さらば… イスカンダル 2
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「ユキさん。」
太田が食堂でユキに声を掛けた。ユキはトレイを持って食堂を出ようとしていた。
「あら、太田くんどうしたの?」(ユキ)
「あ、それ、守さんの所に持って行くんですか?」(太田)
「そうよ、で、サーシァちゃんもミルクの時間だし…ついでにお風呂も、って
思って…」
ユキはサーシァと会うのが嬉しいので満面の笑みだ。これがまた誤解を生むとは思っていない。
「じゃぁ俺もサーシァちゃんの顔見たいからご一緒していいですか?」
太田が少し大きめの声で言った。ユキはあら?珍しいわね、と思ったが
「うふふ、かわいいわよ。食べちゃいたいくらいにね。いいわよ、なんなら
今日の世話、お願いしちゃおうかしら?」
ユキは太田が面倒見のいいことを知っていたので
「え?いいんですか?うわぁ~俺、小っちゃい子、大好きなんですよ。じゃぁ
気の変わらないうちに行きましょう!艦長室へ!!」
太田はユキからトレイを奪うように受け取ると心底嬉しそうにユキの前を歩いて艦長室へ向かった。
「まずユキさんを一人で艦長室に行かせない事が大切だ。」
南部が小さな声でつぶやく。他3人はウンウン、と頷く。
「ユキさんが艦長室に食事を運ぶ時間はわかってる…(相原を見て頷く)
そこで待ち伏せ、じゃないけど声を掛けて一緒に艦長室に行けばうわさも
収まるだろう。問題は守さんだ。ユキさんとスターシアさんは似てるから
ユキさんと話す事で気持ちが落ち着くのかもしれない。」(南部)
「あの鈍感を同行させるか。」(島)
「あぁそうですね、なんなら艦長室に行く前にベタベタしながら周りにあの
アツアツぶりを振りまいて艦長室に行ってくれればバッチリですね。」
南部はよし、と言う顔をして“解散!”と言った。
作品名:さらば… イスカンダル 2 作家名:kei