永遠に…の傷跡 10
「場所はここからタクシーで5分ぐらいのコーヒーショップですね。」
相原が自分の端末で電波を探り当てた
「泉さん、泉さん聞こえますか?」
真田が泉に話しかける
<この声は真田さんですか?(少しほっとしたように)>(泉)
「…会話はすべて録音できました。大丈夫です?」(真田)
<…ほんっとムカつくヤツですよ!あ、相原さんすみません呼び出し受けて緊急だったので
了解も取らず伊藤さんに連絡先聞いてしまいました。>(泉)
「いえ、かまいませんが…今のは誰ですか?」(相原)
<〇▽新聞の記者で後藤と名乗っています。一応名刺貰いましたが…>(泉)
〇▽新聞と言えばユキの事を記事に乗せた新聞だった
「その名刺…いただけますか?」(真田)
<えぇ…いいですが…どうやってお渡ししましょう?>(泉)
「そこにいて下さい。場所は分かっています。こちらから太田と南部を向かわせます。泉さん
の顔は分かっているので…テーブルの角に名刺を置いてください。通りがてらそれをもらい
ます。二人が横を通っても知らんぷりしてくださいね」
真田がそう言うと太田と南部はすぐ部屋をでて相原が探り当てたコーヒーショップにタクシーで向かった
<…了解しました…すみません…忠告されていたのに…>(泉)
「大丈夫ですよ。泉さんに落ち度はありません。後はわれわれに任せて下さい。もう接触
してくる事はないと思いますが…」(真田)
<…そうでしょうか?>(泉)
「えぇ…多分。二度も危ない橋渡ると思えないので…ちなみに泉さんいま携帯持って話して
いますか?」(真田)
<いいえ、念のため腕時計に携帯のメモリー入れて来たので…肘付きながら小声で話してるので
周りから見たら電話してるのわからないと思います。>(泉)
「…いつどこでだれが見てるか分かりません。キョロキョロしないでそのまま自然にしてて
ください。部屋も盗聴されてるかもしれません。部下にもこの話はしないでください。ただ
記事が世の中に出てしまったら“ガセネタだ”と言って突っぱねて下さい。」(真田)
<わかりました。…あ、南部さんが到着されました。今目があって…こちらに向かってきます
……今名刺を持っていかれました…コーヒーを買うのか今カウンターに並びました>(泉)
「ありがとうございます。泉さんは怪しまれないようしばらく怒った顔でコーヒー飲んでから
帰って下さい。時々尾行がいないかコンビニに入ったり公園のトイレに入ったりして確認
しながらがいいと思います。」(真田)
<わかりました。では失礼します>(泉)
泉の電話は切れた
「南部と太田がきて名刺渡せたそうだ。さて…ここからどう織田にたどり着くか…」
真田の頭の回路が動き出した
作品名:永遠に…の傷跡 10 作家名:kei