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最近、妻が冷たいの4

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拾ったゴミを捨てようと、背後にあるゴミ箱へ振り返った…が、「やぁ火神君、こんばんは」「うおぁっ!?」…そこには黒子が立っていた。

「おまっ、いつからそこに居たんだよ!?」
「真ちゃん優しい可愛い!!…の辺りからですね」
「ちょっと前じゃねぇか。一言言おうな」

全く、と言いながら立ち上がって玄関へ空き缶の入った袋を運ぼうとする…はずだったのだが。

「ちゅっ」というリップ音に思わず動きがとまる。目の前には、ぼやけた黒子の顔。瞬間的に唇にくっついたものはすぐに離れて、今度はもっとゆっくり口を付けられた。
状況が掴めず、フリーズする脳。
え?は?自分は今何をしている?


『黒子とキスをしている』という状態を脳で文字化した瞬間、火神は頬が沸騰するかのように熱くなったのを感じた。
過去に散々師匠のアレックスにされたものと、同じ行為のはずなのに黒子にされるものはどうしてこうもドキドキするのか。
長い時間だと思ったキスは、ゆっくりと離れて終わる。ぼやけた顔が徐々に鮮明になって、よけい顔が熱くなるのがわかった。

「…火神君、」
「なっ、なっ…」
「僕は君が好きです。君は僕が、フザケてやっていると思っているようですが…僕は本気ですよ火神君。」
「黒子…」

いつもよりも真剣な顔付きに、火神は思わず息を飲む。心臓がドクドクと脈打っていてうるさい。

「ほら、僕の心臓に手を当ててみてください。」

そういって、黒子は自身の胸に火神の手を当てる。黒子の心音は…

「…通常の速さじゃね?」
「あれ…おかしいですね。あ、じゃあちょっと待っててください。今脳内で火神犯しますんで、僕の影(意味深)を触って貰えば分かるかと…」
「よぉし黒子、気持ちは分かったから落ち着こうな。あと本人の前で犯すとか怖いこと言っちゃいけないぞ」

思わず二人で顔を見合わせる。ぷふっと噴き出したのはどちらか、二人して笑った。
あぁ、と火神は思う。自分も、高尾と緑間のようになりたいのだ。まさに、この瞬間の心地よい関係に。

「黒子、」
「…なんですか?」
「俺も好きだ」

微笑みながらそういうと、黒子は両手で顔を覆い震え始めた。
え、なんだこれは。俺は何か間違えたのだろうか。

「お、おい…黒子?」
「僕の光まじ天使。火神君、お付き合いを前提に結婚してください」
「え、なんか違くね?」

順序の間違いを指摘し、首を傾げたら黒子はそのまま何事か口走りながらベランダへと出た。
よく分からないけど、恐らく俺らはこれで恋人同士となったのだろう。…暢気にそんなことを考えながら、外から聞こえてきた「世界は幸せで満ちている!!オゥイエ!!」という叫びは聞かなかったことにした。決して他人のフリをしたかったわけではない。









「色々、迷惑かけたな」
「いえ、いいんですよ。僕らも晴れて結婚することになりましたし」

湯気の立つ白肌を朱に染めながら、緑間は柔らかな笑みを黒子に向ける。対してツヤツヤと肌を輝かせながら、黒子も天使のような微笑みを浮かべた。
長い長い風呂に入っていた高尾と緑間を待っていた訳ではない。黒子と火神もベッドルームで二人、イチャイチャしていたのだ。
友人が部屋にいる状態で風呂セックスをする二人と、友人の部屋で勝手にベッドを使ってセックスをする二人…どちらが図太い神経なのか。どっちもどっちだろうか。

「黒子、まずはお付き合いからだぞ…」

はぁ、と少しだけげんなりとした顔付きの火神。しかしその顔は心なしか嬉しそうで、満更でもないようだ。
そんな火神を見て、「お前はタチだと思ってたわ…」と呟く高尾。


紆余曲折を経て幸せになった四人を祝福するかのように、空には雲一つない満天の星が輝くのであった。