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最近、妻が冷たいの2

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【最近、妻が冷たいの2】




~前回までのあらすじ~

僕こと黒子テツヤは、新婚ホヤホヤのバカ尾君に捕まり散々のろけ話を聞かされた挙句「不倫してくれ」と言われて正直帰りたくなったのであった。







はっきり言って、僕はめんどくさいことは進んでやりたがらない性分だ。ただし、自分にとってメリットがあったり、必要だと感じたことはしっかりと向き合うし、やることはやる。もう一度言っておくが、僕は自分に障害しかもたらさない面倒なことに首を突っ込もうなんてことは考えない。

さて…そこまで説明して上で、だ。
この目の前で頭をさげながら不倫を懇願する高尾…バカ尾に関わるべきか、考える余地もなくNoに決まっている。

「高尾君…幸せすぎてアホになったんですか?」
「んな訳ねーじゃん!?寧ろ考えに考え抜いた結果だぜ?」
「そうですか、とりあえず僕はもう帰りますね」
「ヒデェ!ちょ、待って、マジでミスディレようとすんなって!最後まで話聞けって!!」

いつものごとくミスディレして逃げようとするが、流石鷹の目。さっさと帰ろうとする僕の襟首をつかみ、グイッと強引に席へと座らせた。ちょっと首がしまったんですけど殴りますよバカ尾君。
渋々といった顔で席にちゃんと座りなおす僕に、空気を読んだのかバカ尾君が「バニラシェイク2本奢ってやるからもうちょい話聞いて!」とあざとい笑顔でかえす。きっと相手が女の子なら「かーわーいーいー」とか言われて許して貰えるんでしょうけど、僕にはそんなの効きませんよ。

「…3本で」
「さっすが黒子ww」
…違いますよ、口が勝手に動いたんです。僕の意思とは裏腹に。
流石マジバです。僕の心を鷲掴みできるのはバスケと火神君とシェイクだけなんですね、一生付いていきます。やはりバニラシェイクには火神君と通ずるところがありますよね。まずマジバのバニラシェイクと火神君には人を引き付ける力があるとおもうんですよね。それから…

僕の脳内でマジバのバニラシェイク賞賛会が始まろうとしたとき、目の前にコトリとシェイクがおかれた。顔を上げると、いつの間にかに買ってきた3本のシェイクをテーブルに置きながら高尾が「そんじゃ本題に入るな?」と、話を始めた。



―ことの発端は結婚し、同棲をはじめてから1ヶ月ほどたった日のこと。
それまで、やっとのことで漕ぎ付けた結婚生活を満喫し、甘い甘い日々を送っていた高尾と緑間だったのだが。

突然、緑間がデレなくなったのだ。

確かに彼は超ド級のツンデレだ。緑間真太郎と書いてツンデレと読むくらいにはツンデレだ。だから、最初のうちはそこまで気にも留めてなかったのだが…

真ちゃーんと呼んで、返ってくる言葉が「黙れ」。アレどこに置いたっけー?と聞いて、返ってくる言葉が「知らん」。ただいまーと言って、返ってくる言葉が「チッ」。

結婚して同棲を始めたばかりのころは、「なんだ、かずなり?」とか「そこにあるだろう…ほら。」とか「おかえりなのだよー」とか、とりあえず全部にちゃんとした返事が返ってきたのに。今は大体3文字ぐらいの言葉でしか返答が来ない。
それどころか、ここ1週間に至っては寝室すらも別々にされてしまった。理由を聞いても、「うるさい」としか返してもらえず、それならばお風呂ぐらい一緒に入ろう!と言ったら、綺麗なフォームでクッションを顔面に叩きつけられた。

なぜここまで冷たくなってしまったのか。高尾にはぜんぜん理由が見つからず、途方に暮れるばかり。ツンデレの氷河期とはまさにこのことだ。もう泣きたい。―



「…嫌われましたね、完全に」
「ほんっとさ…なんでかな。」

いままで話を聞きながら、そこまでツンツンになってしまった理由を考えたが、出てくる答えは一つしかなかった。

「高尾君、大変いいにくいのですが、その、それは俗に言う…あれですよね。」

高尾は手で顔を覆いながら、黒子の言葉を聞きたくないとでも言うかのように大きなため息をつく。流石に可哀想だが、言うほかはない。

「…同棲してみたら相手の嫌なとこばかり見えるようになって冷めてしまった、ってやつですよね?」
「あ゛ーーー!!やっぱり?!だよね!そういうと思ってたし俺も薄々そう考えついてた!!でも認めねぇし!!?認めたくないし!?」
「落ち着いてください、周りの迷惑になります」

どぅどぅと手で宥めるサインを送ると、心なしか涙目な高尾はテーブルに突っ伏した。先ほどまでの惚気る元気はどこへやら。今ならミスディレしておいとまできそうだが、そこまで黒子は鬼ではない。ズズッと2本目のバニラシェイクをすすりながら、どうしたものかと考える。

「ちなみに、君達は結婚して何年目でしたっけ?」
「……まだ3ヶ月」

WOW!思わず英語が飛びでるぐらいには驚きました。まだたったの3ヶ月、ですと?

黒子の表情が動いたことを見逃さなかった高尾は、なんでだろーな、ほんと。と力なく笑いながら上体を戻した。無理やりとってつけたような笑顔が痛々しい。

「俺が真ちゃんに嫌われるようなことしたんならさ、ちゃんと直そうと思うよ。でも、原因すら分かんねーし、話してくれねーし。かと言ってさ、無理に問いただしても喧嘩して終わっちまうようなきがするから、それも出来ない。」

目を伏せながら、離婚なんてぜってぇやだよ、と言う高尾の言葉から、緑間に悪くした覚えはなさそうだ。なによりも緑間のことを語っている彼の目は慈愛で満ちていた。
ならば、なぜあの緑間が冷たくなったのだろうか。
彼の性格上、一度気を許した相手にはツンデレ度が上がる代わりに自分から相手を見放そうとすることはそうそうない。むしろ、相手のことをとても思いやってくれる人だ。
そして、高尾という存在は、緑間の中でもっとも気を許しているかけがえのない存在だということは、誰が見ても一目瞭然だ。
じゃあ、どうして…考えれば考えるほどに理解が出来ない。
こういうものは第三者が直接本人に聞いたほうが早いのですけどね、と思いつつ、黒子は「そういえば」と高尾に向かってもう一つの疑問を投げかけた。
高尾は、自分で買ってきたらしいマジバのアイスコーヒーをごくりと飲みながら「ん?」という表情を浮かべる。
結構前から気になっていたのですが…と思いつつ、疑問を口に出した。

「なんでその話から僕と不倫なんてことになるんですか?」

今、この倦怠期とも言える最悪な状況下の中不倫をしたいなどと思う人がいるのだろうか。しかも妻?も共通の友人であり、男であるこの僕にだ。いや、目の前にいるけど。
当たり前な疑問の答えをまちながら、3本目のシェイクに口をつける。店内の人の熱気と時間の経過のせいで、少し解け始めていた。
疑問を投げかけられた高尾はというと、アイスコーヒーの氷をガリガリと噛み砕きながら「あー…それはね」と答えようとする。
黒子は、その間シェイクを啜りながら黙って待つ。
口の中に残っていた氷の残骸を飲み下し、一つ咳払いをしてから、高尾は黒子を見据え少しニヤリと笑った。

「真ちゃんの気持ちを、確かめるんだよ」

正直意味が分からないといった顔をした黒子に、高尾は静かに内容を話した。