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永遠に…の傷跡 10

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ユキの戦いⅨ


織田はおそらくホテルのすぐそばで待機していたらしく飲み物を運ぶより先にフロントから801へ連絡が入った。南部はそのまま案内して下さいと伝えたのでドアボーイとともに801へ来た

  「休暇中すみません」

織田は南部に入口付近で頭を下げた

  「いいえ、大丈夫ですよ…なにかありましたか?とりあえず中へ…」

そこへ丁度コーヒーが運ばれてきたので南部はリビングへ織田とボーイを通すと織田をソファーに座るよう勧めた。ボーイはコーヒーと焼き菓子を丁寧にテーブルに置くとお辞儀をして部屋を出て行った

  「何か状況が変わったんでしょうか?(ユキさんがここにいることばれてないよな)」(南部)
  「いや…特に変わった…と言うことはないんですが…」(織田)

織田の歯切れは悪かった

  「実はね、ちょっと小耳にはさんだ事があるんですよ…」(織田)
  「…それは誰の事ですか?」(南部)
  「…森くんの事でね、イヤ、パルチザンで作業をしてる時にどうもその中の一部の連中と
   けっこういい仲になったって噂があってね…(にやつきながら)何かそんなこと聞いたこと
   ないかね?」(織田)

南部は戦闘モードに入らないよう気をつけながら
  
  「…いえ…初耳ですが…(空間騎兵の泉の事だな)それは誰ですか?」

南部は真田から聞いていた

  「空間騎兵隊の泉隊長だ。とても親密で休憩時間や仮眠も一緒に取っていたらしい。」

織田はイヤラシイ笑いを浮かべた。南部は今までの“ユキさんに限って”を封印することにして少し驚いたように、そして当然かも…という表情で

  「…ふぅ…そうですか…まぁあの状況だと…仕方ないのかもしれませんね。まして周りは頼り
   りがいのある男ばかりですからね。古代はそばにいないし…(本心じゃないぞ!)」(南部)
  「その泉が森くんを抱いていたって話は複数の人間から聞いてるんだよ」(織田)

南部はそれは過労で倒れた時泉が運んだだけだろう!と心で叫びながら

  「…それは大胆ですね…後で古代の血を見ることとなりそうですが…」(南部)
  「でも別れたんだろう?その事実も別れた理由にあるのかもしれないね」(織田)
  「…この休暇に入って古代と会っていないし連絡もとっていないのでわかりませんが……
   そうすると古代に同情する余地もありますよね」(南部)
  「そうだろう?でも森くんは置いて行かれたから…恨んでるのは森くんかもしれんよ」(織田)

そういってますます織田はイヤラシイわらいを浮かべる

  「そうすると長官もそんなスキャンダラスな秘書をいつまでもそばに置いておけないだろうと
   思ってね…今回の活躍でますます脚光を浴びて大統領からも秘書としてぜひに、と言われて
   いるんだが…自ら辞表を書くよう長官から説得してもらうようにしないといかんと私は思う
   んだが…どう思うかね?」(織田)
  「…辞任するかしないかはユキさんの意志だと思うんですが…でもユキさん長官秘書辞めて
   古代と別れたら…ヤマトにはもう乗れないだろうし…看護師の資格持ってるからきっと
   そっち方面で働けると思うけど…これからの事を思うと心配だな…」(南部)
  「まぁそれは森くんの個人の事だからあまり気にしなくてもいいと思うんだが…」(織田)
  「…あれ?織田さん随分うれしそうですね」(南部)
  「そうか?南部さんの気のせいでしょう。(悟られまいと汗を拭く)まぁあの美貌だ、すぐに
   恋人だってみつかるよ。彼女を望んでる男性はゴマンといるからね」(織田)
  「そうですね、ユキさんがフリーだったら俺立候補しますよ。そしたら苦労させないように
   軍辞めて稼業継ますよ。」(南部)
  「南部さんが立候補?それじゃ勝ち目のないやつが増えるじゃないですか。だめですよ!
   ほら、もっといい女性いるんじゃないですか?(さらに焦って)」(織田)
  「いやぁ父もユキさんのことは結構前から気に言ってましてね…何度かうちにも遊びに来た
   事ありますし…政府がらみのパーティーで同席したこともありますしね…」(南部)
  「まぁ冗談はさておき(冗談の顔していないが)とりあえずそんな報告があったこと伝えて
   おきますよ。南部さんの方でもちょっと調べてみてください。」

織田はそう言うと慌てて出て行った。ルームサービスのコーヒーも飲まず…
作品名:永遠に…の傷跡 10 作家名:kei