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永遠に…の傷跡 1

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進は食堂に向かったものの食欲がわかなかったが何も食べないわけに行かないのでとりあえず一番軽いサンドイッチをもらうと一番端の目立たないところに座りイオンドリンクと一緒にサンドイッチを胃袋に押し込んだ。

休憩時間をずらしてとっていることもあって食堂は誰もいなかった。

そこに島と相原が食事にやってきた。二人とも進がいることに気が付いていない


最初は他愛もない会話をしていたが次第に地球の様子になってくると深刻な内容なのか相原の声がピンと張りつめた声になってきた

  「まさか!ユキに限ってそんなことがあるわけないだろう!」

突然島が立ち上がって相原を怒鳴った。怒鳴られた相原は人差し指を口に持っていくと

  「島さん声でかいっす。だから第一艦橋では…って言ったんです。この時間なら
   誰もいないはずだからって食堂まで来たのに…僕だってまさか!って思いました
   あくまでも噂です。ただ古代さん…でしょう?今そのこと言ったらWパンチじゃ
   ないですか。もう殴られるのは御免ですよ。」

相原は地球脱出の際古代を引き上げたことでユキを見捨てた!と古代に殴られていたのだ

  「まさか、古代が殴ることはないだろうけど…今真田さんもそうだが自分の事で精一杯
   だろうからな。相原、このこと知ってるのは?」
  「通信班の一部ですがそれがどう広がるか…僕も押さえてはいますが太陽系に入れば
   自然と通信内容が漏れる危険があります。完璧に抑えられる自信はありません。
   でも最大の努力はします。」
  「ユキは大丈夫かな。古代には俺たちがいる。サーシァの事は古代の責任じゃない
   あの場所にいてなにもわからなかった俺たちにも責任がある。古代とは比べ物に
   ならないかもしれないが少しぐらいは同じ痛みを分かち合える。でもユキは違う。
   女性としてそんな噂をたてられたら精神的に追い詰められるだろう。ユキだって軍人
   だから普通の女性より強いかもしれない。でも普段は古代がいて俺たちがいるから
   強くなれるんだ。今ユキの周りに守ってくれる人は藤堂さんぐらいだろう。とりあえず
   もう少しワープの距離伸ばせないか山崎さんと相談するよ。」
  「すみません」
  「何あやまってるんだよ。俺たち仲間だろう?別々のところで戦っていてもこうして一緒に
   結果を出すことができたんだ。これって奇跡だと思うぜ?それなのに放っておけるか!
   大丈夫だよ、太田の計算と山崎さんの腕を信じて…何かわかったらすぐ俺に知らせろ。
   真田さんには折をみて俺から話す。ユキはきっと定期連絡だけが支えになってるはず
   だ。いいか?ユキはお前を見てヤマトが帰ってくることだけを待ってる。頼むぞ」

相原は半分泣き声だった。島の言葉とともに肩を叩いているのだろうかポンポンという音がした後二人とも席を立つ様子が伺えた


                ユキになにがあったんだ?


噂?なんの噂だ?あの状態から還ってきたとなると一時的に捕虜になっていた可能性が大きい。普通に考えて若い女の捕虜…進には考えたくないことだったがユキが慰めものになりなにか事を起こした、ということなんだろうか?
報告書には図面を持っていた、と。解体はユキがやったと…


進は何となく島と相原の会話に意味を見出してしまった



地球を守った女神はひとりは星になりひとりは味方から蔑まれ…

人間はどれだけ冷たい生き物なんだろう…


進はさらに重たくなった体を引きずるように自室に戻った

作品名:永遠に…の傷跡 1 作家名:kei