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さらば…イスカンダル 1

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守とサーシァ


進がデスラーとの会談を終えて第一艦橋へ戻って来た。

  「ヤマト、地球へ向け発進!」

ヤマトとガミラス空母は別方向へ航路を取った。






  「えっと…おむつ、どうしようかしら…」

ユキはベビー用品がほとんどない事で悩んでいた。紙おむつなんて積んでいない。月齢から行ってまだ哺乳瓶を必要とする頃…粉ミルクは牛乳代わりに粉ミルクを積んでるからそれの栄養価を調節すれば大丈夫…

  「おむつは清潔なタオルで作るしかないかしら…」

ユキは真田の部屋をノックした。






Tweeen

  「すみません、ちょっと相談があって…」

ユキは真田の大好きなエスプレッソを持ってやってきた。

  「なんだ?ケンカでもしたのか?」(真田)
  「ん、もう、そんなんじゃありません!…ちょっと大至急、作っていただきたい
   物があるんです。サーシァちゃんの哺乳瓶とおむつカバーなんですが
   できればお洋服も簡単な合わせでいいので作れないかなぁと思いまして…」

真田は右手を顎に当てて考え始めた。

  「ふむ…そうか。赤ん坊がいるという事は普通のものじゃダメ、という事だな。
   工場で作れないものはない…どんなのがほしいんだ?」

真田が紙とペンを持ってきた。こんな時、ユキが看護士として働いていた時の経験が生きる。

  「紙おむつを作れればいいんですが水分を固めるものがないので作れないと
   思うのでタオルでおむつを作ろうと思っています。で、おむつカバーを
   作りたいんです。簡易宇宙服で作れば防水効果もあるので予備の宇宙服で
   作ってほしいんです。おむつカバー、できればサーシァちゃんの大きさに
   合わせて立体的に作ってほしいんですけど…。哺乳瓶はガラスでこんな形で…
   乳首はゴムで作ってください。(自分の端末で見本を見せる)ここにある
   サイズで作れますか?」(ユキ)
  「このままで作ればいい、となれば大丈夫だ。…あと、合わせ、て言ってたが?」

真田が聞くと

  「ここにあるんですが(端末で別のページを開きながら)和式のものでヒモで
   結ぶものがほしいんです。着せるのが簡単なので…足の部分を立体裁断し
   て縫ってロンパースっぽく仕上げてほしいんです。」

ユキが画面に書き込むんだものを真田は自分の端末に転送した。

  「よし、わかった。早速用意しよう。…ところで守は?」

真田もどう声を掛けていいかわからなかった。

  「えぇ…ずっと後部展望室でサーシァちゃんを抱いて一点を見つめています。
   艦長室を進めたのですがあそこだと後ろが見えないから展望室へ足が
   向いてしまうんだと思うんですが…」

ユキが心配そうに言う。

  「古代くんも声を掛けられないみたいで…」

真田も深いため息をついた。










  「森です。」

ユキは意を決して艦長室のドアをノックした。後部展望室に守の姿はなかった。

  「どうぞ。」

落ち着いた守の声が聞こえたのでユキは“失礼します”と言って部屋に入ってきた。

  「サーシァちゃん、ぐずりませんか?お風呂に入れようと思いまして…
   30分ほどお預かりしていいですか?」

ユキの言葉に守は驚いた。

  「そんな事森さんにさせられませんよ。」

守は慌てたが

  「私、看護士だった時小児科も担当しました。赤ちゃんをお風呂に入れた
   事だってあります。ベビー用のお風呂を真田さんが作ってくれたので
   失敗しませんよ。守さんはその間にお食事済ませて下さい。間もなく
   幕の内さんが運んでくれますから…」

ユキはそう言うと沖田が寝ていたベッドに寝かされているサーシァをあやしながら抱き上げると

  「失礼します」

と言って艦長室を出た。





ユキと入れ替わりに幕の内が艦長室の扉をノックした。

  「すごいタイミングだな。」(守)
  「ヤマトは絶妙なタイミングで現れる。俺もだ。」

幕の内はテーブルに二人分の食事を並べるとソファーにどっかり座った。

  「二人分?サーシァはまだ食べられないぞ?」(守)
  「アホ、俺とお前の分だ。艦長代理が一緒に食べてくれ、ってさ。お前
   弟に心配かけるなよ…と言っても無理だと思うが…食事くらいしっかり
   摂れ。お前に何かあったらサーシァちゃんが困るだろ?ほら、俺が腕を
   ふるった特別な食事だ…」

幕の内はそう言ってふたを取ると少し酸味のきいた香りがした。

  「稲荷…」(守)
  「まぁ食え…たくさんあるぞ。」

幕の内はそう言いながらおかずを取り分けた。

作品名:さらば…イスカンダル 1 作家名:kei