永遠に…の傷跡 2
ユキは私服に着替え藤堂の自宅へ到着した。
藤堂の自宅は郊外にあったので破壊されずに済んでいたが藤堂のデータはすべて持って行かれていて何も残っていない状態だったそうだ。
藤堂の妻はユキを温かく迎え
「いつも主人がお世話になっています。いつもユキさんの話はでるんですよ。
とても気立てがよくて、って。同じくらいの孫娘がいるんですが、その孫娘に
ユキさんのようになってほしいと常に申しておりますの。孫娘もその影響か
一度お会いしたいと言ってました。その前に私がお目にかかれてうれしいわ。」
藤堂の妻は広いリビングにユキを通すと温かい野菜スープを持ってきてくれた。
「主人がユキさんが来たら温かい薄味のスープを出してやってほしいと言って
いたの。すこし顔色が悪いみたいだけど…無理だったらいいのよ。でもね
全然食べていないなら…少しずつ食べなさいね。」
ユキの驚いた顔に夫人は笑いながら
「遠慮しないで。もうすぐ主人も戻るはずですから。ではごゆっくり…」
そう言って夫人は台所へ行きそのまま庭に出てしまったようだった。
ユキは最近忙しくて食事もままならなかったことを思い出した。今朝の事があったせいか胃も痛む。窓越しに庭が見えて夫人が何やら世話してるのが見える。庭で家庭菜園をしているようだ。改めて見るとニンジンとダイコンとカリフラワーが入っていた。
甘い野菜の匂いがおいしそうだったのでユキは一口食べてみた。薄い塩味に野菜の甘味がたっぷり出てとてもおいしい。おなかがびっくりしないよう少しずつ食べた
ユキが到着してから30分ほど経って藤堂が帰宅した。
夫人が紅茶を運びながら入ってくると藤堂も一緒に入ってきた。
「待たせたね。」
「いえ…あの、奥様スープ…」
「どう?あら、少し食べたのね。よかったわ。無理して食べなくていいけどまだ食べ
られるなら頑張ってみたら?」
じゃぁ私はお庭にいるので…と言って藤堂と二人になった
「賑やかなヤツでねぇ…とても世話好きなんだよ」
「おやさしそうな方です。私の母とは全然違います。」
「ユキのおかあさんか。一度お会いしてみたいもんだ。」
「やめておいた方がいですよ。自分のペースに人をすぐ巻き込んでしまうので…
古代君なんていつもタジタジ…あ…」
いつものように嬉しそうに話してたユキが古代の名前を出したとたんしぼんでしまった藤堂は紅茶を一口飲むと
「ユキは…あの記事を見たか?」
ユキはハッとしながらも“ハイ”と答えた