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永遠に…の傷跡 1

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夢の後で


ヤマトは40万光年の彼方から傷つき大切な人を失いながらもかろうじて勝利をおさめ
白色銀河から地球へと向かって航海していた。

  「相原、地球との定期連絡で特に問題はないか?」

艦長の山南が戦死したため古代進が代わって指揮を執っていた

  「はい、復興も順調に進んでいるようですがまだ官舎の復興には着手していないよう
   すで…地下の旧地球防衛軍から連絡が来ます…、あ、艦長代理が聞きたいのは
   そのことではないですよね!だぁいじょうぶですよ、姫は毎日定期連絡には顔を
   出してくれますから。今度艦長代理が私の代わりに…やりますか?」

相原はちょっと気になることがあったが出来るだけ顔に出さないようにいつも通りのような
報告をした。

  「バカ言うなって。」

進はちょっと力なく笑うと第一艦橋を“島、後は頼む。”と言って出て行った
第一艦橋には真田もいなかった


進はこの戦いでたった二人の肉親を、真田が育てた大切な姪のサーシァを失った
最後サーシァからのメッセージで“運命を受け入れる覚悟”はしたものの時間がたって
改めて自分の行動、指揮を考えるとサーシァを救えたのではないかと思えてならない。

そのことが頭をよぎるとつい展望室に足が向いてしまう進だった


今日は先客がいた。

  「よう」
  「真田さん…」

一番可愛い時を世話していた真田を見ると進は悲しい気持ちをこらえ無言で窓の外に
広がる宇宙空間を見つめた

  「なぜ…サーシァだったんだろう、と思っているんだろう?」

小さな声で真田が進に語りかけてきた

  「今思うとなぜ自分がデザリウムに行かなかったのか…そればかり考えてしまう。
   今までは自分の一番近くに置いていたのになぜその時だけ離れてしまったのか
   あの子は小さなときから不思議な力があった。きっとあの子にしか見えない
   デザリウムがあったのかもしれん…」

真田は小さくため息をつくと

  「古代、そんな顔するな。俺もお前と同じくらい後悔してる。だがな夢の中にサーシァが
   出てくるんだ。まだ小さな小さなサーシァがな。」

そう言うと少し笑った

  「今家族3人で幸せよ…ってな。お父様がいてお母様がいて…お義父様がいないのが
   とても残念だけどまだまだこっちに来ちゃだめよ、うんとおじい様になってから来て、
   そう言って笑うんだよ。朝起きると俺らしくもなく泣いてるんだよ。その時いつも思う
   んだ、夢の中でしかサーシァのために泣いてやれない俺はどんだけ冷たいヤツ
   なんだろう…って。すると次の日またサーシァが来てくれて…なんだか少し癒された
   感じがするよ。運命って一言で決められたくないけど…少しサーシァの死が受け入れ
   られるような気がしてきた。」

真田は進を見て言い聞かせるように言った

  「地球じゃユキが空間騎兵隊と一緒になって戦ったそうだな。最後の決戦はまさしく
   決死隊を組んでの出撃だったそうだ。きっとユキはひとりでお前の帰りを待ってる。
   まだ時間はある。サーシァの為にもユキのためにも自分の為にも気持ちの整理を
   つけておく必要があるはずだ。俺でよかったらいつでも話を聞いてやる。いいか?
   ユキを救えるのはお前だけだ。そしてどんなことがあってもユキを信じてやるんだぞ。
   わかったな?」

真田はそう言うと進の肩をポンポンと叩くと“邪魔したな”と言って出て行った


そうだ、ユキは女だてらに決死隊に入り最前線で戦ったと報告をもらっていた。そして
爆弾の解体までしたと言うことだった。解体の図面を持つユキを守りながら亡くなった
戦士も少なくなかったことだろう…

進は自分の手を改めて見た。
何度この手で命を奪ってきたのか…決して自分から向かっていった戦いではない。
全てを守るために気がついたら敵を滅ぼしていた。
一番大切なものを救えなかった…

そう思っても進は涙が出てこなかった。波動砲の引き金を引くときはあれほどの涙が
出てきたのに…

進は展望室を出るとそのまま人気のない食堂へ向かった



作品名:永遠に…の傷跡 1 作家名:kei