yamato2 それから 4
出発
「失礼します。」
二人はユキの実家に来ていた。偶然父親が休みだったので久々に4人がリビングにいた。
「もう、ケガはいいのかい?」(父)
「お陰様で…」
進は一瞬息を飲むと立ち上がった。ユキも一緒に立ち上がる。
「あの…結婚式…キャンセルしてご両親やご親戚にご迷惑おかけしてすみ
ませんでした。」
進が頭を下げるとユキも頭を下げた。
「そう、私もどうやって親戚に知らせようか考えていたらちょうどヤマトが
飛び立って…向こうから電話が来たりして…手間が省けたよ。」
父親はそう言って笑った。
「だけどこれからどうするつもりかね?」(父)
「すみません…その事ですがやはり私もユキも大切な人を失ました。イスカン
ダルに一緒に行った仲間は家族同然でした。その家族をこの戦いで大勢
失ってすぐに式を挙げる、とはできなくて…」
進が辛そうに話すと
「そうだな…二人が式を挙げてから行ってたら地球は植民地になっていて
こうして会う事できなかったという事になる…こうして話せるだけでも
由としないといけないのかもしれないな。」
父は降伏するという発表の時を思い出した…が、そこで
「じゃぁ…どうするの?」
初めてユキの母が口を挟んできた。
「このままずっと“婚約中”って事にしてユキをしばりつけておくつもり?」
「ママ、落ち着いてよ、古代くんそんな事言ってないじゃない!」
ユキも必死で母を止めようとするが止まらない。
「あれほど楽しみにしてたユキ本人が南部さんにキャンセルの連絡したのよ?
古代さん、わかる?その時のユキの気持ち…かわいそうすぎるわ…」
ユキの母が泣き崩れた。
「結婚式の事を言われてしまうと私は何も言えません。だけど…気持ちは
以前とかわりません。」(進)
「私は古代くんと同じ…結婚が全てじゃないわ。ただ…失ったものが多すぎて
まだこの先の事を考えられないの。わかって…」
ユキが必死に訴えるが母は止まらない。
「どうして私の気持ちわかってくれないの?ユキ!」
母がテーブルを叩いた
「やめないか!」
父が大きな声を出した。
「ユキの人生だ…お前が口を出すことじゃない!以前と同じことを繰り返す
つもりなのか?進くんだって本当ならきちんとしたいと思ってるはずだ
だけど今の状態じゃムリだと言ってるんだよ。お前が望むものはなんだ?
ユキが望むものとお前が望むものは違うんだ…」(父)
父は二人を見て
「さぁもういいから帰りなさい…疲れただろう?母さんは私に任せて…」
父は二人を玄関に向かうよう視線で言った。進とユキはリビングで頭を下げると部屋を出て行った。
作品名:yamato2 それから 4 作家名:kei