永遠に…の傷跡 3
ユキの戦いⅡ
「ユキ…私は君を信じている。何があってもユキを信じる。だから…すべてでなくて
いい。ユキがいなかった時の事を教えてくれないか?」
藤堂はいつになく優しい口調だった。きっと孫娘にはこんな風に話しかけるのかな?とユキは何となくそう思った。
「あの記事はおそらく反ヤマト派の人間が面白おかしく伝えた記事だと思っている。
軍内部の人間しか分からないことが記載されている。おそらく今軍内部はこの話で
もちきりだろう。ユキには精神的につらい立場になると思う。しばらく仕事を休んでも
いい、と思っているが…ユキはヤマトが帰ってくるまで休みたくないだろう?」
ユキは黙ってうなずいた。
「しかしこの状態はかなりつらいと思う。ヤマトの乗組員はみんなぎりぎりのところで
結果を出してきたから精神的な部分ではかなり強い方だと思うが今度の事は違う
女性として一番辛い部分をひっかきまわされるだろう。中にはかばおうとするもの、
その騒ぎに便乗するもの多々出てくるだろう。人間不信に陥ってしまうかもしれない」
「それでも…私は…みんなとつながっていたい…って思うんです。多分いま私に
戻るところはありません。おそらくヤマトクルーの部屋は荒らされてると思うんです」
「そうか、ならここを使いなさい。古代が戻ってくるまで…使っていない部屋はたくさん
ある。行きも帰りも私と一緒なら古代も許してくれるだろう。軍の仮眠室は体に
よくない。秘書は体力も大事だ。」
「でも、長官…」
「いや、これは長官命令だ。妻も娘がいないので喜ぶだろう。孫娘は今留学中で
日本にいないのだ。まぁそのおかげで危ない思いをしないですんだが。」
「長官…」
ユキは涙が出そうになったが気を引き締めて長官にすべてを話す決心をした