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yamato2 それから 3

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真田は今でも進の兄、守の艦をきちんと整備できなかったことが忘れられずにいた。きちんとした艦で、きちんとした教育を受けて地球を守る艦を…人材を育成したかった。

  「真田さん、任せます。真田さんの意向に沿った訓練を実施します。」

進は真田をまっすぐ見た。真田が後悔していたことは進が一番よく知っている。そしてメインクルーの誰もがその事で意義を立てる者はいなかった。






  「真田さん」

ユキは解散した後真田の部屋を訪ねた。相原と太田がいたがラウンジへ行っていて留守だった。

  「顔色、よくなったな。薬はちゃんと飲んでるか?」(真田)
  「ん、もう、真田さんったら…子供じゃないんですから…ちゃんと飲んで
   います。それよりどうですか?義足はまだ?」

ユキが心配して尋ねた。いつも予備を持っていて万が一の時はすぐに対応できた。 
 
  「あぁ、実はイスカンダルの技術を応用した新しい義足を開発していて
   せっかくだから開発者でもある自分が第一号になろうと思って…いろいろ
   やってるから遅れてるんだ。」(真田)

  「…よかった(本当にほっとした様子で)ケガの具合とても悪いのかと
   心配してたんです。今日の答えようによっては職権乱用でカルテ見て
   来ようと思ってたぐらい…」

ユキはここで涙が溢れてきてしまった。時に父のように兄のように導いてくれる真田に何かがあったら…と思うといてもたってもいられなかったのだ。

  「大丈夫だよ、そんなに心配しなくて…ユキは古代の事だけ心配してれば
   いいんだよ。今は二人の事だけ考えてもいいんじゃないか?」

本当なら結婚して一番幸せな時間を送っているはずの二人だった…真田も守から託された進と愛弟子のユキが一緒になる日を楽しみにしていた。

あの戦いがなければ…

真田は思った。進とユキは幸せになって…島は辛い恋をしないで済んだかもしれない、と。



しかし、この世に“…たら、…れば”はない。地球は常に女神に救われてきた。だけどそれは地球外生命体だけでなく…ユキにも救われた…




  「ダメですよ、今はヤマトの事を考える時です!」

ユキは真田の優しい気持ちをありがたいと思いつつそう切り替えして

  「古代くんに一番いい薬なんです。“ヤマトに乗るためにけがを治す”が…」

そう言って幸せそうにユキは笑った










しばらくすると進の退院許可もでて二人は他のクルーと一緒に病院を出た。マスコミが来ていたが病院に対して“お世話になりました”と短いコメントを言うとさっさとタクシーに乗り病院の前から姿を消した。

  「ユキ、実家に挨拶に行こうか…結婚式のキャンセルの事…きちんとして
   おかないと、と思って…」

進が頭を掻きながら言った。

  「古代くん、今言ったら攻撃されるだけよ?」(ユキ)
  「後になれば“どうしてすぐ来なかったの?”ってなるかもしれないし…
   また…一緒に飛ぶから心配かけてしまうだろうし…」(進)
  「…私、付いて行っていいの?」(ユキ)
  「…密航だけはごめんだからな…長官も後悔してるみたいでユキにはちゃんと
   した辞令を出す、って言ってたよ。」

ユキは進の言葉に涙が出てきた。

  「よかった…お留守番かと思った…」
  「おいおい、泣くなよ、キミのお母さんに何言われるか…」
 
進の慌てようが面白くてユキは泣き笑いになってしまった。

  「でも正直言って…あの時ユキを見て…嬉しかった…だけど他のクルーは
   大切な人を地球に残している…だから素直に喜べなかったんだ。」

ユキはその言葉を聞いて“艦長代理”という大きな看板を背負っている進の気持ちを初めて理解した気がした。

  「そう…よね。私、自分の気持ちしか考えてなかったのかもしれないわ。
   だけど次の航海は大丈夫…みんなをバックアップするわ。古代くんは訓練
   の事だけ考えて。」

進は運転手に見えないようそっと手を握った

  「ありがとう…だけどその前に巨大な敵を…」(進)
  「戦闘班長の腕の見せ所ね!」(ユキ)



進はユキの実家の住所をナビに入れて運転手にそこへ向かうようお願いした。








作品名:yamato2 それから 3 作家名:kei