活をしていてほとんどこの地下都市の自宅には近寄らなかったのだ。
全くを持って体調の悪いところなどないが居心地の悪さに“ちょっと…向こうで横になります”と言って席を外すこともあった
知人が帰ると今度はお見合いの束を持ってくる。父はそんな母に注意もするが一年間娘がどうしているか分からない状態で一時は死んだと報告があった手前強く注意することができなかった。そしてユキにもその母の気持ちを汲んでほしいと、病み上がりで自宅養療などと言ってるが全然休めてないと言いたいところだが自分の意志でヤマトに乗り込む事を決めた手前母を気遣ってほしいとそう父に言われていたので母を冷たくあしらう事が出来ずにいた
ユキはどっと疲れが出た。これならよほどガミラスと戦ってる時の方が気持ち的に楽だった、とそう思えるほどだった。気持ちの疲れが体に及ぼす影響をまさに自分の体で感じていた
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 1 作家名:kei