yamato2 それから 2
目覚め
「…島さん。みなさんが心配しています。」
テレサはベッドの上でくつろぐ島に向かって言った。
「いいんだ、それより…」
島はテレサを手招きして呼んだ
「起きたら…もう…」
そばまで来たテレサを強引に抱きしめるとそのままベッドに押し倒しキスをした。
「離れたくないんだ…このまま…二人だけの世界で…」
「島さん…」
「テレサだって…ずっとこうしていたいだろう?」
何も言えずにいるテレサだったが島の慣れた手つきに体が反応する
「…島…さん…で…でも…」
テレサの心は揺れていた。島は現実に生きている…今、夢の中にいるようなもの…早くクルーの元へ、と思う気持ちと島に愛される歓びを知ってしまった事で強く拒否できないでいた。
島のたくましく鍛え抜かれた体で優しく…時に激しく愛されて…テレサは今までにない幸せを感じていた。
「テレサ、きれいだ…いつまでも抱きしめていたい…愛している…」
そう耳元でささやかれ島に触れられるだけで電流が走ったような感覚に陥る。
(私はどうしたらいいの?)
テレサは初めての葛藤に悩んでいた。
どれぐらい時間が流れただろう…島には時期(とき)が永遠に止まっていると思えるほど時間がゆっくり流れていた。
「島さん…私、昨日、ユキさんとお話ししました。」
島の顔色が変わった
「ユキさんが“説得してほしい”って…“私を生かして”って…。
島さんが死んでしまったら私も死んでしまう…私はあなたの中でずっと
生き続けるの…あなたを通して美しい地球を見るわ。だから私の為に
生きてほしいの。」
テレサが泣きながら島に訴えた
「あなたの体の中で生きるわ…ずっと…永遠に。」
「待ってくれ…もう、会えなくなるのか?こんなに愛しているのに…俺は
テレサと一緒にいられるなら目覚めなくていい…ずっと一緒にいたいんだ
どうしてわかってくれないんだ!」
島は力いっぱいテレサを抱きしめながら絞るような声で叫んだ。でもその島の腕の中でテレサは静かに言った
「あなたは生きているの。必要とされているのよ…いいの?ヤマトが航海に
出る時…見送ることができる?」
島はその一言で何も言えなかった
「…私は…あなたにたくさんの幸せを教えてもらいました。テレザリアムに
いるだけの私は“なにもない私”でした。だけど今は違う…あなたに
愛されて…もう、充分です。私は私の行くべき世界へ行きます。
だからあなたも戻るべき世界へ…」
テレサはそう言うとそっと島の背中に手をまわした。少し島の力が緩む
「私があなたにしてあげられるのはこれくらいしかないの…」
そう言うと自ら島にキスをした
「愛してるわ…あなただけを…あなたも幸せになって…地球であなただけの
幸せを探して…ずっと見守ってるわ…さようなら…」
テレサはそう言うと背中に回した手を島の胸の中心にあてがいその両手で心臓を包むようにするとそのまま突き飛ばした
「…テレサ!…何を…」
島は何が起きたのかわからなかった。ただ瞬間的に右手を伸ばしたがテレサの手を掴むことはできなかった。
(さようなら…私の…島さん…)
作品名:yamato2 それから 2 作家名:kei