永遠に…の傷跡 9
「随分長い間眠っていたのね…」
進はユキの額に手を当てた
「熱、だいぶ下がったみたいだな。胃は痛くないか?」
「うん、今大丈夫…この点滴に鎮痛剤入ってるのよね。そのせいかな、全然痛くないわ」
「そうか…あと30分くらいしたら看護師の山田さんがくるらしいから…」
「山田…さん?」
ユキは病院を出たのを知らなかった。
「そうか、ユキは知らなかったね、中央病院を出て今南部財閥の経営するホテルの一室
借りてるんだ。すぐそばに総合病院があってそこから医師と看護師を派遣してもらって
いる。ちょっと非常事態が起きてね…中央病院は政府と直結だから…佐渡先生も何か
あれば飛んでくるから大丈夫だよ。」
ユキはマスクを少し横にずらして話しやすいようにした
「…ごめんなさい…みんな帰ってきたばかりで会いたい人いるのに…私…」
「俺もそう言ったらみんなに‘古代だけのユキじゃない’って言われちゃったよ。俺だけじゃ
どうしようもないことだらけだから…みんなに甘えた…一度起きた時真田さんと話した
だろう?」
「えぇ…少し…」
「俺起こさなくてもいい、なんてさみしい事言ってくれたらしいじゃないか!」
進は笑いながらそう言うと
「…だって、古代君だって疲れてるでしょう?少しはゆっくり休まないと…」
「ユキはねもう少し自分の事第一に考えていいと思うよ。余り話すと疲れるからちゃんと
マスク当てて…看護師さんに怒られちゃうよ。前ユキもよく患者さんにそう怒ってたんだ
ろう?すっげぇ怖かっただろうな。」
ユキはそうかなぁ、怖いかなぁ?と言いながらマスクを当てなおした
「おはよう」
その時ノックと同時に島と南部が入ってきた
「おはよう」
進が返すと
「よく眠れたか?…(そう言いながらベッドサイドにきた)ユキ、どうだ?気分は」
島が聞くとユキはにっこり笑った
「そうかよかった。顔色も随分良くなったかもな。そろそろ看護師さんくるだろう?南部、
食事はどうすればいいんだ?なんか下で買ってきて持ち込めばいいのか?」
「…もうすぐ看護師さん来ますよね、そしたら帰って行ったらルームサービス頼みましょう」
「いいのか?そんなの頼んで?」
「大丈夫ですよ、地球にいる間俺が親父の代わりにパーティー出席すれば済む事です。
そんなのちょろい事ですからね。ユキさんとだってなんどか会場で会ったことありますよ
ユキさんは長官のお供でね。」
ユキはウン、ウン、とうなずいた
「ユキさんのドレス姿も見てみたいのですがいつも仕事だからって制服なんですよ。でも
会場が会場だからかえって目立ったりして…古代も気をつけないと世界のVIPがユキ
さんに目をつけてますからね…」
南部が脅すように言った、その時ベルが鳴り山下と山田が入ってきた