永遠に…の傷跡 9
「ただいま」
進はユキの部屋に戻ってきた。その時島が静かに!と言わんばかりに口元に人差し指を持って行った
<南部君の言ったとおりだったよ。古代は長官のところへ向かったそうだ>
「そうですか…そんなに行動が早いと思わなかったので…」
<まぁ人間厄介なものからさっさと手を引きたいと思うものだよ、古代も人間だったって
事なんだろうな…。>
「でも古代とユキさんが別れたって証拠はありませんよ。ただ会いに行っただけかもしれま
せんし…」
南部がしらばっくれてると
<古代はモールに寄ってハンカチを花を買っている。これからも付き合いを続けようとする
相手にハンカチは買って行かないだろう?>
「そうですか…織田さんしっかり調べてますね」
南部がちょっとつっこむと
<たまたまモールに私の部下が買い物でいたらしく‘ヤマトの古代がいる’って教えて
くれまして…今休暇中だから声かけないようにと言ったんですがしばらく行動を見てた
らしく…すみませんねぇ…プライベートだったのに…>
「そうですか…でも長官のところにいるとなると私たちには情報がないので…織田さんに
連絡しようがありませんね。」
<まあ森くんの事は置いて…でも南部君の情報助かったよ。本当にありがとう。また何か
情報がつかめたら連絡してくれ>
「わかりました」
南部はそう言うと携帯を切った
「古代、おかえり」(南部)
「ただいま…織田か?」(進)
「そうだ、尾行わかったか?」(南部)
「すぐわかったよ。あれは司令部の新人の桜田と中堅の飯野だな。最初誰だろう?って
思ったが…」(進)
「そうか…まぁ…お疲れだったな。後は俺たちに任せて…さっき太田がきてサンドイッチ
たくさん作ってきてくれたんだ。おまえも食べろ。」(真田)
「…ありがとうございます。後でいただきます」(進)
進はそう言うとユキのベッドの横に座りユキの寝顔をじっと見つめた
「…これからどうなるんだろうな…」
進がつぶやきながらユキの左手を握るとユキの目が覚めた
「…おはよう…起しちゃったね…どう?気分は?」
「おはよう…うん、ちょっとお腹…胃の辺りがうずく感じがあるけど…痛み止めを減らしてる
せいだと思うわ。うん…大丈夫…。」
ユキは自分に大丈夫と言い聞かせてる感じでそうつぶやくように言った。進はユキの左手を自分のほほに当てて
「どうしたの?なんかあったの?」
ユキの表情が曇る
「…なんでもない…って言いたいけど…俺って…顔に出てる?」
「…うん…」
「…そうか…頼りないって顔してるか?」
「ううん…でも…こう、自信ないって顔してる。そうね…余り見ない顔かもしれないわ。」
「じゃぁいつもの俺の顔だ。」
「あら?そうなの?私そんな頼りない人選んじゃったのかしら?」
ユキはわざとおどけて見せた‘私は大丈夫よ’とそう進にわからせるために…
「…それじゃユキは頼りがいのあるいい男がいたらそっち行っちゃうかな?」
「…うふふ…さぁ?」
ユキがやさしく進のほほをなでる
「…きっと大丈夫よ…みんながいてくれるから…」
まだ顔色もいまいちで痩せこけたほほが今までの過酷さを物語っているがユキはそう言ってほほ笑んだ