さらば… イスカンダル 3
「いいんです。古代くんが結婚したくなったら結婚します。」
ユキがはっきりと言った。
「何か別の事を考えながら結婚するんじゃなくて私の事だけを見れるように
なってからでいいんです。同時に二つの事が出来ない人だから…」
そう言って笑うユキはとてもきれいだった。
「だけどおばあちゃんになっちゃうかもしれないなぁって思う時あります
けど…だけど今は一緒にいられる時間があるから…それでいいんです。」
ユキはそう言って“こちらが指令室です”と言って扉を開けた。扉の先には端末がずら~と並んでいて何人もの人が忙しく働いている…が開いた扉を一斉に見て敬礼した。守も敬礼で返す。ユキは指令室の上段に向かい歩き始めた。
「こちらは地下にあった指令室をモデルに作られています。別室に長官の
部屋があり手前が参謀の控室です。(歩きながら)そちらが参謀の控室、
その奥が私の部屋と長官の部屋となります。」
一つ一つ扉をあけながらユキが説明する。参謀の部屋は数人参謀がいて何やら話し合いをしていた。
「失礼します、今日、赴任してきた参謀の古代守さんです。」
ユキが紹介すると
「よろしくお願いします。」
守が頭を下げると他の参謀も頭を下げた。よく見ると見た事のある顔があり手を挙げてよろしく、とアピールするものもいた。ユキはその奥にあるユキの部屋の秘書室と長官室を見せた。
「私は先ほどの長官室かここに控えていますので何かありましたらいらして
ください。」(ユキ)
「了解しました、秘書殿。」(守)
「古代参謀、おふざけはほどほどに(笑)」
ユキは笑ってそう言うと守は参謀室へ行った。扉を開き守が入ると“お~”と言う声と“生きてたか!”などと言う声が聞こえてくる。ユキはその声を聞きながら扉を閉め、静かになると藤堂のスケジュールの確認をした。
ユキも何となく胸の中にざわめきがあった。それはヤマトの戦士の誰もが感じている事と同じだった。
ほんのわずかな平和な時間が過ぎて行く…地球のはるかかなた遠くで新たな火種が地球へ向かっている事をこの時は誰も知らない…
作品名:さらば… イスカンダル 3 作家名:kei