yamato2 それから 4
「ユキ、行くぞ。」
「はぁい…あ、忘れもの!」
「全く…たいした物じゃないくせに…(小声で)」
「(慌てて戻ってきて)たいした物じゃないわよ」
「え…聞こえてた…」
「はい、出発!」
二人はレンタルしておいた真っ赤なエアカーに乗り込むと中央病院を目指した。
空は青く澄み渡ってまるで加藤と山本、コスモタイガー隊が最後のけが人の退院を祝福しているようだった。
「コスモタイガーのみんなは飛んでるかしら…」
ユキがふと空を見上げてつぶやいた
「もちろん、飛んでると思うよ…気持ちよく…ね。」
進はユキと気持ちが通じてる事が嬉しかった。
「いつまでも…この青い空の地球でいてほしいわ。」
ユキのバッグの中にはあの羅針盤が入っている。程なくエアカーは中央病院に着いた。マスコミが待ち構えている中真田と相原と島が出てきた。
「ユキ、また始まるな。」
進は小さな声でユキにそう言った。間もなくヤマトは新たな乗組員を乗せて訓練飛行をする予定だ。訓練学校を出たばかりとなれば扱っていたのはほとんどオートの戦艦だろう。そこでマニュアルモード全開のヤマトはかなり扱いにくい戦艦の筆頭となる。それで訓練するのだから卒業生はたまらないだろう。
「任せてください、後の処理は万全です。思った通りに指導してください。
私を含めクルー全員でバックアップしますから…艦長代理!」
進はこの女神のほほえみに何度救われたことか…と考えた。考えても考えても答えは出ない。進は一瞬ぐっとユキの手を握って離した。
(加藤…山本…見ててくれ…)
進はユキの顔を見て頷くと
「さぁ行こう。」
と言ってエアカーを下りた。
この旅の先に新たな戦いの予感があることをまだ知らない…
作品名:yamato2 それから 4 作家名:kei