永遠に…の傷跡 10
南部は前回と同じように盗聴器が置かれていないか織田の座った周辺をくまなくチェックしてからユキの部屋へ戻った。
「誰も怒ってないですか(汗拭きながら)」
「頼りなくて悪かったな。怒ってないと思うよ」
島が笑いながら南部を出迎えた
「…ほんっとに?」
南部が少しひきつりながら聞くと
「…まぁ何かあれば…実家継げ」
後ろから真田が声をかける
「そんなこと言わないで下さいよぉ!」
南部が半泣きの声をわざとらしくあげて一同大笑いした
「…さて…次は空間騎兵の泉とのスキャンダルを持ってきましたね。相原、泉さんとは連絡
とれたのか?」(真田)
「はい、取れてます。どうしますか?呼び出しますか?一応緊急で呼び出しするかもしれないと
伊藤さんに伝言頼んでますが…」(相原)
「…そうだな…俺が話す。南部801借りていいか?相原緊急事態で大至急泉さんを呼び出
してもらってくれ。」(真田)
「了解しました。」
相原はすぐ自分の端末を開き伊藤にその旨のメールを送った。南部はうなずくとすぐフロントへ連絡して
「たびたび申し訳ないが泉と言う人が801を訪ねてくるから案内してほしい」
そう言って電話を切った
進はただユキの手を握り一緒にいる事に専念していた。どうも自分は対人間の駆け引きが苦手なところがあるしすぐ顔に出てしまうのでこのことに関しては不向きと自分で思いみんなの手にゆだねる決心をしていた
「古代くん…」
ユキは酸素マスクを少しずらして話しかけてきた
「どうした?ユキ」
「みんなは向こうで何してるの?」
「あの噂の出所の真相を突き止めてるんだ。どうも嫌がらせだけじゃすまなさそうなんだよ。
長官も巻き込みそうな勢いでね…。そう…ユキは今長官宅にいることになっていて…
なんでもお孫さんが在宅中でね…それで長官にお願いしたんだ。
<そのお孫さんをユキの代わりにしてそこにいることにしてください、って。で…俺は長官の
家に行ってユキと別れ話をして決着した>ってことになってるんだ。とりあえず今は敵から
ユキを守ることと噂の出所と狙いを決めないと動けないってことでね…」
「…そう…ご夫人何か言ってた?」
「ユキが中央病院で術後すぐ来てくれたんだよ。とても心配してた。すべての事が終わったら
ユキと挨拶に行きます、って伝えたから…すべてが終わって落ち着いたら一緒に行こう」
「…そうね…とてもやさしいご婦人だったの。長官にはもったいないわ」
ユキはそう言って笑った
作品名:永遠に…の傷跡 10 作家名:kei