永遠に…の傷跡 9
「…さて…これから敵さんはどうでますかね。」
南部は二人に聞こえないように小さな声でつぶやいた
「伊藤さん情報だと長官がヤマトが戻って来たら長期休暇を取ると言っていて仕事の分担や
復興計画をすべて手配してあったので現場の混乱はない様子です。ユキさんの敏腕ぶりが
発揮されてますよね。長官は復興計画を主にしていて住居の方の同行を先にしていたみたい
ですね。ユキさんには直前まで休む事を言わなかったらしいのですが伊藤さんには伝えて
あったみたいです。まぁ緊急事態に対応するために、だと思うんですが。代役が必要ない
となれば織田は仕事がないのでちょうどいいと思ってるのか部下をあちこち派遣してるらしく
復興の監視役、っぽい事をして他の事監視してるみたいですよ。」(相原)
「よく調べ上げたな」(太田)
「…任せて下さいよ!伊達に通信班長じゃないですよ!ヤマトと地球のラインを繋ぐだけが
通信士の仕事じゃないんです。やっぱり束ねるところちゃんと束ねておかないと!ユキさんが
留守の時の通信の担当の伊藤さんが結構あちこちのラインを使って織田の動きを監視して
います。調べると今まで内務だった人間が変な時間に外出してるみたいですね。
織田の会話にヤマトの事が頻繁に出てくるらしいです。まさか通信担当者の全員が伊藤さんを
通じて私につながってると思っていないんでしょうね。」(相原)
「…でもまだはっきり最終目標の事は話してないんだろうな」(真田)
「…はい。きっと現場では話さず…おそらく…自宅などで話は進めてるでしょうね。一番こわい
のは盗聴ですからね。」(相原)
「…その辺は仕事柄しっかりしてるんだろうな。」(真田)
「最低限あの噂を誰が何のために流したのかだけでも探ってもらえるようもう一度確認して
おいてくれるか?」(南部)
「了解!」(相原)
その時再び南部の携帯が鳴った
「お呼びがかかりましたよ」
南部はわざとらしく丁寧に出た
「お待たせしました、南部です。」
<あぁ、たびたびすまんね、織田です。>
「はぁ…何かありましたか?」(すこしびっくりするように)
<…ちょっとお部屋にお邪魔してもいいですか?>
「…えぇ…かまいませんが?」
<…すぐお伺い出来ますので…直接お部屋に伺ってもよろしいでしょうか?>
「…いいですよ、と言いたい所ですが一応ホテルなのでフロントを通してもらっていいですか?
父が最近そのあたり神経質になっていまして…私にも来訪者は必ずフロントで声をかけて
もらってから部屋に入れるようにと言いつかっておりまして…私はいいんですが…あまり
言いつけを守らないと追い出されないとも限らないので…」
<分かりました。ではフロントを通してお伺いしますので…>
南部は通信を切るとフロントにコーヒーと焼き菓子を801に運ぶよう手配して自分も部屋に戻った。ちゃんと盗聴するよう念を押して…