宇宙戦艦ヤマトのその後 4
過去
「ユキちゃん?調子悪そうだね、大丈夫?」
ユキは少し驚いて入口を見ると医師が扉の所で手を振っていた
「…岡本さん…今日、佐渡先生は?」
一瞬ユキの顔に緊張が走る
「佐渡先生は今朝無理やり長官から休暇を言い渡されて今軟禁されてるんじゃないかな。
もともと泊まるところがないと言ってここに来てたから空いてる寮の部屋をもらったんだと
思うけど…それよりほら、人の心配より自分の事!その辺り全然変わらないなぁ。
貧血の検査の結果も余り良くないし…食事もそれなりの出してるんだがなぁ…
鉄剤もうしばらく飲み続けてもらおうか。」
岡本と呼ばれた男はユキのベッドの横に来てそう言いながら布団をかけなおしてやった
「アレ飲むと胃の中から鉄の味がするような気がして…実際しないんですけどね。
あまり好きじゃありません。」
ユキの一言に
「元看護士として聞き捨てならない言葉だな!それだけ言い返す事が出来れば大丈夫
だろう?余り元気がなかったって言ってたが何かあったか?それと今はインターンでなく
きちんとした医師だよ。」
岡本は優しい眼でユキを見る
「いえ…大丈夫です。それより先生、こんなところで油売っていいんですか?ファンの看護
士がどこかで絶対覗き見してますよ。早く自分の所へ戻って下さい。」
ユキの一言に岡本の顔が変わる
「ユキちゃん、忘れちゃったのかい?キミがここを離れる時に俺が言った事」
そう言いながら痛くない左手をとり
「キミは俺のもの…でしょう。」
ユキは左手を振りほどこうと思ったがそれ以上に岡本の力は強かった。岡本は右手でユキのあごの下に手を当てて自分の方を向かせると
「キミは…ユキちゃんは俺のものだ。誰にも渡さない…分かったね?」
鋭い眼光でつぶやいた。ユキも負けじと目をそらさず無言で否定していた
「また今夜様子を見にくるよ。」
そう言って笑いながらユキのベッドから離れていった
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 4 作家名:kei