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永遠に…の傷跡 9

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ユキの戦いⅧ


ユキは再び夢を見ていた。先ほどとは違って熱さもないしとても明るい


  「ユキさん、ユキさん…」

再びユキの目の前にサーシァが現れた

  「サーシァ…この前はごめんなさい。私自分のことしか考えていなかったわ…古代くんが
   どんな気持ちで地球に戻ってきたかなんて全然考えてなかった。
   サーシァ…よく顔を見せて…(ユキの目の前にいるサーシァの顔を両手で包むようにして)
   うふふ、良かったわね、スターシァさんに似て…とってもきれいになったのね。
   あともう少しで地球に来る予定だったのに…残念だわ…。」
  「えぇ…私も残念だわ…私ユキさんに会いたくって仕方なかったの。一緒にお買い物して
   おいしいもの食べて…お勉強も教えてくれたかしら?」
  「え?真田さんが教えていたんでしょ?とてもじゃないけど私じゃサーシァちゃんには…
   無理無理!いい先生が近くにいるんだもん何も教える事なんてないわよ」
  「…そうかなぁ…だって真田のお義父さまはいつもユキさんと私を比べるの。でね、お決まりの
   セリフがあるのよ、“ユキは優秀だった”ってね。絶対ユキさんを追い抜こうって思うンだ
   けどやっぱり無理なの。で、私は思うのよ。‘私ってダメな子ねぇ’って。」
  「まぁ真田さんがそんなこと言ったの?それはいけないわ!ちゃんと私が指導しておくから!
   でもサーシァちゃんもがんばったのね。」
  「うん…だって認めてもらいたかったんだもん。本当のお父様にも真田のお義父様にも…」

サーシァの顔が少し曇る

  「誰だって自分の子供の事素直に褒めたりしないわ。真田さんだって私に褒めたりしなかった
   だからそんな風に私のこと言ってるなんて初耳よ!ちょっとうれしいわ」
  「そうかなぁ…そうならいいんだけど…」
  (こうしてると普通の女の子だな…)
  「サーシァちゃんはこうして時々私の夢に出てきてくれるけど…会いたい時どうやったら
   サーシァちゃんに会える?」

ユキは寂しそうにつぶやいた

  「いつも…傍にいるわ。もちろんお母様も。」
  「どうして私の傍にいるの?」
  「どうしてかしら…お母様がユキさんの傍を離れないの。お父様がヤキモチやくくらい。
   お母様の妹…私と同じ名前のサーシァさん…ユキさんはそのサーシァさんに生き写し
   なんですって。そしてユキさんはお母様の運命を変えた人…」
  「…私が?スターシァさんの運命を?」
  「そう…そして私もユキさんに救われた人の一人…」
  「わからないわ…」
  「いいの、ユキさんにわからなくても。いい?ユキさん。幸せは自分でつかむもの…でしょ
   だからユキさん負けないで。ユキさんが泣いてる時はいつも私が横にいるって思って。」

そう言うとサーシァの影が少しずつ薄くなってきた

  「待って、サーシァちゃん!」
  「ほら、おじ様が呼んでるわ。」

完全にサーシァの影が見えなくなったと同時に目が覚めた

  「ユキ…」
  「古代くん…」

進はユキのベッドを少し起こしてやり話しやすいようにしてやった

  「不思議な夢を見ていたの…」
  「そうか」
  「頑張れ、って背中を押されたような…」

その時コロンとベッドから何かが落ちた。進が拾うとそれはイスカンダルのダイヤモンド鉱石だった

  「きっとサーシァが遊びに来てたんだね」
  「どうして?」
  「俺のところにも…真田さんのところにも…サーシァが来た後は(鉱石を見せて)これが
   落ちているんだ。」
  「サーシァちゃん?」
 
ユキは夢を思い出そうとした

  「…思い出せないけど…とても明るかったって感じは覚えてる…」

ユキは一粒涙をこぼした

  「なんで…泣くの?」
  「わかんない…勝手に涙が出るの…どうしてだろう…」
  「きっとね、そばにサーシァがいるんだよ。そして守っていてくれるんだ」

進はそう言うと優しくユキを抱きしめた
作品名:永遠に…の傷跡 9 作家名:kei