宇宙戦艦ヤマトのその後 6
進が出て行ったあとユキの両親は呆然と玄関を見つめていたが父が大きなため息をつきながらリビングに戻ってお茶を飲んだ。しばらくすると母のすすり泣く声が聞こえてきて
「…玄関じゃ冷えるだろう?こっちに来なさい」
そう優しく声をかけた。母はすぐリビングに来て椅子に座った
「…いい青年じゃないか。結婚は置いといて…付き合うのはいいと思うがね。自分の気持
ちだけを相手に押し付けちゃいかん。ママとユキはそこでいつもぶつかっていた。
ユキが国立の小学校を受験した時はまだママの言いつけをよく守っている頃だった。
でもそれからユキはいろんな人の影響を受けて自分の努力がどこまで通じるかそれを
試したくて必死に勉強して来た。でもママはそれを認めなかっただろう?いや、私も最初
は認めなかった。でも今思うと単に認めたくなかったんだ。自分の娘が自分の傍から離れ
て行くのを見て喜ぶ親はいないからね。
ユキは確実に自分の道を選んで進んでいる。ユキが大学へ行った時が親離れした瞬間
だったのかもしれんな。とりあえず…お見合いはすべてなかったことにしてほしいと正直
に伝えなさい。ユキは自分で相手を見つけると言って写真を見ようともしない、とね。
私の会社関係があったら私から言おう。」
そう言うと父はソファーに座りなおしテレビのスイッチを入れた。父は思ったより好青年だったことを少し残念に思った。
「ユキ、ユキ!」
古代はユキの左腕を取ると真田から借りたハンカチを持たせて
「泣くなって…ほら…」
そう言って頭をなでた
「古代くん、ごめんね…あんなだからいつもママとぶつかっちゃうの…」
ユキはつぶやくように話し始めた
「いつまでたっても私の事自分の物だと思っているのよ。だから早く独立したくて…
飛び級試験だって頑張ったわ。でも…認めてくれなかった。私は…勝手に寮に入る手続
きして家を飛び出しちゃったの…」
ユキは古代の腕に自分の腕をからめた
「ゆっくりでいいじゃないか。」
古代がそう笑いながらユキに向かって言った
「言いたい事はちゃんと言えただろう?きっとユキが幸せそうならいつかきっとご両親も
認めてくれるって。ガミラスは言葉が通じなかったけど相手は日本人だ、きっと大丈夫!
だと思わないか?」
「ちょっとぉ!私の両親とガミラスを一緒にしないで!」
ユキはそう言いながら笑った
「昼飯でも行くか!でもちょっと着替えたいな。一度ユキのところに戻ろうか」
「そうね。緊張してお腹空いちゃった!」
二人は再びこっそりホテルに戻って行った
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 6 作家名:kei